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母国語で学べる有り難さ。

岐阜の明るく楽しい養蚕家の
加藤祐里です。

京都にある川島テキスタイルスクール運営の
機織りの基礎を学ぶ講座に参加しています。

生徒が泊まれる専用の
合宿施設もあり

今まで3年以上「さをり織り」は
習ってきましたが
あまり頭を使わず
なんとなく楽しいだけで
やってきたけど

理屈から教えてもらいながら
小さな道具の使い方から
微妙な力加減とか
絶対に他では観れない
貴重な世界中の機織り機を観ることが出来たり

他の生徒さんが制作していたら
写真とか撮れないので
YouTubeとかで観ることも出来ない情報満載。
とにかくここに来て
肉眼で観るしかない。

ここに来なかったら
知らなかったこともたくさんあり
大満足な時間を過ごしています。

私にとっては
ファーストクラスに乗って
海外旅行に行くより
ずっと贅沢で有意義な時間を過ごしています。

外国の方も学びに来ていて
世界中に似たような織りや染織の
技術はあるけど
やはり日本の技術は特別だし
こうやって宿泊しながら
学べる環境も素晴らしい。

同じ受講生さんに日本人だけど
外国で織りの仕事をしていて
基礎の細かいところを
よく知らないから日本語で
ちゃんと学びたいと
参加されている方もいます。

母国語で、自分の国の伝統文化、
ものづくり文化を学ぶことが
出来るというのも
これまた有り難く尊い話で

例えば、糸へんのついた漢字のほとんどは
何千年も昔に中国の亀甲文字のあたりから
使われています。

日本には日本独自の着物文化があって
道具ひとつ、工程一つ、技ひとつとっても
微妙なニュアンスを表現するための
専用の言葉がある。

やっぱり「母国語」で学べるのが
スゴい大事みたいで
日本語自体が色んな表現があるから
余計にリアルに学べる場が重要です。

どうしてそれが使われるようになったのか?
どうしてこの形になったのか?
そこには歴史があり、人々の暮らしがある。

昔、鍼灸の先生が教えてくれた話で
鍼灸医学も何千年も前に
中国で書かれた書物をいまだに
参考にして学ぶ機会があるのだけど

「母国語」で学べるって
すごいことなんだよ、と。

例えば、博物館で昔の漢文で書かれた
の古い書物の原本をほとんどの日本人は
「レ点」とか漢文を読むための技術を
義務教育で学んでいるから
解説なくても読むことが出来る。
(覚えているかどうかは別)

まず、ひとつに日本の教育システム。
江戸時代の寺子屋制度にはじまり
「読み、書き、そろばん」が大事と言われ

明治になり強い国をつくるために
まずは日本中の子どもたちが
学校で学べるような
教育システムが構築された。

昭和になって戦争に負けて
普通なら敗戦国は公用語を話したり
学んだりすることが禁止される
ことが多いけど
日本人は男女関係なく
学ぶ権利を守った。

例えば、せっかく母国語で書かれた
原本があっても
母国語の教育を受けていないと
一度、違う言語に訳してからじゃないと
読めなかったりする。

訳本があればよいけど
母国がなくなり
文化がなくなり
言語が失われてしまったら
元には戻せない。

そして、日本という国の歴史が古く
長いことも誇れること。

何千年も前に中国から
有り難い宗教の教えだったり
医学などについて書かれた本を
持ってきた。
それを写してまた広めた。

原本はなくなっても
日本の和紙は丈夫で
字を書く墨も良質で
管理方法も優れていて
原本に近いレベルのものが
残されていたりする。

戦争があったから
大事な書物を疎開させた背景もあり
田舎のなんてことないような
お寺とかにビックリするような
貴重な古文書があったりする。

何千年もの間に漢字だけで
書かれたものを
日本語に訳され

文字を読めない庶民にも
分かりやすく図にしたり

日本は江戸時代に鎖国していたから
これまた独自に日本の風土にあった
医学が発展した。

中国などは戦後に
「文化大革命」と言って
せっかく自分たちの国に
古くて素晴らしい文化があったのに

それを否定して古い書物や道具を
燃やしてしまったり
知識のあった人を処刑してしまった
過去があるため
古い貴重な文献が残っていなくて

逆に日本のほうが
資料があるからと専門家が
調べにくる人もいるぐらい。

愛知県犬山市にある
リトルワールドという観光施設に
世界中の古い織物や
機織りの道具を集めた資料館があります。

今となっては国そのものがなくなってしまい
民族衣装を着る人も作る人もいなくなり
その材料が豊富に採れた森や自然もなくなった。

たった数メートルにも満たない
古いボロの布も見る人がみたら
すごい技術が集約されていて
ご先祖さまたちが何世代にも渡って
技術や知識を引き継いできて
暮らしがあったことが想像できます。

若い頃は海外に憧れたり
外資系企業が増えて
受験でも国語より
英語能力のほうが重視されたりするけど

日本語も含めて
自分の国のルーツをしっかり
腑に落としていくことは大切。

きっかけはなんでもいいと思います。
和食、武道、茶道、着付け、
戦国武将、刀、城、生き物、自然、
大河ドラマの俳優さんにハマって
聖地めぐりしたり、とか。

どんな入口から入っても
必ず最後は本筋に繋がります。

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