MOROHAに救われた

MOROHAというアーティストがいる。
俺は彼らの言葉。彼らの存在に救われた。
HIPHOPという控えめに見てもお金が稼げないジャンルでひたむきに彼らはもがく。ライブハウスの動員人数が少ない時でも、そこにいるただ1人。お前に届けばという思いを込めて。ただ、ひたむきに、命をむき出しにする。そんなやつらをインディーズの頃から追っかけてきた。都内のライブは全部通った。そいつらがファーストテイクに出た。ただそれが嬉しくて今この文章を書いている。というか書かずにはいられなかった。アフロ(ボーカル)は四文銭という曲をライブで披露する際にいつも深々と頭を下げる。「お願いします。どうか、聞いて下さい。」と。俺は毎回思う。頭を上げてくれ。俺はお前らの努力に向き合えるほど立派な人生を歩んでいない。頭を上げてくれ、と。それでもアフロはそのいがぐり坊主頭を床に着くんじゃないかと言うくらいに、平身低頭頭を下げる。そしてその曲の命題が、命を懸けて、命を描け、だ。こいつらのライブに行くといつも真っ正面すぎて辛くなる。人生にここまで真っ正面なやつがいるか、と。自分が恥ずかしくなる。四文銭のアルバムに収録しているバージョンのラストは、お前はイヤホンを外して、お前のやるべきことをしろ。と言われる。MOROHAは劇薬だ。少なくとも俺は持っていかれた。かと思えば拝啓MCアフロ様という曲では元カノの手紙を基に叙情的なリリックを奏でる。日々 あらかじめ決められた恋人たちへ。ではコロナ禍における人生賛歌ともいえるメロディを歌い上げる。振り返ればお前らが三文銭のPVで突き刺すようなリリックを放っていた奴らだと言うことを忘れそうになる。そんなバンドなんだ。つまり俺は彼らが大好きだ。これからも、きっと。目の前の1人に刺さる音を。これをひたむきに繰り返した結果が来年の武道館に繋がっている。癖の強い音楽だ。万人受けするものではない。そんな音が武道館を埋める。もう、それだけで涙が止まらないんだ。ごめん、これは昔から応援してきたファンの気持ちが入っている。でも、それほど彼らは苦しい時を過ごしてきたのだと思うし、今は素直にそれが嬉しい。
俺が初めて彼らの音楽に触れた時、埼玉の実家のパソコンでイヤホンをつけたその時。勝手に病み勝手に死に場所を探していたその時。お前らの音に救われたんだ。ありがとう。そして心からおめでとうと言いたい。MOROHAが俺は大好きだ。

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