売春をして詐欺にあった話。

歌舞伎町にお見合いパブがあり、そこの店員と仲が良かったこともあって、よく出入りしていた時期がある。掲示板に個スレが立つほど人気の店員もいて、当時はそこに出入りする女の子の間で店員との関係の匂わせや取り合いが起こっていた。そのネットでの不毛な競い合いを肌で感じるのが楽しかった。
女性は完全無料で飲み放題、カラオケ歌い放題。女の子は男を引き寄せる餌だから。私はよく指名が入るので重宝された。男性からトーク料が稼げるから店の利益になる。
店員と談笑していると他の女性客からの視線が刺さる。それがとてつもなく楽しかった。
帰ると言うと引き止められるが出入り自由。何時間いても5分で帰ってもいい。私は店員のメンツがイマイチな日はわりとすぐ店を出た。退屈だから。

女性と男性の座席は別れていて離れており、BGMもかかっているので会話は聞こえない。
滅多にないことだが、隣に座った女性に話しかけられたことがある。この前ここで会った男に詐欺にあったと。その割には穏やかな話し方だった。腕に刺青があり、見るからにだらしない風貌だったが害はないだろうと思い話しを聞いた。割り切り二万の約束だったと。その男は前に女の子にお金だけ取られて逃げられたことがあるから、二万はコインロッカーに入れて、その鍵を渡すから、ことが終わったら取りに行ってと言う話をされて、女性は了承した。実際コインロッカーに二人で行って、お金を入れるところもしっかり見届けたという。しかし、ことを終えてそのコインロッカーの鍵を開けたら空っぽだったと。女性は、まるでマジックかと思ったと言って笑った。リスクがあるのを承知の諦めの表情になんとも言えない気持ちになる。

近頃、大久保公園で売春相手を探す立ちんぼの存在が話題となっている。話のタネの中で、そこでしか生きられない子もいるんだよ、言った男性の言葉を思い出す。どれだけ酷い目にあったとしても、個人売春がその女性たちが生きていく唯一の術だとしたら(それは恐らく思い込みなのだけれど)、そこから抜け出せない女性たちを責めることはできない。

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