俺とFEZ(3)
前回の記事↓
前回のあらすじ
・晒されて「例の人」になった
・Eカセに移住した
7.五つの国家
さて、今更だがFEZの世界観を説明したい(唐突)
FEZはメルファリアという世界に5つの国があり、それぞれが領土を争って戦争しているという設定だ。
5つの国とはすなわち、
・ネツァワル王国
・エルソード王国
・ホルデイン王国
・ゲブランド帝国
・カセドリア連合王国
上記の5つである。
不思議なことに、だいたいどこのサーバーでもネツとゲブが強国、カセとホルは弱国という傾向があった。
ガチ勢が集まりやすい雰囲気みたいのがあったのかもしれない。
俺が最初に所属したBネツは典型的な強国で、勝率が高かっただけでなく「強さこそ正義」みたいな雰囲気があり脳筋国家と呼ばれたりもしていた。
ところが移住先のEカセはまったく逆の国であった。
勝率は低く、他サーバーのカセドリアにも共通するのだが「勝利よりも、みんなが仲良くすることが大事!」みたいな雰囲気があった。
暴言軍師「例の人」の移住先としては、考えられる限りで最悪の選択であった。
8.カセに火がついた
E鯖カセドリアは弱国で、しかもFEZというゲームは隣国と対戦する機会が多いため、強国ネツとゲブに隣接するカセは最悪の立地だった。
さらに悪いことに、当時のE鯖はゲブに<世紀末覇者>、ネツに<BriahStyle>という強豪部隊があった。
この2つの部隊に、カセはまったく勝てなかった。
ちなみに<BriahStyle>という部隊はBゲブの「なすーん」というプレイヤーを中心にB鯖の強豪プレイヤーたちが集まった部隊で、E鯖でのなすーんの勝率は90%以上あったらしい。めっちゃ強いな。俺も誘ってくれよ。
こうした悲惨な状況を打破すべく作られた部隊が<カセに火がついた>、通称カセ火である。
もともと匿名掲示板で有志を募って設立された<ケツに火がついた>という部隊が母体となっており、名前をカセ火に変えてからもEカセの中では実力派の、いわゆる「一軍の」部隊として認識されていた、らしい。
そんな事情は全く知らず、ただ「知り合いがいるから」という理由で加入した俺。
大人しくしていたのはほんの数日で、すぐにBネツの頃と同じように味方にキツい暴言を浴びせ始めた。
当然、すぐに晒しスレに晒される。
「暴言軍師れいのひと」はEカセでも有名人になってしまった。
ところが、である。
一人で自由にやっていたBネツのときと違って、Eカセでは「一軍」カセ火に所属しているのだ。
俺個人への批判にとどまらず、「カセ火はあんなヤツを抱えているのか!」のような、部隊への批判にもつながってしまった。
さすがの俺も申し訳ないので少しは大人しくしようと努力したが、あまりにもEカセ民がゴミカスすぎて文句を言うのをやめられない。
「勝つことより楽しくゲームすることのほうが大事!」とか言われたら、「バカ野郎、対戦ゲームなんだから負けて楽しいわけねえだろ!そんな気持ちでやってるならゲームやめちまえ!」くらいのことは言い返してしまうのだった。
そして晒しスレに晒され、カセ火の部隊長には叱られ、反省して少しは自重するもののまたすぐに誰かと口論になり…叱られ、晒され…
そんな感じの、楽しいEカセ生活を過ごしていた。
9.講習会と半歩
あるとき、Eカセ晒しスレにこんな書き込みがあった
「れいのひと、ソーサラーの講習会でもやればいいのに」
それはアリだな、と思った。
初期の頃は「れいのひとは偉そうなことを言ってるが、本当はヘタクソだ」みたいな書き込みが晒しスレにあったものの、
自分の戦績(平均ダメージ2万、トップレベルの数値)をスクショして公開してからは、むしろ「実力は認めるからケンカしないでカセのために何か役立ってくれ」という論調が主流になっていた。
幸い、Bネツでも初心者を指導した経験があったし、講習会をやれば少しは評判もよくなるかもしれない!という打算もあり、何度かソーサラー講習会を開き、実演を交えてソーサラーの技術や知識を披露した。
「話が長くて眠くなった」とか「お前のこと嫌いだから聞きたくない」などの批判もあったがおおむね好評で、その後も何度か講習会の開催を依頼されたりと、そこそこEカセ民に受け入れられつつあった。
そんな講習会で教えた技術のうちの一つに、のちに「半歩」と呼ばれる技術があった。
「半歩」については、Jey.P.さんの↓こちらの記事に詳しく載っているので是非読んでいただきたい。
読む時間がない人のために簡単に説明すると、「半歩」は「特殊な歩き方をすると、意図的に位置ズレを起こすことができるテクニック」だ。
残念だったな、それは残像だ。
当時まだ「半歩」という名前は知られていなかったが、「小刻みに動くと位置情報をズラせる」ということを知っているプレイヤーは結構多かった。
なので俺が発見者というわけではないのだが、この「半歩」について、俺は講習会で積極的に教えていた。
しかし、この「半歩」について、ちょっとした問題が起きる。
10.半歩とEネツ
ある日、Eネツの<BriahStyle>に所属しているプレイヤー2人が、晒しスレに「ラグがひどい」と動画付きで晒された。
しかし、その動画を見た俺は驚いた。
晒されている2人はどうみても「半歩」の動きをしているだけだったからだ。
晒されたうちの一人、「イエッフー☆」も、「小刻みに動くとカクカクなるのは仕様」と書いている。
間違いない、これはラグじゃなくて半歩だ。
当然、俺は擁護の書き込みをする。
わざわざEネツに新キャラを作成して実演し、動画まで公開したのだが、いまいち納得してもらえない。
こんなやり取りもあった。
完全に俺が頭のおかしい奴扱いである。
この「半歩」が大問題となり、FEZ公式が「半歩と呼ばれる行為について」の声明を出すのはこの5年後。
当時はまだこのテクニックを知らない人が多かったのだ。
結局、晒しスレに書き込みしている人の多くは半歩とラグの違いを理解できなかったようだが、この事件は「半歩」という技術が公の場で初めて議論された歴史的瞬間だった、かもしれない。
そして半歩を実演するため、Eネツに「例のひと」という新キャラが作成された。
俺がEカセに愛想を尽かしEネツに移住するのは、まだ先の話である。
次回に続く!
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