リターン トゥー フォーエバー(10)

二つめの島

リュックを背に桟橋へ降りる
予定していた目的地を通り過ぎ、名も知らなかった島へ辿り着いた
元々、どこへ向かえば良いのかも解らずマレー半島を南下してきた僕にとって
それは不思議に良い気分だった
知らない場所
誰でも無い自分
逃げて来た
共に過ごした場所から

意味の無い世界に何かしらの意味を見い出すように
無意識の自分に主導権を委ねるように
不条理な事象をただ在るがままに
自分の感情は怯えた小動物が巣穴に引き篭もるように
少しばかり奥まった所で傷つかないよう小さくなっていた

帰る場所は無くなってしまった

桟橋の周りには観光客が過ごすような場所は無く
トラックバスが運んでくれるようだ
ジョーや彼女が言っていた場所の名を言うと
トラックの荷台に乗せられた
座席はもちろん幌も付いていない、ただの荷物を運ぶ為の普通のトラックだ
(実際に荷物も積まれていた)
いよいよ彼らの方へ向かう、無事に会えるだろうか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?