![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142111162/rectangle_large_type_2_f0ab5509c06de913f0dc338a1c79c541.jpeg?width=800)
世界の空港事情
帰りの便は、もう2時間も遅れていた。
セキュリティー・チェックのため。
いつもの理由で、いつものように詳しい説明は一切ない。
![](https://assets.st-note.com/img/1716871783920-S5JQ95xWgx.jpg?width=800)
空港に到着した時もそうだ。
突然、「こっちへ来い」と呼び止められ、荷物チェックをされた。
他国でよくある賄賂の要求などではなく、本当に隅から隅まで調べられる。
入国した時もそうだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1716871114441-q9nZRZOfyw.png?width=800)
深夜に到着し、ロストバゲッジ(荷物の行方不明)していた。
疲れ切った100人近くの人々が行列を作り、それを係員に申告をしていた。
みんな慣れたもので、クレームを付けている人なんて誰一人いなかった。
荷物がどこへ行ったのかと聞いても、係員は神のみぞ知ると言った。
しかし、翌日にはホテルの部屋に確実に届けると、彼女は保証した。
誰がそんな言葉を信じるだろうか。
そんなことが起きるとは予想もせず、着替えを一つも持っていなかった。
翌日は、二日近く着た服と下着で仕事するはめになった。
仕事を終えてホテルに戻ると、部屋には当たり前のように荷物があった。
出発予定から2時間半後、ようやく帰国便の搭乗手続きが始まった。
![](https://assets.st-note.com/img/1716870724629-cupcGHLoPq.png?width=800)
しかし乗れたはよいが、一向に離陸しない。
しばらくすると、英語のアナウンスが流れた。
「当局からの指示で、全ての荷物を下ろし、再検査いたします」
慣れた乗客たちも、さすが客室乗務員に文句を言い始めた。
「どうなってるんだ!」
「いつになったら出発するんだ!」
「いいかげんにしろ!」
![](https://assets.st-note.com/img/1716870881874-KT62Kd0Rqp.png?width=800)
すると、一人の乗務員が言った。
「私だって、理由なんて知らない。これが彼らのいつものやり方」
その一言で、乗客たち静まってしまった。
この国ではセキュリティーがいつだって最優先事項だ。
あきらめムードの中、静まったはずの乗客が、またざわつき始めた。
何事かと思っていたら、一人が叫んだ。
「おい、俺の荷物を投げるな!」
窓の外を見ると、係員がスーツケースをポンポン投げていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1716870444893-C5JGIcDFaI.png?width=800)
さすがにこれはない。
(爆発物でも入っていたらどうするんだろうか?)
一瞬、そう思った。
しかし、係員に全然やる気が見られない。
これは手荷物の無作為検査と同じ類のものなのだろう。
当局はいつでも乗客の荷物を調べられるという示威行為。
結局、4時間遅れで飛行機は離陸した。
![](https://assets.st-note.com/img/1716871019647-5w9hslzb6a.png?width=800)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?