見出し画像

月の地理学_クレーターの大きさを測ってみよう!

「はァー、だりぃー。」
「どうしたのリコちゃん?」
「ウチの会社の健康保険組合があるだろ?そこが今度の月面マラソンに参加しろって言ってきたんだよ。」
「あぁ、この宇宙産業健保からの手紙ね。そういえば私のところには入ってなかったわね。」
「この前の健康診断の検査結果が悪いとかなんとかで、健康を維持するために参加しなきゃ来年度から保険料上げるって、鬼だろこれ。」
「ちょっとリコちゃんの検査結果かしてみて。」
「ほらよ。」
「あぁ〜・・これはダメなやつだ。」
「ダメってなんだよ?」
「リコちゃんの骨密度が右肩下がりなのよ。ただでさえリコちゃんはルナリエン(月生まれ月面育ち)だから、低重力で骨のカルシウムが流出して骨が弱くなりやすいから。」
「そりゃーいいよな。クレアみたいな地球生まれのゴリラ人種は筋肉量も骨密度も満足にあってさ。」
「それでも大変なのよ?骨や筋肉みたいな体の組織は重力や運動などの負荷によって左右されるから、長年の月面生活で地球並みの体を維持するのは生半可の努力じゃないんだから。」
「そうだよなぁ、月の重力は4分の1、それにこんなマラソンに参加しろなんて言われちゃぁ骨も心も溶けちまうよ。」
「このマラソン、月面都市の外周に作られた道路を走るのね。」
「そうだよ。月面観光用に整備されたガラス張りの道を走るから重い宇宙服着なくてもいいんだけどさ、それにコペルニクス月面市って、遠いだろ。」
「私たちの住んでるティコ月面市からだと結構距離があるわね。でも走るのは1kmだけでクレーターの外周を全部回るなんて競技じゃないみたいだからたまにはいいんじゃない?」
「全く、フルマラソンなんて言ったら私は生きて帰ってこれない自信があるからな。ところでクレーターの大きさってどれもまちまちだがどのくらいの大きさなんだ?そもそもこのティコ月面市が乗っかってるティコクレーターだってかなりデカいだろ。」
「うーん、ティコクレーターは直径85キロ、コペルニクスクレーターは直径93キロみたいね。」
「もはやデカいんだか小さいんだかわからないな・・。」
「お月様は地球から見上げることは多いけれど、クレーター一つ一つを見分けたり調べるなんてことはほとんどしないものね。」
「私達月面生まれのルナリエンにとってもそんなことはしないよ。クレア達だって地球上の全ての湖の名前と形なんて覚えられないだろう?でもいざって時困るんだよなぁ。ほら、掘削業者のオーダーでクレーターのボーリングマシン持ってく時に初めての現場だと土地勘とかないじゃんか。」
「そうね。そんなクレーターを調べたいリコちゃんにはこんなツールが日本で出来たの。」

出典:天地人コンパス MOON(https://moon.compass.tenchijin.co.jp/

「これ、前にも紹介したことのあるヤツだ。確か、原始人!」
「原始人じゃなくて天地人ね。その中でも“天地人コンパスMOON”というツールなの。」
「ムーン?」
「実際に使ってみた方が早いわね。URLはここ(https://moon.compass.tenchijin.co.jp/)なんだけど、とりあえず入ってみて。」
「おお!なんか、Googleマップの月面版みたいだ。スイスイ動くぞ!」
「このアプリケーション、実はJAXAが認定している宇宙ベンチャーが開発していて新たな機能が増えてきているの。たとえばめぼしいクレーターにカーソルを合わせるとこんなこともできるの。」

出典:天地人コンパス MOON(https://moon.compass.tenchijin.co.jp/

「距離も分かるのか!」
「クレーターの直径なんかも測れるわね。もちろんクレーターだけでなくて2地点の距離が測れるから、月面をドライブする際に便利よ。」
「日常だけじゃなくて宇宙開発のプランをする際にもプラットフォームとして使えるんじゃないのか?」
「その可能性を持ったプログラムなのかもしれないわね。最近はGIS(地理情報システム)の研究や社会実装も盛んだから、月面のGISプラットフォーム開発競争はこれからより重要性を増してくるのではないかしら。」
「ところでこのコップみたいに凹んだマークのボタンはなんだ?」
「あぁ、これはクレーターなどの地形断面を見ることができる機能よ。めぼしいクレーターの端から端までの2点を結んだら・・ほら、こんな感じ。」

出典:天地人コンパス MOON(https://moon.compass.tenchijin.co.jp/

「おおっ、断面図だ!しかも深いな。このクレーター、深さが3kmもあるのか!」
「隕石衝突の破壊力がいかに凄まじいものかわかるわね。富士山が軽く一つは入るくらいのクレーターが月にはあるの。外から眺めるだけでなくて、詳細な地理データを知ることができるのもこのアプリケーションの魅力ね。」
「これからどんどんつき開発に向けての基本的なツールができていくみたいでワクワクするな。」
「日本の技術力を発揮する術と動線をいかに構築して世界をリードできるか、鍵になってくると思うの。素晴らしい日本発の技術や産業がこれからどんどん出てくるといいわね。それじゃ、希望の未来に向けて今日はここまで!」
「またなー。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?