ヤクルトファンってイタいよね...

「宗教、政治、野球の話はしてはいけない」。
そんな言葉が広く知れ渡り過ぎた昨今、逆に敢えてその話題に触れることによって、むしろ「自分は今、貴方に心を開いていて、距離を詰めようとしてる」という声なきメッセージを醸すことができる空気感が暗黙のうちにあると思う。流石に宗教はやめておいた方が良いかもしれないけれど、野球と少しばかりの政治の話くらいなら…くらいのニュアンスを感じる。

やれ増税だ、やれインボイスだ、やれ大谷だ。

この前、バーにて。

客「インボイスはほんとにいらないね。どうしたもんだか。」
僕「いやぁ〜(ははは)、まぁそうっすよねぇ…」

インボイス制度、あった方が良いと言う意見も聞くし、その言い分に耳を傾けてみれば、確かにそのロジックは理解できる。とはいえ、目の前で話している人をはじめとして、好感触を抱いてない人が一定数いるのもまた知っている。別にこの人とディスカッションしたいわけでも無いから、微妙な反応でやり過ごすのが僕の常。

・・・

また別の日のこと、バーにて。

ひょんなことから、あるお客さんとマスターでWBCの話が始まった。

そこから転じて、「昔の野球選手」、ついには「野球ファン」の話へと移った。

昔の野球選手の話の時点で、僕は全く話についていけない。

その頃には、僕はすでに完全なる「へぇ〜」ボタンと化していた。

そして、マスターもお客さんも察したのだろう。

「こいつ、野球何も知らない」と。

そう見切られてしまったがために、その空間はマスターとそのお客さんの2人だけが支配をしていて、その2人が許せば何でも話せてしまうのであった。

だから、野球ファンの話に転ずることにもなったのだと思う。

聞いていると、お2人は巨人ファンらしい。

「中日のファンは厄介でしょ」
「いや、ヤクルトファンも結構イタいですよ」
「確かに笑ヤクルトファンもあれは厄介」

心臓撃ち抜かれたようにドキッとした。

この動揺が相手に伝わるまいと、努めて、先ほどまでの微笑を続けた。

僕は何を隠そう、”プチ”ヤクルトファンだ。

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