MMSE ミニメンタルステート検査(認知症) 心理検査2 MMSE-J,CDR,MCI追記 事例問題含 公認心理師試験解説

MMSE ミニメンタルステート検査

MMSE(Mini Mental State Examination,
ミニメンタルステート検査)は、
認知症のスクリーニング検査である。

1975年,米Folsteinh(フォルスタイン)夫妻開発の質問セット。


11の質問で、時場の見当識,記憶力,計算力(シリアル7),遅延再生,言語的能力,図形的能力などをカバー。

30点満点、24点以上で正常。
20点未満では中等度、10点未満では高度な知能低下と診断。
27点以下は軽度認知障害(MCI)が疑われる(感度45-60%、特異度65-90%)18-20)とする場合も多い。


質問内容
1 日時(5点) 時間の見当識
 今年は何年ですか。
 いまの季節は何ですか。
 今日は何曜日ですか。
 今日は何月何日ですか。
2 現在地(5点)場所の見当識
 ここは何県ですか。
 ここは何市ですか。
 ここは何病院ですか。
 ここは何階ですか。
 ここは何地方ですか。
3 記憶(3点) 記憶力(即時想起,直後再生)
 相互に無関係な物品名を3個聞かせ、それをそのまま復唱させる。
 1個答えられるごとに1点。すべて言えなければ6回まで繰り返す。
4 7シリーズ(5点) 計算力
 100から順に7を引いていく。5回できれば5点。間違えた時点で打ち切り。
 あるいは「フジノヤマ」を逆唱させる。    
5 想起(3点) 遅延再生
 3で示した物品名を再度復唱させる。    
6 呼称(2点) 物品呼称
 時計と鉛筆を順に見せて、名称を答えさせる。
7 読字(1点) 文の復唱
 次の文章を繰り返す。「みんなで、力を合わせて綱を引きます」    
8 言語理解(3点) 口頭指示
 次の3つの命令を口頭で伝え、すべて聞き終わってから実行する
 「右手にこの紙を持ってください」
 「それを半分に折りたたんでください」
 「机の上に置いてください」    
9文章理解(1点)  書字指示
 次の文章を読んで実行する。「目を閉じなさい」    
10 文章構成(1点) 自発書字
 何か文章を書いてください。
11 図形把握(1点) 図形複写
 次の図形を書き写してください。(五角形右角に同図の角が斜に重なる図)

・図形模写などの動作性検査を含む(HDS-Rとの違い)。
・非言語性課題は1問だけで3問もない。
・シリアル7課題は「計算」課題だが、100から7を5回引かせる。4回ではない。
・遅延再生課題は直後再生課題の2つ後の課題で行う。4つ後ではない。
・直後再生課題では、大切なことを6回繰り返して聞く。

MMSE-J 20210731 追記

MMSE-J自体は2006年に日本語版が出ているが、2019年1月に改訂版が出ており、新ブループリントのキーワードはこちらである。(この辺り、ミヤガワ先生の説明は語弊もありような https://www.youtube.com/watch?v=oeBdT0CO5Ds )

改訂箇所は次のとおり
・注意と計算課題の施行法を原板に即した形に変更
2012版でのシリアル7と逆昌両方実施をシリアル7拒否の時のみ逆昌とした
・健常 MCI(経度認知障害) 軽度AD(軽度アルツハイマー) のカットオフ値設定
MMSE-Jのみの場合
 28以上    健常者
 24以上27以下 MCI(軽度認知障害)
 23以下    軽度認知症
DSM-5、ピーターセンの定義、FASTを用いた場合
 28以上    健常者
 24以上27以下 アルツハイマー病による健忘型MCI(経度認知障害)
 23点以下   軽度アルツハイマー病(経度AD)

参考:
https://www.nichibun.co.jp/kensa/detail/mmse_j.html

CDR 20210731 追記

Clinical Dementia Rating は認知症の重症度検査
家族や関係者への聴取と、本人への問診により行う
介護状況(PC)の評価があり、人の見当識障害は重度に判定される
健常と認知症の境界は0.5,軽度1,中等度2,重度3 の点数で五段階


設問関連心理検査一覧

ウェクスラー系知能検査の年齢域 覚え方
WPPSI 2.6-7.3、WISC 5-16.11、WAIS 16〜90.11 と言える。
・WIPPSI受けるジ(2)ロ(6)ー何(7)歳(3)?
・WISC はまだコー(5)ヒー(1)無(6)理だよぉ〜!
・WAIS はWISCと1年被らせの90歳まで
※ちなみにK-ABCも2.6から
【語呂合わせ】ゴハン食べ終わって観てね。知能検査WISC-Ⅳ!
https://www.youtube.com/watch?v=5w3-egm8EJs

BACS 統合失調症認知機能簡易評価尺度
The Brief Assessment
of Cognition in Schizophrenia
Keefeらによる、言語性記憶,ワーキング・メモリ(作動記憶),運動機能,注意,言語流暢性,遂行機能を評価する6つの検査で構成,所要時間約30分実用的な認知機能評価尺度。

STAI 状態・特性不安検査
State-Trait Anxiety Inventory
1970年、Spielberger,C.Dによる「不安の特性・状態モデル」に基づいて作成
全40問の質問で構成 不安の2因子(状態不安・特性不安)を測定

田中ビネー知能検査
2才からの知能検査

YG性格検査(矢田部 ギルフォード性格検査)

120問 30-40分 12因子 下位尺度各10問 小2- 高
J.P.Guilford作を矢田部達郎が日本向けに改良
 A平均,
 B不安定不適応 積極,
 C 安定適応 消極,
 D 安定    積極,
 E情緒不安  消極 の5つに判定可
職場の適正診断に使われ、結果はグラフ化
虚偽尺度がなく結果が歪められやすい


BDI-Ⅱ ベック抑うつ質問票
13-80才に適用。A.T.Beckが作成。
1961の初版から1996年のものまで改良が続けられている。
得点19点は鬱との境界。希死念慮はない。
0 ~ 10 この程度の落ち込みは正常範囲です。ただの憂うつな状態です。
11 ~ 16 ノイローゼ気味です。軽いうつ状態です。
17 ~ 20 臨床的な意味でのうつ状態との境界です。専門家の治療が必要です。
21 ~ 30 中程度のうつ状態です。専門家の治療が必要です。
31 ~ 40 重いうつ状態です。専門家の治療が必要です。
40 以上 極度のうつ状態です。専門家の治療が必要です。
https://www.sannoclinic.jp/bdi.html
20が境界という捉え方が適用できる。

WAIS-Ⅳ
全検査IQは98なら正常値。100が平均、70以下だと低いと言える。
言語理解指標と処理速度指標に大きな差が出る場合がある。


3 97 MMSE について、正しいものを1つ選べ。
① 非言語性課題が3問ある。
② 人の見当識課題は含まれない。
③ シリアル7課題100 から7を順に引くは4回まで行う。
④ 直後再生課題に続く4課題の後に、遅延再生課題が実施される。
⑤ 直後再生課題では、全ての名称を言えるまで4回繰り返して尋ねる。

正解は2

1 137
26歳の男性A、会社員。Aは仕事上のストレスが原因で心理相談室に来室した。子どもの頃から忘れ物が多く、頑固だと叱られることが多かった。学業の問題は特になかった。友人はほとんどいなかったが、独りの方が楽だと思っていた。就職した当初はシステムエンジニアとして働いており、大きな問題はなかった。しかし、今年に入って営業部に異動してからミスが増え、上司から叱責されることが多くなった。Aは「皆がもう少しゆっくりやってくれたら」と職場への不満を口にするが、「減給されるので仕事は休む気はない」と言う。
Aに実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① BACS
② MMSE
③ STAI
④ WAIS-Ⅲ
⑤ 田中ビネー知能検査

正解は4


1t62 84歳の女性。5年前に Alzheimer 型認知症と診断された。現在、ミニメンタルステート検査<MMSE>が5点で、介護老人保健施設に入所中である。夜中に自室からスタッフルームにやってきて、「息子が待っているので自宅に帰りたい」と言い、廊下を歩きはじめた。
 このとき、一般的に勧められる職員の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① 息子に連絡し、外泊をさせるように依頼する。
② 頓用の睡眠薬を服用させ、徘徊による体力の消耗を避ける。
③ 施錠できる安全な部屋に誘導し、保護の目的で扉を施錠する。
④ 息子は自宅に不在であることを説明し、自室に戻るよう説得する。
⑤ しばらく一緒に廊下を歩き、「夜遅いのでここに泊まりましょう」と提案する。

正解は5


2 140  22 歳の女性 A。A は職場での人間関係における不適応感を訴えて精神科を受診した。ときどき休みながらではあるが勤務は継続している。親と仲が悪いので2年前から単身生活をしているとのことである。公認心理師が主治医から心理的アセスメントとして、YG 法、BDI-Ⅱ、WAIS-Ⅳの実施を依頼された。YG 法では E 型を示し、BDI-Ⅱの得点は 19 点で希死念慮はない。WAIS-Ⅳの全検査 IQ は 98 であったが、言語理解指標と処理速度指標との間に大きな差があった。
 公認心理師が引き続き行う対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① MMSE を実施する。
② 田中ビネー知能検査Ⅴを追加する。
③ 家族から情報を収集したいと A に伝える。
④ 重篤なうつ状態であると主治医に伝える。
⑤ 生育歴についての情報を A から聴き取る。

正解は5


3 70 72歳の男性A。Aは、高血圧症で通院している病院の担当医に物忘れが心配であると相談した。担当医の依頼で公認心理師Bが対応した。Aは、1年前より徐々に言いたいことがうまく言葉に出せず、物の名前が出てこなくなった。しかし、日常生活に問題はなく、趣味の家庭菜園を楽しみ、町内会長の役割をこなしている。面接時、軽度の語健忘はみられるが、MMSEは27点であった。2か月前の脳ドックで、頭部MRI検査を受け、軽度の脳委縮を指摘されたという。BのAへの助言として、不適切なものを1つ選べ。
① 高血圧の治療を続けてください。
② 栄養バランスのとれた食事を心がけてください。
③ 運動習慣をつけて毎日体を動かすようにしてください。
④ 生活習慣病の早期発見のために定期的に健診を受けてください。
⑤ 認知症の予防に有効なお薬の処方について、医師に相談してください。

正解は5

27点は認知症が軽く疑われるというが、正常値とする場合もある。この程度で医師に見させても業務の妨げになるし、この言葉掛けは不安を煽る。

3 96 Clinical Dementia Rating〈CDR〉について、正しいものを1つ選べ。
① 介護必要度に関する評価はしない。
② 質問調査による他者評価尺度である。
③ 健常と認知症の境界は、0.5点である。
④ 判定には、家族からの情報は考慮されない。
⑤ 人の見当識障害は、中等度障害と判定される。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?