見出し画像

絵本テキスト おばけのルーだぞー!

ぼくは、おばけの ルーだよ。
くものす だらけの すてきな おうちに
すんでるんだ。
おきにいりの ソファで、おちゃを のんだり
本を よんだり、おひるねを したり。
ひとり ぐらしは、さいこうだよ!
 
 
ある日、ぼくの いえの まえに
大きな トラックが とまって
パパと ママと あかちゃんの ルナちゃんが
ひっこして きた。
「まあ、すてきな いえ。おもった とおりだわ。
さあ、おそうじ するわよ」
ママは、はりきっている。
ねえ、ここは ぼくの いえ なんだけど。
「ぼくが、くものすを とるよ」
パパが ほうきを ふりまわして いる。
たいへんだ!
はやく おいださなくちゃ。
 
 
「おばけの ルーだぞー!」
ぼくは、とびきり こわい こえで いった。
ママは、ぼくを じっとみて、
「よろしくね、かわいい おばけちゃん」
パパは、ほうきを ふりまわしながら、
「やあ、ルー、たかい ところを てつだって 
もらえるかな?」
「ぶーばぶー」
ルナちゃんが ぼくに だきついた。
きゃー、たすけてー!
 

ぼくの しずかな まいにちは おわった。
ルナちゃんは、ぼくを みつけると
おいかけて くる。
のっかって ひっぱって
ぺろぺろ なめる。
ぼくは よだれで べとべとだ。
ルナちゃんは、ルーが 大すき なのねって
ママは いうけど、ほんとかな?
 
 
ママは、ゾウを かっている。
まいあさ、ゾウは ながい はなを 
ふりまわして、いえじゅうを さんぽする。
「おはよう ゾウ。ぼくは ルーだよ」
そのとたん、めの まえが まっくらに なった。
「たいへん! ルーが そうじきに 
すいこまれたわ!」
って、ママの声。
ぼくは ゾウに 食べられた。
 
 
ゾウの おなかの 中は まっくらで
こわいよー。
ママが ゾウの おなかから ぼくを ひっぱりだした。
「はっくしょん! はっくしょん!」
くしゃみが とまらない。
「ルーたら、ほこり だらけね」
ママが わらった。
「はっくしょん! はっくしょん!」
ゾウは、ルナちゃんより きけんだ。
 
 
「そうだ、せんたくきで、あらいましょう」
ママが、ぼくを せんたくきに ほうりこんだ。
ぼくは、ぐるぐる まわり はじめた。
ぼくの まわりで、ルナちゃんの ようふくも
ママの エプロンも
ぐるぐる ぐるぐる まわっている。
ぐるぐる まわって おもしろいけど
めが まわるー!
 
 
きれいになった ぼくは せっけんの 
いいにおい。
だけど しわしわで よれよれだ。
ママが ぼくを ぱんぱん はたいて
せんたくばさみで とめた。
風が そよそよ いいきもち。
ルナちゃんの ようふくも
ママの エプロンも、おばけ みたいに
ゆらゆら ゆれている。
わーい、みんなで おばけダンスだ!
 
 
きょうは、ハロウィン。
ママが かぼちゃプリンを つくって くれる。
かぼちゃを コトコト にて、
たまごと、さとうと、ミルクを まぜて、
レンジに いれたら、できあがり!
かとおもったら、
「まっててね。ひやすと、もっと おいしく 
なるの」
ママが かぼちゃプリンを れいぞうこに 
しまった。
 
 
えー もう まてないよー。
そうだ、中を みてこよう。
ぼくは れいぞうこに とびこんだ。
わー、おいしそうな ものが いっぱいだ。
アイスクリームの となりで
かぼちゃプリン はっけん!
あれ?
なんだか さむくて、からだが うごかない。
だれか、たすけてー!
 
 
やっと、ママが きて くれた。
「ルーったら、どうやって れいぞうこに はいったの?」
「ぼく なんでも とおりぬけ られるんだ」
「まあ、おばけって やっかいね」
ママは ぼくを れいぞうこから 
ひっぱりだした。
「あらまあ こちこち。はやく とかさなきゃ。」
 
 
「そうだ、おふろが いいわね」
ママが、ぼくを おふろに、ほうりこんだ。
ぬくぬくで、のびのびで ゆるゆるだー。
きもち いいなあ。
おふろって、さいこうだ!
 
 
おふろから でたら、
いよいよ ママの かぼちゃプリン!
ルナちゃんと いっしょに、いただきまーす!
「ルナちゃん、おいしいねー」
って いったら、ルナちゃんが ぼくをみて
「ルー! ルー!」
ねえ、いま ルーって いった?
やったー!
ルナちゃんが はじめて しゃべった!
それも ぼくの なまえ!
 

ぼくは このごろ ルナちゃんと なかよしだ。
ルー! って、よばれたら
どこに いたって、とんで いくよ。
おもちゃで あそんだり、
おいかけっこを したり。
つかまったら、いっしょに てんじょうまで
とび あがる。
ルナちゃんは、おおよろこぴ。
でもこれ、ママには ないしょ だよ。
 
 
きょうは、ルナちゃんの おたんじょうび。
「ルーの おたんじょうびは いつ?」
「わすれちゃった」
「それなら きょうに しましょ。
ルナちゃんと いっしょなら、
わすれない でしょ?」
ママが ケーキのうえに
ろうそくを もう いっぽん たてて くれた。
「これ、ぼくの ろうそく? やったー!
きょうは、ぼくと ルナちゃんの
おたんじょうびだ!」
ほんとは、たぶん にひゃくさい くらい 
だけれどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?