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絵本テキスト うみのルーラルー

ふかーい ふかーい うみの そこ。 
てっぺんから、ぽこぽこ あわを だしている 
山が ありました。
ある時、とくべつ おおきな あわが
ぷちんと はじけて 
ルーラルーが うまれました。

うまれたての ルーラルーは
ミルク色の 大きな ポップコーンみたい。
「ここは、どこだろう?」
ぱっちり おめめで、あたりを みまわしました。

 ルーラルーは、まいにち いろが かわります。
あさ おきて、ピンク だったら、 
すごく ごきげん。
青いと、ちょっと かなしい。
ほかの いろは、まあまあ ごきげん。
さあて、きょうは、なにいろ かな?

  ルーラルーは、すきな かたちに なれます。
かいそうに なって ゆらゆら したり
さんごに なって かたまったり 
ぺットボトルに なって ぷかぷか ういたり。
「まねっこ するのは、おもしろいなあ」

 ひとりぼっちの ルーラルーは、ともだちが ほしくなりました。
そうだ、おなじ かたちに なってみよう。
「ぼくは、ルーラルー。ともだちになろうよ」
タコは、ルーラルーを じろじろ ながめて
「あしが、十ぽんも あるやつは、ごめんだな。
あしは 八ぽんじゃなくちゃ」
おっと しまった。
まちがえた。

 あたまのうえを 大きな かげが 
よこぎりました。
「りっぱだなあ。よし、こんどこそ」
クジラは、ルーラルーを ちらりと みて
「おや まあ、ピンクの クジラ?
 へんな いろね」
ピンクを へんな いろだ なんて
こっちから、おことわりです。

  あらしが きました。
ルーラルーは、大なみの 上に のったり、
おっこちたり ぐるぐる まわったり。
「ああ、たのしいなあ」

 なみの むこうに 小さな ふねが みえました。
おとこのこが のっています。
「ねえ、いっしょに あそぼうよ」
そのとたん、ふねは、
みるみる おおなみに もちあげられて
おとこのこと ふねは
はなればなれに なって おちてきました。

 おとこのこは、めを つぶって 
しずんで いきます。
「ねえ、だいじょうぶ?」
ルーラルーは ふねになって、 
おとこのこを のせました。
そして、むちゅうで およぎました。

 あらしが やんで、
おとこのこが めを さましました。
「おはよう!」
ふねの そこで、ぱっちり おめめが
ぱちぱちって まばたき しました。
「すごい! このふね、いきてる!」
「ふねじゃないよ。ぼくは ルーラルー。
どんな かたちにだって なれるんだ」
「きょうりゅうにも なれる?」
「もちろん」

 おとこのこを せなかに のせた 
きょうりゅうが、みなとに やってきました。
きのいい ルーラルーは、
すぐに みんなの にんきものに なりました。
「わーい、ともだち いっぱいだ!」

 でも じきに、ルーラルーは、うみの中が、
こいしく なりました。
やっぱり さんごの もりで
かくれんぼ できる ともだちを さがそう。
「またねー」
ルーラルーは、こどもたちに 
さよならを しました。

 ルーラルーが、かいそうばたけを 
さんぽ していると 
ウミヘビが やってきました。
「おじさん、ながいね」
「おまえさんは まるいな」
「ぼくも、ながく なれるよ」

 ルーラルーは、びよーんと のびて 
みせました。
「いやー、たまげた。たいしたもんだ」
「みて、みて。おじさんより ながいよー」
ルーラルーは、すっかり ちょうしにのって
のびてー のびてー
ぷちん!
まっぷたつに ちぎれた ルーラルーは、
ゆらゆら しずんで いきました。

 ルーラルーが、ぷるんと みぶるい しました。
からだが かるくなって、
きぶんは、じょうじょう。
「ぼくの かたわれは どうしたかな?」
かたわれも、ルーラルーを みていました。
その あおい めの すてきなこと!

 「やあ、ぼくは、ルーラルー」
「わたしは、ラーラミーよ」
「ねえ、いっしょに かくれんぼ しない?」
「いいわ。さんごの もりで やりましょうよ」
「そうしよう!」 
ルーラルーと ラーラミーは、
なかよく ならんで およぎだしました。

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