リターン トゥー フォーエバー(3)

3 一時の別離

島が見えてくる、出港から30分くらいだったろうか
この島に寄港し、更に次の島までがこの船のルートであり
彼女やジョーは次の島にゆく
僕もそうしたかったがこの国での長期滞在のため
銀行や郵便局のあるこの島に立ち寄る必要があった

桟橋がいよいよ近づくと、逮捕されているらしい若者が何名か見えた
ドラッグだろう
船に乗せられ強制的に退去させられるのだろうか
眩しい日差しの下、まるで陽炎や蜃気楼のようにその風景は
現実味も不安も抱かせず
僕は彼らにほとんど何の興味も覚えなかった
あるいは、それよりも彼女とここで一時にせよ離別する事に対して
気持ちが動揺していたのかも知れない

船が繋がれ、乗客が下船を始める
その流れに押される中、僕と彼女は互いの頬にキスをした
「すぐに行くから、会いに」
彼女はその時も少しだけ寂しげに微笑んだ

狭い甲板、立ち止まっている余裕は無かった
「ジョー!」
「彼女を頼む!」

「Why not?」

ジョーの屈託のなさがやけに頼もしい
かくして、僕の最初の目的地だった島は見事にただの通過点へと姿を変え
そして僕はその島へと上陸した

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