にゃーとわん

街を歩いていますと、にゃーとネコの鳴き声が聞こえました。
私はこんなところで急にネコの鳴き声が聞こえるなんて珍しいなと思いました。
すると次はわんとイヌの鳴き声が聞こえました。
私はこれまた珍しいなと思いました。
いつもはわんと聞こえた後ににゃーと聞こえましたから、その順番が逆になっているのです。
少し気になったので鳴き声が聞こえた路地裏の方へ行ってみますと、案の定ネコとイヌは喧嘩をしていました。
「まぁまぁネコさんイヌさん、何をそんなに喧嘩をしているんですか。」
するとネコはこう答えました。
「いつもイヌが先に鳴くんだ。俺だって先になきたいっていうのに。」
それに対してイヌは
「イヌの後にネコがなくのは決まりなのよ。私が先に鳴いて当然じゃない。」と反論しました。

私はなんとか仲裁をしようとしましたが、ネコの言い分もイヌの言い分も正しいような気がしてどちらかに決めることはできませんでした。

「そうだ、こうするのはどうでしょう。交互に鳴くのです。イヌが先に鳴いた次はネコが先に鳴いて、その次はもう一回イヌにもどる。そうして順番に鳴けば不公平もないでしょう。」
するとネコは怒って言いました。
「これまで俺は2番手で我慢してきたのに、なんでさらに我慢しなきゃいけないんだ。」
負けじとイヌは言いました。
「私はこれまでずっと1番だったのよ。ネコが1番の機会を増やすのに、私は1番の機会が減るなんて不公平よ。」

私はイヌやネコよりも頭が悪いものですから、イヌとネコのどちらのいい分が正しいかがわかりませんでした。
私がこのままここにいてもしょうがないので、イヌとネコがわんとかにゃーとか言っている間に、チュウと鳴いて帰りました。

次にお会いした時にはその後どうなったかを聞こうと思っているのですが、それ以来わんともにゃーとも、にゃーともわんとも聞こえてくることはありませんでした。

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