MMPIミネソタ多面的人格目録 心理検査3 公認心理師過去問解説

MMPIミネソタ多面的人格目録

MMPIミネソタ多面的人格目録(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)は、1943年にアメリカミネソタ大学病院の精神神経科心理学者 S.R.Hathaway(ハサウェイと、精神科医J.C.Mckinley(マッキンリー)によって開発された性格検査である。
患者群と非患者群との間の統計的有意差を基に作られ、妥当性信頼性が高い検査とされる。
質問項目は 550 項目あり、実施時間は1時間以上(45-80分)を見込む。
各質問項目は あてはまるorあてはまらない の2件法だが どちらでもない も回答可。4つの妥当性尺度と10個の臨床尺度からなる。?LFK、
妥当性尺度は、?尺度、L尺度、F尺度及び K尺度の4つを指す。

MMPIの4の妥当性尺度
?は多いと試験の妥当性を欠く。以下、()内は試験対策用
LはLie(like)嘘の尺度。好きな自分をよく見せようとする。
 30点以上で妥当性に問題あり。
FはInFrequency(不良)で頻度尺度。通常10%以下。苦しさの誇張、
 でたらめ,非協力,大袈裟を表し青年期に高めの傾向。
KはDefensiveness(警戒心)修正尺度。(何の頭文字か不明)
 警戒,心理問題を認めぬ傾向(低いと素直と自己批判)。
 Suppressor(Correction)抑圧(補正)ともされ回答歪曲修正の項目。

MMPIの10の臨床尺度
次の10 個の臨床尺度から構成される。
他にも追加尺度は数多く開発されており100を超える。
神経症圏 1-3
 1Hs心気症Hypochondriasis,
 2D抑うつDepression,
 3HyヒステリーHysteria
4Pd精神病質的偏奇性Psychopathic Deviate,
5Mf男子性・女子性 Masculinity/Femininity(性別により解釈基準が異なる)
精神病圏 6-9
 6Pa偏執(妄想)症Paranoia,
 7Pt神経衰弱Psychasthenia,
 8Sc統合失調症Schizophrenia,
 9Ma軽躁病Hypomania
0Si社会的内向Social Introversion

1-3は神経症圏,6-9は精神病圏に分類される。
平均値が50、標準偏差が10で標準化されているので90は高得点。
もし、0Si社会的内的傾向と、7Pt神経衰弱が90なら、不安障害(脅迫性)やパーソナリティ障害(脅迫性)を疑う。
T得点とは​偏差値のことである。
ほとんどの臨床尺度の T 得点が 60 を超えていて、妥当性尺度は、?尺度=0、L 尺度= 30、F 尺度= 90、 K 尺度= 40 なら、Fが異様に高く、大袈裟のキーワードから精神的な苦痛を誇張気味に訴えようとしていると言える。
※0と7が高いと精神錯乱ではない。2件法+どちらでもない なので5件法ではない。また、臨床尺度は10個で20個ではない。

設問関連心理検査

MAS 顕在性不安尺度 Manifest Anxiety Scale
16- 中 J.A.Taylor(テイラー)による不安のスクリーニング用検査。
50項目 5分 日本語版は妥当性15項目が追加。
22点以上で顕在性不安の兆候ありで、MMPIの不安項目から作成された。
※CMAS(Children-,子供向け)

CAPS PTSD臨床診断面接尺度
Clinician - Administered PTSD Scale
米National Center for PTSD 作成
・DSMの診断基準を基に作成 ・各症状の程度をアンカーポイントにそって評価 ・最も精度の高い診断法、信頼性と妥当性が検討されている ・心理検査として診療報酬点数が認められている ・実施法について講習を受ける必要がある (講習案内の情報は日本トラウマティック・ストレス学会より入手可能)

IES-R 改訂出来事インパクト尺度
Impact of Event Scale ‒ Revised
Weissらが作成。CAPSと共にPTDSの代表的な尺度
・侵入症状(再体験症状)、回避症状、過覚醒症状を評価 ・最近1週間の22項目の症状について、その強度を0~4点で評価 ・短時間に実施可能 ・スクリーニングのための尺度として有用だが、確定診断はできない ・わが国で広く用いられている ・心理検査として診療報酬点数が認められている ・下記より質問紙・説明書ダウンロード可
http://www.igakuken.or.jp/mental-health/IES-R2014.pdf
http://www.jstss.org/wp/wp-content/uploads/2014/07/IES-R
日本語版と説明書2014.pdf

CPT ADHDにおける持続処理課題
Continuous Performance Test
CPT は一定時間に特定の刺激にだけ反応し続けるなどの作業の様子から,注意機能を評価する検査である。CPT はいくつかの種類が作られている

Y-BOCS イェール-ブラウン強迫観念・強迫行為評価スケール
Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale
強迫性障害(Obsessive–compulsive disorder, OCD)用
子ども用にCY-BOCSがある。

SCT 精研式文章完成法
Sentence Completion Technique。40-45分ほどの試験。
投影法の人格理解。単語や未完成短文を刺激語に連想される文章を記入する。
(SCTにはForer(フォーラー)のFS-SCTを発展させた片口らのK-SCTなども)

TAT 絵画統覚検査
Thematic Apperception Test
2回に分けたら各50分 5歳以上向け
人格診断,絵に意味的解釈(統覚)する
ハーバード大のH.A.Murrayらによる


P-Fスタディ 絵画欲求不満テスト
Picture Frustration Study
小3-中,中-大,15- 向け。S.Rosenzweig(ローゼンツァイク)による
右の人はどう答えるか?と絵の吹き出しにセリフを入れる投影的手法、児童適用が容易
攻撃性の方向 自分: 自責傾向 他者: 他責傾向 向かわない: 無責傾向
攻撃性の型  障害優位(壊れた) 自己防衛型(気を付けろ) 欲求固執型(弁償しろ)
(非)人為的な[自我阻害場面]と非難・詰問の[超自我阻害場面]に大別

ロールシャッハ・テスト Rorschach test, Rorschach inkblot test
幼児以上
人格理解。左右対象のインクの染みを問う。代表的な投影法検査

バウムテスト
Baum Test, Tree Drawing Test, The Tree Test
幼児- K.Koch(コッホ)による。
当初は「職業適性検査」に用いられた。6歳で一本幹から二本幹になる。
M.Grunwald(グリュンワルド)の空間象徴理論で解釈されるが、基本にまではしない
 樹冠 自己評価,精神活動,人間関係の態度
 樹木 形に心理的発達
 枝 人間関係の相互作用,社会との精神的交流
 枝先 社会との相互交流,欲求,感情

新版K式発達検査
0.3才より 45-75分
発達の進度を推定する検査。Kは京都の頭文字。
対象児の直接的観察による採点が基本。
難しければ養育者からの聴取も便宜的に認められる。
姿勢-運動,認知-適応,言語-社会の3領域。発達指数を算出。
発達状況や行動特性の理解,望ましい発達を援助する手がかりを得る。
2001年版と追加項目のある2020版が出ている。

BGT ベンダー・ゲシュタルト検査
Bender Gestalt Test,
Bender Visual Motor Gestalt Test
5才以上 5-10分 M. Wertheimer
児童用5-10(コピッツ法,筋肉未熟),
成人用11-(パスカル法,回転・繰り返しのテスト。
9個の幾何学模様を模写し、描かれた図形から認知機能を推定する。
器質な脳障害の検査にも用いることができる。


ウェクスラー系知能検査

ウェクスラー系知能検査の年齢域 覚え方
WPPSI 2.6-7.3、WISC 5-16.11、WAIS 16〜90.11 WMS-R 16-74 と言える。
・WIPPSI受けるジ(2)ロ(6)ー何(7)歳(3)?
・WISC はまだコー(5)ヒー(1)無(6)理だよぉ〜!
・WAIS はWISCと1年被らせの90歳まで
※ちなみにK-ABCも2.6から
【語呂合わせ】ゴハン食べ終わって観てね。知能検査WISC-Ⅳ!
https://www.youtube.com/watch?v=5w3-egm8EJs

WMS-R ウエクスラー記憶検査
Wechsler Memory Scale-Revised
45~60分 16-74才
「一般的記憶」と「注意/集中力」の2つの主要な指標、「一般的記憶」を細分化した「言語性記憶」と「視覚性記憶」の指標。「遅延再生」指標も求めることができます。
次の13の下位検査
1情報と見当識, 2精神統制, 3図形の記憶,
4 論理的記憶I, 5 視覚性対連合I, 6 言語性対連合I, 7 視覚性再生I,
8数唱, 9視覚性記憶範囲,
10論理的記憶II,11視覚性対連合II,12言語性対連合II,13視覚性再生II


CAPS,IES-R参考資料(引用文献)
https://www.ohara-ch.co.jp/appendix/pdf/inc09/paroxetineT-TE.pdf


1 109 MMPIミネソタ多面的人格目録Minnesota Multiphasic Personality Inventoryについて、誤っているものを1つ選べ。
1  MAS は、MMPI の項目から作成された。
2 妥当性尺度とは、?尺度、L 尺度、F 尺度及び K 尺度の&つを指す。
3 質問項目は 550 項目あり、実施時間は&時間以上を見込む必要がある。
4 質問項目は、患者群と非患者群との間の統計的有意差を基に作られて
いる。
5 心気症、抑うつ、緊張などの各傾向を測定する 20 個の臨床尺度から
構成される。

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2 139 74 歳の女性。単身生活で、就労はしていない。最近物忘れがひどいと総合病院の内科を受診した。内科医から公認心理師に心理的アセスメントの依頼があった。精神疾患の既往歴はなく、神経学的異常もみられない。以前から高血圧症を指摘されていたが、現在はコントロールされている。頭部CT 検査で異常はなく、改訂長谷川式簡易知能評価スケールは 21 点であった。
 この時点で公認心理師が行う心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
1 CAPS
2 CPT
3 MMPI
4 WMS-R
5 Y-BOCS

1t73 22歳の女性 A、大学4年生。アルバイトや就職活動で疲弊し、試験勉強がまったく手につかないと A は学生相談室を訪れ、公認心理師 に訴えた。A は涙を流しており、事実関係は整理されておらず、混乱 した様子であった。公認心理師とはほとんど視線を合わせず、うつむいたままであった。ベック抑うつ性尺度では、中等度のうつという結果が 出された。MMPI の結果は、ほとんどの臨床尺度の T 得点が 60 を超え ていた。妥当性尺度は、?尺度=0、L 尺度= 30、F 尺度= 90、 K 尺度= 40 であった。
これらの情報からの判断として、最も適切なものを&つ選べ。
1 Aは防衛が強く、問題の程度が低く現れている。
2 一貫性のある回答が多く、素直に回答している。
3 社会的望ましさの回答が多く、検査の結果が歪曲されている。
4 精神的苦痛を誇張しているため、全体の得点が高くなっている。

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1t90 次の各種心理検査について、最も適切なものを1つ選べ。
1 バウムテストは発達レベルの評価を目的として用いられる。
2 WAIS は5歳から 15 歳を対象とする個別式知能検査である。
3 新版 K 式発達検査は養育者への問診により簡便に実施できる。
4 ベンダー・ゲシュタルト検査では器質的な脳障害を把握できる。
5 MMPI はパーソナリティの全体像を把握するために有効である。

4であるが、不正解者は採点除外。赤本では2,5は×、1,3が?とされている
https://www.mhlw.go.jp/content/12205000/000475477.pdf


3 16 精神分析理論の防衛機制に関する実験的研究の結果を基盤に発展し た心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
1 SCT
2 TAT
3 MMPI
4 P-F スタディ
5 ロールシャッハ・テスト

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3 90 MMPI の実施と解釈について、正しいものを1つ選べ。
1 各質問項目には、5件法で回答する。
2 追加尺度は、20 尺度開発されている。
3 F 尺度は、心理的防衛の高さを示している。
4 第5尺度Mf は、性別により解釈基準が異なる。
5 第0尺度Si と第7尺度Pt が 90 の場合は、精神的混乱状態と解釈
できる。

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