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伊那は時雨て (赤坂小梅)。

私事ながら、十日後の8月12日から二泊掛けて、長野県南部の伊那地方へツーリングに出る事になりました。静岡県生まれの私にとって長野県南部、所謂南信地方とは「近くて遠い」存在です。地図で見れば大して距離がない様に思えて、その長い県境には数千メートル級の赤石山脈(南アルプス)が立ちはだかり、越える道も潜るトンネルもありません。唯一の連絡路は浜松市から天龍川沿い北上する国道152号線のみですが、これまた県境の山岳地帯の地盤が脆い為、未だ開通に至らず。最近漸くトンネルが開通した様ですが、果たしてスムーズに行ける様になるのは何時になるやら。前置きが長くなりましたが、と云う訳で今夜は赤坂小梅の唄う「伊那は時雨て」。越路詩郎作詞、大村能章作曲で、芸者ブーム只中で多忙な日々を送っていた小梅姐さんの知られざる一曲であります💿。

「伊那は時雨て」は、民謡伊那節の旋律をベースにした感のあるスローテンポのメロディ。市丸のヒット曲「天龍下れば」ともリズムがよく似ており、色々と影響が感じられます。全三番構成で、陽旋法のメロディ。一番は赤石山脈や駒ヶ岳の山並み、二番は信州名産のお蚕や糸車、天龍川の長閑な風景が歌われて三番では舟下りの名所天竜峡が出て来ます。小梅の歌声はやや太い感じですが、此の曲では母音が普段よりも高音であり、鳥の囀りの様な瑞々しい歌声が際立っていました。伴奏は三味線、ピアノ、フルート、サックスなどの定番の和洋折衷。作詞者の越地詩郎とは全く聞かない名前ですが、何故か台湾関連の歌で活躍しており新民謡も書いています。A面は上野静夫の歌う「旅の思い出」(佐藤惣之助作詞、佐々紅華作曲)が組まれ、レコードは昭和9年秋に発売されました😀。

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