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Juha Arvid Helminen インタヴュー記事

ユハ・アルビド・ヘルミナンの作品はとても不安になる美しさを持っていて作品を知ってから私は惹きつけられています。
そんなユハへのインタヴューは、たまたまユハからの他愛もないDMからスタートしています。
私達は普通の雑談などをしていたのですが、作品をフェティシズム目線でインタヴューをさせてほしいと伝えたところ、全然いいよ!と、快く引き受けて頂きました。
とても嬉しいです、ありがとう。
画像は全て公式となります。


With sticks and stones
©Juha Arvid Helminen


Rei 
このような機会をいただき、光栄に思います。
今回のインタビューはフェティシズムが中心ですので、特にそれらについていくつかお聞きしたいと思います。


Juha 
あなたの質問内容はとても興味深いですね。



Rei 
あなたの作品には非常に政治的なメッセージが含まれていますが私たち日本人はそれを抜きで作品を見ています。
その時、私は何かダークでフェティッシュなものを感じます。
その解釈についてどう思いますか?
あなたの作品はあなたのフェティシズムの美学を反映していますか?


Juha 
私は強い美意識、美学が大好きでそれらは私を惹きつけてやみません。特に強いフェティッシュな美学は軍隊からきていると思います。
例えば、トム・オブ・フィンランドのアートには、レザーブーツとVisor Caps(ツバ付き帽)をかぶった男らしい男性が描かれていますよね。
彼はアートで独自の奇妙な世界を作り上げましたが、私も同じことをしたいと思っています。

キンキー(変態)コミュニティが軍隊や医療関連のものからその美学を取り入れていることは私にとってとても魅力的なこと。
これらはさらに素晴らしい進化を遂げていますよね。
権力の不条理な性質を強調するために私はそれらを反映させています。
私はこのような遊びが大好きで、"普通の世界に近いけど普通じゃない"ということを隠すことで表現しているんです。


101
©Juha Arvid Helminen

Rei
日本では、あなたの作品はダークで軍服フェティストの間で人気があります。それについてどう思われますか?


Juha 
日本では私の作品を知っている人はいないと思っていたので、まずその話が興味深いです!

さまざまなグループの人々が私の作品のファンであることにとても喜ばしく感じています。
フランスでクィア・フェスティバルがあって、彼らは私のアートを、”人々がどのような生き方をしてはいけないかという警告”として見たのかもしれないし、別の展覧会では衣装を性的な意味合いで崇拝した人もいます。
また、ある展覧会では制服やドレス、仮面、雰囲気などを単純に評価する人もいます。ホラー的な要素が好きな人もいるでしょう。
私の写真を使って、宗教的、政治的な憎しみを助長するようなことがない限り、私はどのような解釈をしても構わないと思っているんです。

Solitude
©Juha Arvid Helminen

Rei
「たとえ仮面の下に多くの個人の特徴が隠されていても、私達は彼らに共感することができる。」
”even if many of the characteristics of an individual are hidden under a mask, we can still relate to them”。

お話を伺っていると、ヘビーラバリストと共通するところがあるような気がします。彼らはフェティッシュな美学を持ちながらも個人主義です。
あなた自身は、すべてを覆い隠すようなフェティシズムをどう感じていますか?


Juha
私が自分の作品でモデルをするとどう感じるかと聞くのなら、正直に言うと嫌です。マスクやフードをつけると、コントロールが効かなくなり、とても落ち着かない気分になるんです。
写真を撮る側の人を信頼しなければならないので、私自身がモデルになることはめったにありません。

他の人たちの美学は間違いなく評価しています。
私は、極端なものが好きなんです。

街中で黒いユニフォームを着ている人はとても個性的だと思いますが、1000人が同じ服を着て団結力や強さをアピールすると、その個性は確実に失われてしまいます。
考えてみると、ちょっと面白いですね。
20歳のゴス少年だった頃は、それなりの格好をしていたけれど、同時に同じような格好をしている人たちと一緒にいたいという気持ちもありました。
確かに、コミュニティには安全性がありますが、年齢を重ねるとともに、人は集団の中で自分を見失ってしまうことが多いと感じています。
私たちは常に集団の一部であり、本当の意味での個性は希薄です。これには勝てないと思います。

Traditional
©Juha Arvid Helminen

Rei
どの作品も統一感のある着こなしですね。それはご自身で縫製されているのですか?


Juha
私の表現は、既製品、改良したもの、そして完全に私の芸術のために作られたもので構成されています。
”spine dress”(背骨のドレス)のような完全に自分の作品のために作られたものは自分でデザインして、友達に作ってもらったものですが、最近は自分でできるようにミシンの練習を重ねて、マスクに合う未来的でディストピアな衣装も作れるようになりました。
プラスチック製のマスクを自分で作るためにプラスチックの熱成形の方法を学んでいます。これにより、既製品を買って改造する必要がなくなりました。

新しいプロジェクトとして、1/6スケールのフィギュアシリーズを制作していますが、その衣装の一部はすべて自作しています。フィギュアには実際には裏話と純粋なフィクションがあります。
基本的に続けている写真作品はキャラクターデザインで物語を語っているのですが、私たちの悪行を反映した人間のモデルを使用しています。


Rei
日本での次の個展の予定はありますか?


Juha
ヴァニラ画廊で展覧会をする予定だったのですが、残念なことにコロナの制限で何度も何度も変更させられています。
近いうち日本に行き、この展覧会ができることを願っています。

それから、私のブラックオンブラックビジョンの写真集がついに完成しました。
"A Journey to the Invisible Empire"(見えない帝国への旅)。

2006年に大学の修学旅行で日本に行き、”人狼 JIN-ROH”のアクションフィギュアと本をたくさん買ったので、自分の作品のアクションフィギュア、本、写真作品を持って東京に戻るのはちょっと面白いです。

The Queen of the Invisible Empire
©Juha Arvid Helminen


Juha Arvid Helminen
Juha Arvid Helminenは現在、フィンランドのラハティ在住。
2011年にラハティのデザイン美術研究所で写真を専攻し、学士号(BA)を取得して卒業。

2006年に民間人のデモをフィンランド警察が暴力制圧した「Smash ASEM」の暴動によりフィンランド警察のダークな一面を目撃したユハは、それを基に制服(ユニフォーム)とフードによって保護された匿名の人々による「Empire(帝国)」を表現。

コロナの影響で2020年、21年と東京での個展が延期。
また、写真撮影も難しくなったため彫刻シリーズをスタート。
政府からの資金支援を受けながらミシンを購入したり、前向きに作品制作に取り組んでいます。

彼の作品は、フィンランド、コロンビア、ネパール、フランス、ドイツ、アメリカでのグループ展に出品されています。

作品が日本でまた見られることを楽しみにしています。


Official Web


©Juha Arvid Helminen

Thanks for all you do!


ーーーーーーーー2023.7.26付ーーーーーーーーーーー

Juha Arvid Helminenの日本での展示が決定しました。


この度、ヴァニラ画廊ではフィンランド出身のアーティスト、ユハ・アルヴィド・ヘルミナンの展覧会を開催いたします。氏は歴史を通じて、権威、宗教、伝統の名のもとで、人々の個人的アイデンティティが、どのように秘匿化していくかという人間の暗い側面を「インビジブル・エンパイア(見えざる帝国)」 というシリーズを通して発表しています。今回の展覧会は作家の日本初個展となり、作品の展示販売も行います。人間の本質を問いかけ続ける、美しい漆黒の写真作品を是非ご高覧下さい。

ヴァニラ画廊公式Webより


ヴァニラ画廊 展示室B
2023年 9/28(木) ~ 10/9 (月・祝)
営業時間:平日12:00〜19:00、土日祝日最終日:12:00〜17:00
オンラインチケット800円
当日券1000円*

詳細は下記Webからどうぞ。

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