さわぐちけいすけ先生の『僕たちはもう帰りたい』が胸を打つ理由
こんばんは。
LGBTQライター・なつめれいなです。
働いていると、誰もが一度は『もう帰りたい』と思ったことがあるのではないでしょうか。
私はというと、会社員時代は家を出た瞬間に「もう帰りたい」と思うあまり、本来1時間の休憩なのに外回りだったことをいいことに2時間以上休んでいました^^;また、毎日学生時代の部活OBとして稽古を毎日見ていたほどです。
良い子のみなさんは、絶対に真似しないでください(笑)
それはさておき、本日は『妻は他人』シリーズを代表作に持つさわぐちけいすけ先生の『僕たちはもう帰りたい』(ライツ社)を紹介します。
働く人の『もう帰りたい』にフォーカスした物語
突然ですが、「全日本もう帰りたい協会」というツイッターアカウントをご存知でしょうか?このアカウントでは、働いている人の「もう帰りたい」という気持ちがつぶやかれています。
本書刊行時から比べると少し減りましたが、現在でも約52万人のフォロワーがいます。また、作者でもあるさわぐちけいすけ先生のアカウントも約17.8万人のフォロワーがいる強力なアカウントです。
本書では、働く人のこんな声が描かれています。
●お付き合い残業
●板挟み
●上司の無茶ぶり
●業務の非効率
●「妻でも母でもない私」になりたい
●優先順位がわからない
●職場にも家にも居場所がない
日頃はめったに出ることのない本音が、「これでもか」というほど出ています。
行き場のない気持ちにスポットを当てている
本書が発売されたのは2017年。ちょうど「働き方改革」という言葉が取り沙汰されたときですね。このフレーズが発表されたことで、多くの人が自身の「働き方」を見直したのではないかと思います。
しかし、現実はというと本書の帯に書かれているこの川柳のような感じでしょう。
利益出せ
納期を守れ
早よ帰れ
よく考えると、これほど矛盾している言葉もありませんね。しかし、どの企業でもこんな感じの言葉が飛び交っていると容易に想像できます。
その声を客観的な視点で捉えている作品です。
ネガティブをポジティブに変えている
最後は「スナックもう帰りたい」が登場します。フラッと入店した「帰りたいのに帰れない」などの悩みを持った客に、スナックのママがアドバイスをして、その後解決をして笑顔になるというのが本書に共通した終わり方です。
各章のタイトルになっている言葉は、一見するとネガティブに見えます。しかし、「それは多くの人が持っている悩みで、それは決して解決できない問題ではない」こと、どうすれば解決できるのかについて違った角度からアドバイスを投げかけます。
それは、とても機知に富んだ言葉です。
実際には、本作で描かれているようにうまく進まないかもしれません。それでも、少しでも気分が明るくなる作品です。
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