見出し画像

AroAce vs. 友達の同時多発結婚

会社の同僚が結婚した。
といっても同性の男性で、単なる同僚という以上でも以下でもない。
上乗せする言葉がそれで尽きてしまう関係性なので、彼に対しては
事前に相談もなかった、という不満感も
僕も結婚したいなあ、という羨みや妬みも抱かなかった。

でもなんでだろう、ぼっかりと自分だけが「ない」という感覚だけがある。

・自己紹介(初めての人はぜひ読んでください)

で、一体お前誰やねん、という感じだと思うので、簡単に自己紹介をさせてください。

私、れいすいきと申します。
他人に対して恋愛感情を抱くこともなければ、性的に惹かれたなーという経験もない、そんな人生を歩んできました。
性別は男で、20代後半(もギリギリになってきました)。男性にも女性にも恋愛的な感情で「好き」と思ったことはありません。
そんな私はアセクシャル(Aセクシャル、ace)で、アロマンティック(Aロマンティック、aro)のスペクトラム上に位置していると自分自身を定義しています。(今まで恋をしたことがない、恋愛感情が薄いグレーAロマなのかなとも思ったりしますが、詳細は割愛します)

・友達の結婚クライシス

と、言った感じで、結婚したいと別に思わないのに、同僚が結婚してみんなが祝っている場面に遭遇した後に不足感が襲ってきた。なんだこの不足感は。なんなんだ。
少し自問自答してみる。

彼女がほしいか?→さほど欲しいと思っていない。
結婚したいのか?→ひとりが気楽。
パートナーが欲しいのか?→いた方がいいけど、最悪いなくても。
祝われたいのか?→祝われたい。←これか!

「結婚しました」というと、セットで「おめでとう」と言われる。
それを見て、幸せなんだろうな、とこれまで感じていた。
裏を返せば、結婚で祝われることはなさそうなAroAceの自分は幸せになれないんじゃないか。否定できない不足感を突き詰めて、簡単に言語化するとこういうことになる。

あれ、もしかして自分、「幸せ」じゃない?

・"祝われない"AroAce


結婚おめでとう!
彼女できたの良かったね!
子供ができたの、えー本当に嬉しい!

ヘテロのパートナーが出来て、結婚して子供が出来て、と進んでいく「ライフストーリー」にはお祝いがつきものだ。式が出来ない今も言葉で祝福のシャワーを浴びていることだろう。

対して自分はどうだ。
卒業までは祝われた。

「卒業おめでとう」

でもそれからはいわば祝いのシャワーを浴びてない、世間からしたら輝きのない人生だったのかもしれない。
社会人になって、誕生日を伝える相手もいないし、祝われることはほとんどなかった。
たまに気を利かせて祝ってくれる人はいるが、みんなが総出で祝ってくれることなんてあっただろうか。記憶に検索かけてもヒット件数ゼロ。高校を卒業してからかれこれ10年、モノクロの人生を歩んできたのかな...。
たしかに、ここ10年、常に祝う側だった気がする。
そう考えると自分は不幸だったんだ。
この文章書きながら、「祝」を「呪」と空見してしまうくらい不幸せな人間になってしまったのか……。

・AroAceは恵まれていないか?

でも、でも。
そんなに不幸だったかな?とも一方で思う。
祝われるなんてことはなかったけど、遊んでくれたり、馬鹿なことに付き合ってくれた友達はいる。
辛いこともあったけど、仕事でも周りの人に支えられてこれまでやってきた。世間からすれば変わった子供だっただろうに、親は我慢して育ててくれた。
もちろんAroAceということを理解されずに嫌な思いをすることは多々ある。
でも、身の回りにいくつかの関係性があるおかげなのか、自分は不思議と「恵まれていない」とまでは思わないのだ。恵まれている自分は不幸なのか?と少しずつ前向きになりながら考えを進める。

・祝われる場面は自分で作れるのでは?

そもそもみんなに祝われるのが当たり前と思っているのが良くないのかもしれない。
AroAceの方と話していると、「分かります!」と言ったり、言われたりすることが多い。これを受け取ると、共感と同時に自分は認められている感覚を味わう。これは言い換えれば、そのままの自分を肯定されている状態だ。この分かち合う状態、祝われる状態に互換できるんじゃないか?
分かち合う以外でもそれは成り立ちそうだ。大雑把にいえば自己肯定感をいだける場面。エヴァンゲリオンでいうみんなが拍手している場面を思い浮かべて欲しい(どんな例えだ)。

・自分が勉強して成長を感じた
・分からなかったことがわかった
・ドライブしていて気持ちよくて、そこに身を置いている自分に対しても前向きになれる
・可愛い服を着た自分に自信を持って外出する


なんでもいい。
みんなに一気に祝ってもらうというのは難しいかもしれない。
でも、「お祝い」を自分の中で細分化して、日常で受け取っていけるような人生の過ごし方をして行く。

そんな自分を祝ってくれるシステムを何か作ることで、今20代、30代のAroAceの方々にやって来ているであろう友達の同時多発結婚に対しても、変なダメージを受けずに防衛体制を築けると思うのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?