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彌太郎笠の唄 (内田榮一)。

内田榮一の歌う「彌太郎笠の唄」。稲垣浩作詞、佐々紅華作曲で、子母澤寛原作の股旅小説を日活&千恵蔵プロが映画化した際の主題歌です。巨匠稲垣浩がメガホンを取り、主演はもちろん片岡千恵蔵。本作は大ヒット作となり、後年は鶴田浩二、中村梅之助、市川雷蔵ら錚々たるスター達が演じるほどでした。元々は旗本だった彌太郎が旅やくざになり、悪を相手に大活躍。そして世話になった親分の仇を討ち、その娘と結ばれると云う物語です。千恵蔵と言えば、時代劇ファンが掲げる“七剣聖”の一人でありダンディな美男子として活躍し、女性的な雰囲気のある長谷川一夫とは好対照でした。戦後GHQの方針で時代劇制作が控えられると、探偵ものである「多羅尾伴内」に出演。劇中での「ある時は片目の運転手…」は名台詞になり、現代劇に於いても片岡は存在感を発揮したのです✨。

主題歌「彌太郎笠の唄」は、監督の稲垣浩自身が作詞しており、お馴染みの佐々が陰旋法のメロディを付けました。三番構成で、奥山貞吉がアレンジを担当した事もあり、意外や伴奏はコロムビア・ジャズバンドが行っております。アコーディオン、トランペット、テューバ、バイオリン、トロンボーンなどが使用されており、時代劇主題歌にしては面白い組み合わせ。曲が曲なのでバタ臭くはありませんが、リズムを刻むドラムとテューバが辛うじてジャズバンドらしさを伝えていました。内田榮一は朗々としたバリトンを響かせており、雄大で何処かダイナミックな間奏は渡世に生きる主人公彌太郎の度胸振りを思わせます。内田はメジャーからマイナーレーベルに至るまで録音をこなし、後にヴォーカル・フォワを率いて歌った「月月火水木金金」は歌謡史に残る大ヒット曲となりました😀。

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