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ルンペンとその娘 (小玉)。

小玉と云う芸者歌手が歌う「ルンペンとその娘」。サトウハチロー作詞、島田晴誉作曲で、同名松竹蒲田作品の主題歌です。野田高梧原作及び脚本で、松竹のプロデューサーでもある城戸四郎監督がメガホンを取り、出演は若水絹子、水島亮太郎、田中絹代などが名を連ねています。全七巻で昭和6年8月に公開されていますが、恐らく映像は残っていないでしょう。不況が続いてた最中、貧困や格差をテーマにした映画や歌が多数生まれましたが、本作も其の一つでした。また同時期の映画にも「街のルンペン」や「ルンペン熊さん」があり、どうにもならない不景気の中であってさえ映画会社は此の手の作品を世に送り出すのですが、そこには何処か不況をも商機にしていた感もあります🎬。

「ルンペンとその娘」は、松竹管弦楽団楽長を務めていた島田晴誉の作曲で、三番構成の静かでおとなしめな歌です。伴奏はオーケストラではなく、ピアノと三味線のみと云うシンプルなもので、ルンペンに身を窶した父親を思う芸妓の心情を歌います。芸者暮らしはしていても、義理や意地は捨てずに生きると…云う、世の荒波に負けじと生きる女心を描いております。映画の詳細は不明ですが、歌詞から察するに貧困の中で已む無く娘を売った浮浪者の父と、長じて花柳界で生きる娘の愛憎渦巻く物語かも知れません。裏面も同じタイトルですが、作曲は高田守久に変わり、やはり芸者歌手の赤坂百々菊が録音しています。レコードは映画公開に合わせて、昭和6年夏に発売されました😀。

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