個人投資家としての姿勢。リスクと不確実性のとき

もう今年も後半に入りました。2023年という年はあとから振り返ると(自分ごとは退職したのでもちろんですが)、経済にとってすごく大きな年となるのではないでしょうか。経済に激変はつきものですが、よく〇〇年日本経済または世界経済大予測という本が書店をにぎわしても、だれが最近のコロナ、ウクライナ戦争、恐ろしいまでのインフレーションと先進国の急ピッチの利上げを予測したでしょうか。単純な株価の上下やアメリカ地銀の倒産などは、その時々の状況を見れば、すくなくとも知見のある人にとって予測可能なリスクの範囲でしょう。でも上記の出来事のほか、過去のアジアやヨーロッパの通貨危機、大地震による経済の大打撃などは、そもそもエコノミストの予測がどうこうではなく、予測不可能なもの、ナイトの「不確実性」に入る出来事でしょう(ナイトの不確実性やアジア通貨危機について竹森俊平氏「1997年--世界を変えた金融危機」から多くのことを学びました。この良書のレビューは別の機会でしたいと思います)。このインフレと急激な利上げが引き起こすものは「不確実性」には属さなくとも、結果はエコノミスト諸氏の予測から大きく外れる衝撃を引き起こすと思います。
 ところで、自分の投資は前回の記事の通り、今現在はほとんどがJ-REIT(68%)とインフラファンド(22%)で、とてもエコノミストがおすすめするものではありませんが、どうしてこうなったのか、を少し広げてお話ししたいと思います。(1)投資はご存じのように長期・分散・積立のほったらかしとよく言われています。でも誰がそういっているのでしょうか。私は(政府は低リスク投資を推奨するのでやむを得ないとして)証券会社関係のエコノミストがそのように言われるのをテレビで見ます。もちろんインデックス投資の意義はマルキール氏の有名な本などからもよくわかります。しかし、長期分散積み立て投資の長所は、いわゆるリスク(偏差に近い概念)については言えると思いますが、たとえばコロナなど「不確実性」のカテゴリーに入る危機のとき、すべてのインデックスが大きく下がるとき、はどうでしょうか。私自身は、危機のときこそ個人投資家は果敢に、大胆に買うべきと思っています。自分でもたとえば3年前コロナで株価が低迷したとき、中でも割安だと思った三井住友、三菱UFJを思い切って買いました。その後約3年保持して配当金を受け取ったあと、すべて売ってしまい、そのお金で日本リート、アクティビア、ケネディクス、エスコンを買いました。そのほうが(配当金・分配金や安定性から)単純に割安と思ったからです。
 バフェット氏が「人がどん欲になるとき私はおびえ、人がおびえるとき、私は貪欲になる」のようなことを言っていますね。事実としても、過去の大きな不確実性の危機のあと、しばらくすれば株価は(日本でさえ)かならず戻っています。決算報告の必要がない個人投資家の私は、不確実性こそ(おびえながらも)不退転の決意で買うことにしています。
 私がREITを買う理由の第二は、土地・建物こそあらゆる業種で分散になると考えるからです。ただしこの点はコロナのことでずいぶん見方が変わりました。今後働き方、暮らし方は少し変わるかも。今後考えてみたいです。第三は、やはりバフェット氏がよく言う「ビジネスのわかりやすさ」です。リートのビジネスモデルはわかりやすく、情報公開の仕方も進んでいますよね。
 最後に、投資の中心にREITをずっと据えてきたのはやはり安定した配当です。配当は、今は生計の大きな部分ですが、給料をもらっていたころは楽しんで使っていました。私は暗号通貨など関心もありませんし、リバレッジをかけたり、デリバティブに手を出そうとも思いません。ただわからないから、そしてそれに関係する企業を応援したいとも思わないので。わかりやすい業態、安定した配当、割安性。そしてきれいな建物、家、商業施設への興味、それで投資の理由は十分です。テンバガー企業にも、理解できないIT業界にも今は投資する気はありません。ただ不確実性はいつなんどきでも訪れる可能性はあると思います。そのとき株価が安くなれば日本、世界に関係なく海外ETFは買いたいですね。REIT、ETFって結局日銀の投資みたいですけど、実は頭の中にはそれもあるのじゃないでしょうか。

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