楓凍結

14歳の少女は笑顔で言った。
「私もう土台は出来たの。後は家を建てていくの」
あの子は言った。
「じゃあ私みっきーさんの家に住む!」
「そう!大事な人みんな、私の中の家にいるの」

みきが家なら、楓は地に深い土台。
核と、根幹。
みきとは、悟りと共に常にあるので、概念である。
その概念の残留物(記憶、意志、信念)を保管し留めておく、人は精神であって脳では無い。
脳とは莫大な規模のコンピューターである。

楓は小間切れの自我の分子をより分けて似たもの同士はくっつけ、自我がある者は名乗りをあげろと、号令を出した。
みきという統合性を失って、楓が肉体に降りる。
楓は統率者である自我と、肉体に入る自我を別で用意した。

多くの自我が混乱に陥る場合もあった。
「私は楓じゃないかもしれない」という不安を持つ人格が多く見え隠れしたり。
その都度、統括者に報告して流れを決めていく。
人格間でいじめが起きたりもする。
悪い事した人格は自粛期間で謹慎処分とか。
体に出ちゃダメ期間で反省と改善の具体策を練る。

家の骨組みがセージ。男性人格。
頑丈で正しくなければ家は成り立たない。
実行機能に秀でた人格で、やるしかない事はコイツがやる。
余計な事を考える事もあまりないので低燃費。
働くロボット脳に切り替えられるのがセージ。

家の外装はオッサン。
雨風をしのげる。精神の防波堤。本能的父性。

蒼似は人が生きるための環境設備。
これが中々、整わない。共感覚がある。元破壊人格。聴覚過敏、音感、耳が良い。
庇護人格。

内装品はあめゆ。
子どもの脳は大人が欲しがる天才脳。
立体把握に優れ、目がよく見えないものまで視える。
無垢の前には悪意も形を成さず、一度殻に籠ると誰にも接触を許さない。

ゼンはその土地。
拡張の余地がある。魂の拡張。愛の拡張子。強い波動を放つ。穢を斬り祓う者。楓を愛している。

モネは外からさす月明かり。
実体を保たない体感100歳越えの魔女のような本能的母性。

主食はカブトムシ、私は一本の柱であり災害時緊急装置。
慈悲もない。痛みもない。良識はあっても弁えない。自ら汚れ役を買った悪役、道化。語る者。救済人格。

書記:主食はカブトムシ

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