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真夏のお出かけ 床屋に行くのも命懸け

父が床屋に行く、と聞いていたので、AirTagで父の位置情報を確認してみた。父はちょうど床屋の最寄駅にいた。時間は15時。

何時ごろ実家を出たんだろう?「父の部屋の前のモーションセンサー」と「玄関の開閉センサー」で時間を確認してみた。父が家を出たのはおそらく14時ちょっと前。ということは、今は床屋で散髪が終わって、帰ってきているところか。

15時半。まだ父は動かない。もしかして、帰りのバスに乗れなくなってる? 行きと反対側のバス停から乗ればいいのだが、帰りのバスは難易度が高い。

行きとは違い、帰りは街中にあるバス停。行き先がいくつにも分かれていて、次々にバスが到着する。その中から自分が乗るバスを見分けて乗るのは、簡単ではない。スマホを持たない父は遅延を調べたりもできないから尚更だ。

前回、父が街中に出かけた時は、しばらく様子を見ていたが、今日は最高気温36℃の猛暑日。命に関わる危険な暑さだ。あと30分経っても父が動いていなかったら、救出に向かおう。

16時。まだ父は動かない。よし、行こう!
外は暑そうだなあ。出たくないなあ。

アレクサに今の気温を聞いてみた。
「現在の気温は、摂氏34℃です」
夕方だというのに、この気温。水筒と凍った保冷剤を持って家を出た。

地下鉄に乗って3駅。家を出てから15分で父がいる駅に着いた。Air Tagを頼りに父のいる場所を探す。地下鉄駅構内にはいない。ということはバス停か?

駅を出て、地上のバス停へ行ってみた。
いた!バス停に汗だくの父がいた。見たところまだ余裕がありそう。手にはお土産の回転饅頭を持っている。

父は床屋には行ったが、帰りのバスになかなか乗れず、ずっとバス停で待っていたとのこと。どれくらい待っていたのか尋ねると、1時間くらいと答えた。1時間は大げさかもしれないが、30分くらいは待っていたと思われる。

父と話している間にも暑くて汗が吹き出る。とてもじゃないが、この暑さの中でバスを待つ気にはならないので、タクシーで実家まで帰ることにした。

アプリでタクシーを呼ぶが、なかなかつかまらない。どうしよう? 考えたいのだけど、暑すぎて全く頭が働かない。とりあえずクーラーの効いた建物の中に移動した。

父に水筒を渡すと、一口飲んだだけで飲もうとしない。保冷剤を渡してもすぐ返してきた。父はそれほど暑さを感じていないし、喉の乾きも感じていないらしい。

結局、実家の最寄り駅まで地下鉄で移動し、再びタクシーを呼ぶことにした。今日は絶対歩きたくない。最寄駅で再びタクシーを呼ぶが、やはりつかまらない。仕方なくカフェで休憩することにした。

「アイスコーヒーでいい?」と父に聞くと、「ホットコーヒー」と父が答えた。聞き間違えか?こんな暑い日にホットコーヒー?

「温かいのがいいの?アイスコーヒーじゃなくていい?」と聞くもやっぱりホットコーヒー。父は大汗をかいているのに、喉の渇きを感じていない。

高齢者が脱水症状になりやすいってこういうことなんだろうな。自覚のないまま急に熱中症とかになっちゃうのかな。

カフェで涼みながら、父の行きつけの床屋の名前を聞いた。次行く時は、できれば私が付き添いたい。一人で行くなら、春が秋にしてほしい。

コーヒーを飲み終えて、再びタクシーを呼ぶが、何度やっても繋がらない。いつもは、すぐつかまるのに、なんで? 暑いから? 困ったなあ。

すると、タクシー会社から電話がかかってきた。
「駅のタクシー乗り場にタクシーが停まっているので、そこから乗ってください」

そうだった!
駅ってタクシー乗り場があるんだった。すっかり忘れていた。きっとこれも暑さのせい。

駅からタクシーに乗って、実家に父を送り届けた。時間は17時20分。父の部屋のクーラーを付けて、ミッション終了。父が持って帰れというので、回転饅頭をいくつかもらって自宅に戻った。

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