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細マチダレスバッグ

日常的に使えるダレスバッグを目指して

鞄の王様とも称されるダレスバッグ。
しかしながら仕切りが複数あり大容量のダレスバッグはかなりの重量で弁護士や医師など限られた職業の方以外には使いやすいとは言えないでしょう。
そもそも素材としての革がナイロン等に比べて重いのですから
それを大量に用いた鞄は必然的に重量級のものとなってしまいます。
しかし他の素材と異なり質感や存在感が抜きんでているのもまた革という素材の魅力だと思っています。
そこで鞄の王様・ダレスバッグを日常的に使えるものとして改めて開発しようと考えて作ったのが今回のダレスバッグです。

開発目標

作成するにあたって目指したのは軽量で丈夫な鞄にするという事でした。
具体的にはA4クリアファイルが収納出来るサイズで重量を1500グラム以下に抑えるという数値目標を立てました。
完成後の実測では1533グラムと目標を若干オーバーしてしまいましたが、今回はあくまでも試作ですので次回以降ではなんとかクリア出来るのではと思っています。

各部の詳細

それでは各ディティールを紹介させて頂きます。
先ずはハンドルです。
一般的には金属芯に革を巻く仕様が多い部分ですが、ReiLeatherでは今回に限らず革を重ねて少しづつ削り成形した芯を用いています。
この構造には剛性が高くしかも手触りが良いという大きなメリットがあります。
デメリットと言えば非常に手間が掛かるという点が挙げられますが、それを回避して妥協するぐらいならばもう革職人を辞めてやるという程の意気込みで作り込んでいます。
但し、あくまでも私個人の思想という事で御理解下さい。


次に内装です。
軽量化というテーマと向き合う上で一番考えたのが使いやすくシンプルな内装にするという事でした。
そのためファスナーを廃止し中央の仕切りをオープンポケット状に加工、
スマートフォンを収納しやすいサイズで大小に分割するという仕様にしました。
小サイズにはスマホ、大サイズにはタブレットやバイブルサイズの手帳を収納する事が出来ます。

他の各部も革や芯材の厚みを入念に調整しつつ作りました。

今回採用した革は国産のタンニン鞣しですが、ピット槽鞣しの大変強靭な革です。
ステッチは内装のピッグスエードに合わせてネイビーに染めたリネンを使っています。


完成形

各工程を経て完成した姿です。
大きさは縦27.5センチ、横38.5センチ、マチが最大で9.5センチ程度です。
先ほども御紹介しましたが、1533グラムと、この手の鞄としてはかなり軽量でハンドルを持った時には数値以上に軽く感じます。

口枠を避けて上部へ延びるマチ中央の形状もこの鞄の特徴の一つです。
中央ポケットの容量をギリギリまで稼ぐ為に採用したディティールです。

鞄全体を通してステッチの摩耗を防ぐ為に様々な加工を施しています。

「日常的に使えるダレスバッグ」として開発しましたが、A4クリアファイルは勿論、14インチ程度までのノートPCなら余裕を持って収納出来ます。
強度的にも全く問題有りません。

実際に収納した状態です。
ポケット内の手帳はバイブルサイズの私物です。

野外での撮影に持ち出してみる

完成後に地元(鹿児島県伊佐市)の曽木の滝周辺で撮影してみました。

最後の一枚を撮影している時にはこの場所で撮影する為にこの鞄が存在しているかのような感覚に陥りました。
完成直後のダレスバッグと朽ち果てていく石積の対比。
強靭なタンニン鞣し革の内部から放たれている生命の輝きのような見事な艶。
しかしながらいくら頑丈に作ったとはいえ、10年後か20年後、あるいはもっと年月を経るとこの鞄も朽ちゆく運命です。
勿論、作った私とて同じ事。
まるで鞄に魂を奪われてしまったかのように、誕生した瞬間から死へと向かうものの運命と美しさを感じとった一枚でした。

こちらのダレスバッグはあくまでも試作でして、今後細かな改良を施します。
完成後はECサイトに掲載する予定ですが、勿論オーダーメイドも承ります。
外装・内装・ステッチを多くの色から選んで頂けますので価格・納期等の詳細はreileather@gmail.com若しくは各SNSのDMにてお問合せ下さい。


お知らせ

下記ECサイトでは革製品を販売中です。
オーダーメイドや革製品の修理の御相談はreileater@gmail.comまでお願い致します。
https://reileather.thebase.in/


過去の制作物は旧ブログを御覧下さい。

ツイッター、インスタのアカウントは@reileatherです。
最後までご覧頂き有難う御座いました。

ReiLeather 山田智之

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