見出し画像

今一度問いたい『あなたと叶える物語』

『虹ヶ咲の主人公って誰?』

人によって様々な答えがあると思いますが、自分はここに虹ヶ咲のプロジェクト構造の歪みを感じるというか、率直に言って現在の運営に対して疑問があります。

スクスタを実質引退してもくすぶるこのモヤモヤを他に吐き出す場所もなく、こうしてnoteに書き殴ることにしました。

とはいえ、コンテンツの楽しみ方は人それぞれであると思います。

現在、虹ヶ咲およびスクスタを心の底から楽しんでいる方々を否定する意図はありませんので、そうした方はここから先は読まないことをお勧めいたします。
いいことはあまり書いていませんし、推測や主観が多く含まれます。

このnoteは客観的に見た情報をまとめた分析記事ではなく、あくまで一個人の考えをまとめただけものです。
以降の内容を読まれる際は、以上ご認識の上でお願いいたします。

従来プロジェクトの展開

比較のため、ラブライブの従来プロジェクトの展開についてざっくりまとめてみます。すなわちμ'sやAqoursはどんな展開をしてきたのか?という振り返りです。

振り返ってみると、やはりアニメがプロジェクト展開の要となっている印象があります。
実際アニメ放送によって大きく話題を獲得したし、ナンバリングのライブはアニメ展開があった場合、基本的にそれに沿ったものになっています。

立ち上げ時期はg's展開や漫画が軸となっている時期もありましたが、アニメ放送後はそちら寄りにキャラクターや設定が語られる方が多くなったのは間違いないと思います。

ここでのポイントは、同時に展開されていたスマホゲームである『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』(以下、スクフェス)はメディアミックスの一作品の立ち位置に徹していたことです。

ラブライブの入口としてコンテンツの躍進に大きく貢献しましたが、ストーリー自体はソシャゲにありがちなもので、アニメとの設定の乖離を強く感じさせるものではなかった…と思います。

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の展開① スクスタリリースまで

ではニジガクについてですが、ここではソロ活動メイン云々について語ることはありません。

ここで触れたいのは、虹ヶ咲がゲームアプリである『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』(以下、スクスタ)発のグループであるという点です。

これが、最近ほとんど忘れられている気がしてなりません。

2017年に発表されたPDPとは、スクスタという3Dモデルによるダンスパフォーマンスが楽しめるアプリゲームのリリース(速い話が3Dスクフェス)と、新たなスクールアイドルである虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の結成からなるプロジェクトでした。

つまり、ゲームを主軸にした展開である点がμ'sやAqours(とLiella!も)と決定的に違う点と言えます。

これは、
・1stシングルのPVが従来と異なりゲームを意識した3DCGであったこと
・『TOKIMEKI Runners』は一応「スクスタのテーマソング」とされていたこと(忘れがち)
・キャラクター個別の楽曲は基本的にゲーム内のキズナエピソードで誕生の経緯が描かれていること
なにより、
・μ'sやAqoursが大きく成長してきたアニメの展開が当初予定になかったこと
などから明らかであると考えます。

さて、虹ヶ咲の展開を一度時系列で整理してみます。

2017年、PDPが発表されました。
この頃、スクスタの展開としては1stシーズンのシナリオが決まっており※1、また声優陣のボイス収録もこの頃※2でした。ビッグタイトルのプロジェクトなので、数年先まで計画して運営するのは当然といえば当然です。

※1 シナリオライターである雨野氏のツイートより。
※2 上原歩夢役:大西亜玖璃さんのコメントより。

2017年時点でのリリース予定は2018年内でした。
余談ですが、2017年はサンシャイン2期の制作〜放送の時期と被るので、栞子加入(というか新キャラ続々追加するスクスタの方針)はSaint Aqours Snowの結成に影響を受けた展開ではないか、というのが筆者の考えです。

2018年にデビューアルバムである『TOKIMEKI Runners』がリリースされましたが、スクスタは配信延期となりました。おそらく、スクスタ本来のリリース予定は、このトキランのリリースとほぼ同時期だったのではないでしょうか。(キズナエピソードや7章までの内容からの推測)

そしてスクスタが実際にリリースされたのは2019年です。ここまで虹ヶ咲の活動としては誌面展開がほとんどを占めていました。
同年には1stライブが開催され、ここで本来予定になかったとされるアニメ制作決定が発表されました。
これは、トキランと同時期にスクスタをリリースすることによるブーストができなかったので、今までのプロジェクトでヒットの起爆剤となったアニメの効果を使うことで、遅れた分のリカバリーを見込んだのではないでしょうか。

ここまでの事実を確認すると、

○ニジガクはあくまでスクスタ発のグループである

○2017年にはメインストーリー1st seasonの内容はは決まっていた

○本来アニメ化の予定はなく、スクスタが主な活躍の場となる予定だった


となれば、ランジュやミアの加入や2nd seasonの展開も数年前には決まっていた可能性が高いと考えられますし、逆にいえばスクスタの展開は既に数年後まで予定されている(あるいは"いた")と考えるのが妥当でしょう。

スクスタの「虹ヶ咲②」から推測してみても、3rd以降もバンバンキャラ追加するつもりだったように思います。
しかし、現在はこのページ分割が無くなっているので「炎上してるけど、もう配信が始まっている2ndは微修正で完結して、3rdから練り直しましょう」みたいな方針転換がどこかであった可能性も否定できません。

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の展開② スクスタリリース後

さて、満を持してリリースされたスクスタですが、そのゲーム性は置いておくとしても、シナリオ面では特に1stシーズン後半以降は賛否両論の展開が続きました。2020年にはアニメPV付きシングルの『無敵級*ビリーバー』が発売されましたが、同年8月に賛否両論展開の中心人物であった三船栞子が同好会に新メンバーとして加入したことはそれなりに物議を醸しました。

年末にかけて放送していたアニメは従来ファンに比較的好感触で受け入れられた一方で、同時期に展開していたスクスタ2ndシーズンが大荒れとなったのは周知の通りです。

メディアミックス展開としてアニメとゲームが互いに盛り上げていくのが理想的ですが、実際はアニメとゲームで乖離したキャラクター性をファンが忌避し、逆にアニガサキから入った新規がスクスタを始めるのを古参が必死に制止する、というケースもまま見られたようです。

さらに、ナンバリングライブである3rdライブのほとんどはアニメの楽曲で構成され、スクスタ新規メンバーの栞子は不参加でした。

スクスタ発のスクールアイドル、という触れ込みだったはずの虹ヶ咲のナンバリングのライブが、スクスタ独自の要素無し、アニメ主軸で完結したということです。

スクスタパートとアニメパートを分けたり、といったこともなく、本当に栞子(小泉さん)が一切登場しないライブでした。

3rdライブ自体に問題があるとは思いません。非常に良いライブであったと思います。しかしプロジェクト全体で見ると、スクスタ発のグループ、という立ち位置を軽視したことで、プロジェクトの方針のブレがライブを通して見えているように感じました。

むしろアニメ二期の製作発表もあったことで、虹ヶ咲も今後はμ'sやAqoursのようにアニメ主軸の展開を続けていくんだ、という印象が深まったのではないでしょうか?

プロジェクトの歪み

スクスタの評判は下がり、アニメ主軸の展開が増えた。コンテンツ展開もブレているように感じられる。
では結果的に何が起こったのか。

①虹ヶ咲の主人公は「高咲侑」

これが最初の問いかけで言いたかったことです。
スクスタ配信開始直後であれば多くの人が「あなた」と回答していたと思いますが、今では「高咲侑」の回答が割合的に一番多く、「あなた(スクスタちゃん)」と答える人はかなり減っているのではないでしょうか。

データはなく、あくまで推測です。
しかし、あなたより侑ちゃんが好まれているという傾向をSNSなどで常々感じています。

主人公が1人のキャラクターとして動き喋るアニメと、一切のビジュアルもボイスもなく、紙芝居方式主人公なスクスタではアニメの方が印象に残るのは当然と言えば当然ですが、ここで問題となるのは、『あなたと叶える物語』である虹ヶ咲において、『あなた』の認識がファンの中で少しずつ変わってきていることです。

別にあなたちゃん≒侑ちゃんと言えるほど2人が似ているなら問題はないのですが、2ndシーズンの温厚通り越して何かが壊れているとしか思えないあなたちゃんと、アニメの侑ちゃんの人物像はとても同一視できるものではなくなっています。

もともと「あなた」という姿のない主人公はとても不確かな存在でした。そこにアニメ版とはいえ明確に姿が描写された結果、「あなた」のイメージは侑ちゃんのイメージで上書きされてしまったのではないでしょうか。

名前を決める投票において「高」の字を与えられたことからも、ファンの間で彼女を主人公に据えようという意識があるように思います。

実際に侑ちゃんの発表後オリジナル外見のあなたちゃんファンアートを見る機会は激減していますし、「侑ちゃんなんか認めない!あなたちゃんこそ主人公!」という主張は意外なほどに見かけません。

こうなると活動の軸であるべきスクスタはある意味主人公不在のゲームということになります。
これだけでコンテンツのメインストリームとしては致命的かもしれません。

②アニガサキが正史だ!という意見が増えた

スクスタメインストーリー内における、ランジュたちスクスタ後発組の立ち振る舞いに目を瞑ったとしても、一部キャラクター(愛、果林など)の扱いが悪く、彼女らを推しとするファンや箱推し勢から、スクスタから離れて「アニガサキがあればいい、アニガサキが正史」という意見が散見されるようになりました。
上記メンバー以外の扱いもアニメの方が好きという意見は多く見られます。
スクスタが唯一の供給であるなら推しの活動として追わざるを得ない面もありますが、今は毎月胸糞悪いストーリーの供給をわざわざ待たなくても、アニガサキ2期の放送を待てるという点はスクスタから人が離れる一因となったように思います。
少なくとも、虹ヶ咲の活動の軸であるべきスクスタが、現状多くのファンにそっぽを向かれているのは事実です。

③アニメの曲を入れたことによる後追い・媚び感と方向性のブレ

アニメだけで満足されないように、ということなのか、放送後にスクスタ内で虹パなどアニメ版人気曲が実装されました。
しかし、これによって「スクスタが活動の軸」という印象が更に薄れてしまったのではないか、と思います。

これでは「アニメはオマケで、虹ヶ咲の展開の軸はあくまでスクスタです」という主張すら説得力を失ったように思います。これではただのアニメ原作のソシャゲと同じです。

アニメ1期不参加の都合上、スクスタがメインの活動の場である栞子が、スクスタに新規実装される虹ヶ咲全員曲のmvにいない、と扱いが宙ぶらりんになっています。
生放送でも、現状矢野さんと小泉さんは共演することができません。

スクスタおよび虹ヶ咲の今後

満を持して加入したミア&ランジュですが、現状は引退者続出+Twitter公式アカウントのフォロワー数減少。

アニガサキというファンにとっての救いも、逆に言えばアニガサキという受け皿によってスクスタのアクティブ数減少は深刻化している…という可能性もあります。

今までもシリーズ間のファンの対立やG's本誌とアニメ設定のズレが物議を醸すことはありましたが、ここまでコンテンツ自体の軸がブレブレになっているというのは今までになかったと思います。

確実なのはアニメ2期の制作は進んでいるはず、というところで、一方でスクスタの方も栞子、ランジュ、ミアは既に世に出ており、彼女たちの扱いはかなりデリケートであると予想されます。

いずれにしても、アニメとゲームどっちつかずな現状のままでプロジェクトを進めていては、追加キャラも宙ぶらりんのまま、去ったファンが戻ってくることはないでしょう。
ここになんらかの回答をしない限り、ニジガクが今以上に羽ばたくのは難しいと思います。

プロジェクト回し手の意向にはなりますが、どうも虹ヶ咲にはスクスタのリリースが遅れた結果、アニメ周りで行き当たりばったりを感じずにいられません。

運営はプロジェクトの『あなたと叶える物語』というフレーズを本当に大切にして展開を決めているんでしょうか?

ラブライブは、キャラクターと声優の皆さんとが皆に愛されて大きくなったコンテンツで、シリーズごとに違いはあっても、みんなで叶える物語であることは変わっていないと思います。

たとえゲーム発の存在だったとしても、ニジガクのキャストの皆さんが精いっぱいスクールアイドルとして努力しているのは間違いないですし、ファンはそれを応援しています。

その努力がこうした要因で台無しになってしまうのは、一ファンとして非常に悲しいです。

今からでも、運営には誠意を持った対応を望みます。何をどうするのが正解なのか、もう自分にはわからなくなってしまいましたが。

以上です。お目汚し失礼しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?