ギーガーと光悦

光悦好きな人からしたら「えっ、いまさら?」と言われそうだけど。
少し前に見に行った、上野の東京国立博物館の特別展「本阿弥光悦の大宇宙」(2024/1/16-3/10)を思い出した。あの光悦の書のうねりがもう悪夢に出そうな不気味な肌感覚(自分にとって)。
楷書行書叢書が、ひとつの巻物の中でむにゃむにゃとのたうって呼吸している。しかも一見したところでは怪異でなく、スルスルっ、とも見えるような感じで、ぬるぬると。もうね、H.R.ギーガーですよ。エイリアンの体液に飲み込まれそうだったよ。
意図してやってるならば外連(けれん)がすぎるだろと感じるし(おそらくそっちだろうな、と)、あれが呼吸するように現れているとしたらちょっと怖い。
ぽってりとはらんだような舟橋蒔絵硯箱も、ヘラで横一文字にぶった切ったような口縁の楽茶碗(「時雨」)も。
ひしゃげた茶碗の織部なんかより断然パンクじゃないか。
「やべぇ」、見ていて、ついそう口に出てしまう。

それにしても、ああいう人がいる世の中というのもまたよいものではあるよね。

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