海のパラダイス (中野忠晴・二葉あき子)。
今日は稀大の作曲家、服部良一の117回目の誕生日だそうです。と云う訳で彼の楽曲から、今夜は中野忠晴と二葉あき子の歌う「海のパラダイス」を。西岡水朗作詞で、夏の行楽シーズン向けに書かれた一曲です。昭和11年に揃ってコロムビア入りした服部良一と二葉あき子は、夏に出した「月に踊る」を皮切りにタッグを組み、またモダンな楽曲を得意とする中野忠晴も、服部作曲の「東京見物」や「当世しゃれ男」を入れて其々手応えある楽曲となりました。中野は新人だった二葉をよくリードし、他にも「そこだそこだね」や「二人のアルバム」「青春二重唱」とデュエットを重ねております。二葉の人気も一曲毎に上昇してゆき、古関裕而作曲の「乙女十九」は主要な初期のヒット曲となりました。服部も会社の期待に応えるべく、次々と着想した曲を五線紙に記したのでした🎼。
「海のパラダイス」は陽旋法で書かれており、ややスローテンポのメロディとなっています。全四番構成で、中野忠晴と二葉あき子が交互に歌いますが、二人の共唱はなくサビの部分でハモるのみです。伴奏はギター、ビブラホン、トランペット、シンバル、ピアノ、バイオリンなどで、夏の夜に海に憩う男女の楽しいひとときを描いておりました。二葉の歌声にも上品さが溢れていまして、デビュー時よりも落ち着い感じで歌っています。極楽気分溢れる品の良いメロディは、後年のリゾートホテルのCMソングの其れを思わせますが、つまりはそれだけ服部の音楽センスが先を行っていたとも受け取れますね。これのA面は二葉あき子がソロで歌った「波のワルツ」が組まれていて、こちらは中野自身の作曲。昭和12年初夏の発売ですが、日華事変が影響したのか埋もれております😓。
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