ある夏の日、
大好きな人と会った翌日
ベランダに出て
浅めに入れた珈琲を食もうと
締め切ったカーテンを開けようとした
少し前
ぱらりぱらりと
雨が落ち始めた音がする
カーテンはそのままにして
飴色のソファに腰掛けて
しゅわしゅわぽたぽたぼたぼた
ザーザーと
次第に数を増していく音に耳をすます
しばらくして
すっかり冷めてしまった珈琲に
しばし眠っていたことに気づく
鳩鼠色のカーテンを開けると
すっかり雨は止んでいて
雨雲は彼の方へ流れている
きっと今ごろ
何かに夢中になっていることだろう
雨音にすらならない
わたしを忘れて
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