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私の声を届けてくれるのは誰か(まちの不思議 おもしろ探究日記 #11)

(本記事は雑誌『社会教育』2023年5月号に掲載された記事を転載しています)

四年に一度のお祭りがやってきた。
オリパラか、ワールドカップか、WBCか。
いや、もっともっとアツい「市議会議員選挙」である!

かねてより、”市政推し”と宣言している私なので、この四年間の市政への愛をこめて、今回もまた選挙を盛り上げる活動を様々な形で展開している。
投票率を上げる活動や、立候補する予定の友人の手伝いなど、私が立候補するわけではないのだが、この春はとにかく「選挙で忙しい」日々が続いている。

そんな完全なお祭り状態の私をよそに、家族をはじめ、あまり選挙に関心がない友人たちは、四月に「市議会議員選挙」があるということすら知らない。
そもそも、市議会議員が何をしている人なのか、どんな人なのか、そして、市政が自分の生活にどう関わっているのか。そういったことも全く知らないという人がほとんどである。
国会議員がどうだとか、国の政治がどうだとか、そういった事には関心がある人でも、市政となった途端に「わからない」「興味がない」となる。
しかも、市長選ならまだしも、市議会議員選挙となるとなおさらである。

だから、私が「市政推しをしている」「市議会議員選挙こそお祭りだ!」なんて言っていると、いったい何がそんなにおもしろいの?と、よく聞かれる。

市政・市議会のおもしろさ

一つには、議会で扱っている話題が、本当に目の前にあるまちの事だという事がある。
毎日通る道路が危ないとか、毎日捨てているゴミの分別だとか、子どもが通う学校の施設の話だとか、商店街のお店がつぶれそうだとか、同居する家族が病気で仕事を続けられないとか、とにかく毎日の生活に直結している事が扱われているので、どの話題も手触り感がある。
普段自分たちが話している雑談のような愚痴のような話題が、政治の場で話されているということを知ると、「まち」や「政治」の見え方も変わってくる。

二つ目としては、「”私”の声が届く実感が持ちやすい」ということがある。例えば、何か困った事があった時に市議会議員に相談すると、本当にすぐに来てくれる。
そして、必要に応じて行政に掛け合ってくれ、解決するということも多い。
また、すぐに解決が難しい場合は、その後の議会で取り上げてくれたりして、市長や行政職員の方々に自分の困っている状況がちゃんと伝わっていく。
自分の声が一気通貫にスッと伝わり、自分の困り事はまちで解決できる問題なのだと思えることは、生きていく上での大きな希望につながる。

そして、この「声を届ける」という事を仕事として担っているのが市議会議員であり、私たちは私たちの税金で、その届け役にふさわしい人を雇っている。その人事権を行使することができる機会こそが、「選挙」なのである。

選挙が始まると、「いい候補者がいない。」という声がよく聞こえてくる。それはつまり、「自分の声を届けてくれるのは誰なのか、わからない」という事であると思われる。
議員一人ひとりは、それぞれが持つ属性や背景も違えば、得意な分野やテーマも違っていて、どんな声を聞いてどんな声を届けるのが得意なのかも本当に様々である。

そういった議員一人ひとりの特徴がわかってきて、自分の声はどうやったら届いていくのかがわかってくると、市政は一気にリアル感が出て、途端におもしろくなってくる。

議員一人ひとりの特徴を見える化する

この議員一人ひとりの特徴を、「この人はこういう声を届けるのが得意らしい」という情報として、リアル感を持って感じ取ってもらうには、何ができるのだろうか。

四年前の市議会議員選挙の時は、日々の生活や、PTAや団体の活動、市議会に傍聴に行ったり議事録を見たりする中で、私なりに見えてきた議員一人ひとりの特徴を、私の言葉でまとめ、「超個人的視点から市議会議員候補者を紹介」というブログ記事として紹介した。

二年前の市議会議員補欠選挙の時からは、「国分寺の投票率を1位にプロジェクト」を立ち上げ、その仲間たちとYouTubeライブを行ったり、独自のインタビューを行ったりしながら、様々な視点からの候補者紹介をしている。

そして今回の選挙では、市議会の「一般質問」の議事録を、一人ずつまとめて見やすくするためのデータベース作成に取り掛かっている。
市議会の「一般質問」は、持ち時間が全議員に平等であり、どんな分野の質問をするのかも自由であるため、議員一人ひとりが何に関心を持っていて、どんな声を届けて、どのように行政側と調整してくれているのか、といったことが凝縮されている。
議員の特徴を知るには、一番おすすめのコンテンツである。

普段から接している市民の声・インタビューによる本人の言葉・市議会での記録。これが重なって見えてくると、議員一人ひとりの特徴はかなりリアルに「見える化」され、選挙もグッとおもしろくなってくる。
選挙公報だけを見て投票するという時代は、終わりを告げるのである。

そして、どうしてもこの人という候補者がいないという場合は、候補者を育てる・送り出すという方法もある。今回の選挙では、私はまさにその挑戦をしている。
「この人にこそ”私”の声を届けてほしい」と思って投じられる票が増えていくということは、選挙の意義をどんどんと高めていく。
そしてその結果、投票率も上がり、まちで生きる人も増え、どんどんとまちも素敵になっていくのだと思う。

そんな希望あふれる四年に一度の「市議会議員選挙」を、
ぜひ多くの人が楽しめるようになったらいいなと思う。

▼ 雑誌『社会教育』

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