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北欧の性教育の絵本で性交をどう描いているか?

 『教科書にみる世界の性教育』(橋本 紀子 、池谷 壽夫、 田代 美江編著、かもがわ出版)で非常に興味深い記述を見つけた。

 日本の小学校5年生の理科の教科書で精子がなぜ/どのようにして女性の体内の卵子と結びついたかは触れられていないのだと言う。性交をタブー視して、そこをすっ飛ばして、生殖について教えることは可能なのだろうか?

 子ども向けの性教育の絵本においてもこの性交をどう描くかは大きなテーマとなっているようだ。

 『ノンフィクション』(Sakprosa)というノルウェーの研究誌に掲載されている論文『子どもってどうやってつくるの? 子どもをどうつくるのか書かれた子ども向けの絵本』をここに紹介したい。

 執筆者のEva Maagerøは南東ノルウェー大学、言語・文学学部の国語科の教授。

 共著者のA. M. Øines は、南東ノルウェー大学の講師。特に関心を持っているトピックは絵本、文学、マルチリンガルの保育園児への対応。

 この論文で2人は4つの絵本を比べ分析している。ノルウェーにおいても性交というのは、児童書の世界でタブー視されがちなセンシティブなテーマとある。この難しいテーマがどのような文学的手法を用いて扱われているのかがこの論文では書かれている。

 扱われる絵本は以下4つのタイトルである。

1.『こうして子どもができる』( Slik får man et barn)( Per Holm Knudsen 、1971年)

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