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「第一次世界大戦とスペインかぜ」(数寄語り 2020.7.1)

東京御茶ノ水のレキシズルバーで
毎週お客さんが自分が好きな歴史上の人物や出来事などを語る
15分歴史プレゼン「数寄(すき)語り」
プレゼンターの登竜門ともなり、だれでも手を挙げればできるもの。

2011年から開催され、歴史も積み重ねてきたわけですが、
レキシズルバー13年目に突入したのを機に、
筆者が独断(そして行けた日に限る)で選んだ語りのレポを始めてみました。

第一弾は、最古参でミスター三国志と呼ばれるプレゼンターによる
”第一次世界大戦とスペインかぜ”。

ある人がスペインかぜに罹ったことで
歴史の流れが変わった、という驚きのストーリー展開。

そもそも「スペインかぜ」とは、
スペインでもなく、かぜでもない。
発生源はアメリカと言われている新型インフルエンザ。

時は第一次世界大戦、ヨーロッパを中心に戦争の真っ只中。
政府は感染症の事実を隠蔽。
スペインは中立国だったので、
感染症の事実を開示したために、この名前がついた。

では日本政府はどうしていたか?
特に自粛要請することなく、マスク、うがいを推奨するポスターを
劇場などに掲示したキャンペーンをしていただけ。

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スペインかぜについてまとめると
・1918(大正7)年に発生したインフルエンザ
・感染者は世界で5億人(当時の人口の3分の1)、死者は4000万人
・日本では40万人以上が死亡(関東大震災の4倍)
という史上最悪のパンデミック

これによって第一次世界大戦が早く終わったとも言われている。

さて、ここでクイズ。
死亡者が最も少ない年齢層は?
イ. 0〜30歳
ロ. 31〜60歳
ハ, 60歳以上


正解はハ

スペインかぜの30年前にもインフルエンザが大流行し
その時に感染した人には免疫があったのでは、
戦地で大流行したために、若い人が多く亡くなっているのでは
という説もある。

これだけの人が感染していれば、当然有名人も罹患。
日本では原敬や高橋是清も。

世界の指導者も罹患したが、その代表的な人物が
アメリカ大統領ウィルソン。
国際連盟を提唱した進歩的な考えの人だ。

なんと、第一次世界大戦後のパリ講話会議中に罹患。
敗戦国のドイツに賠償金を請求しない提案をしていたのに、
彼がスペインかぜで朦朧としている間に、
イギリス、フランスがドイツに多額の賠償金を課すよう押し切った。

このことが、ヒトラー誕生とナチス台頭のきっかけとなり、
第二次世界大戦へとつながった。

世界の流れを大きく変えた”スペインかぜ”
なのに、なぜか忘れ去られてしまった。

パンデミックは人類全体で立ち向かうもの、
この歴史を教訓として知ってほしいという思いで、
プレゼンターは語ってくれた。

歴史を教訓とせよ、とはよく言われるけど、
いまいちピンときていなかった。
このパンデミックのおかけで本当にそうだなと納得。
視野を広げるためにも、歴史を学ぶって
大切だなと思った夜なのでした。

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