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職場で「わかり合えない人」に出会ってしまったら

以前の記事で職場に「わかり合えない人」がいるのは案外正常なことであると書きましたが、実際にそのような人に出会ったらどうコミュニケーションを取ればよいか考えてみたいと思います。

例を挙げてみますとこのような人です。

・思いつきで指示をコロコロ変える気分屋の上司
・ミスをやらかしても反省せず、また同じことをやってしまう困った部下
・こっちが忙しいのに平気で話しかけてくるお調子者の同僚
・仕事をお願いすると嫌味を言ってくる他部署の意地悪な担当者

プライベートであればこのような人とはそもそも付き合わなければいいのですが、仕事になるとそうもいかず、このような人ともコミュニケーションを取っていく必要があります。

コミュニケーションの目的は仕事を前に進めること

まず前提として職場では「仕事が進むこと」が目的ですので、嫌いな上司や苦手な部下と無理に仲良くなる必要はありません。「あの人は嫌い」のままでもいいと思います。
さらに言えば、自分自身も相手に好かれる必要はなく「嫌われたまま」でも構いません。
(もちろん、仲良くなることができればそれはそれで素晴らしいことですが)

必要なことはあくまで仕事を前に進めるために互いに言うべきことが言える状態をつくることです。

例えば、上司の指示があいまいでコロコロ変わるのであれば、部下はその都度遠慮せずに上司の意図を確認する、それに対して上司は不機嫌になっても説明する。部下が何度もやらかすのなら、相手を一方的に詰めるのではなくやらかしてしまう原因を一緒に議論して見つける、といった状態です。

とはいえ、「わかり合えない人」とはできるだけ会話をしたくないのが人情ですので、何もしなければ自然に会話の量は減り、必要なコミュニケーションも取れなくなるので仕事が前に進まなくなり、互いに相手への不満だけが蓄積されていく悪循環に陥ります。
(その結果、ますますわかり合えなくなる)

「どっちも悪くない」から始めてみる

冒頭の事例ではあえて相手のことを「悪く」書いてみましたが、それはあくまで自分の視点から見えたことであり、相手の視点から見るとこのように変わります。

・“気分屋”の上司から見て、臨機応変に対応できないあなたは“融通が利かない”部下かもしれません
・“困った”部下から見て、ミスしたぐらいで怒るあなたは“心が狭い”上司かもしれません
・“お調子者”の同僚から見て、相手にしてくれないあなたは“冷たい”同僚かもしれません
・“意地悪な”担当者から見て、無理なお願いをするあなたは“迷惑な”社員かもしれません

このように、立場が変われば見えるものも違うので、いくら「相手が悪い」と思っても相手の態度や行動は変わらないので、物事は前に進みません。
(明らかに相手が悪いと言えるのは法律や規則に違反したときぐらいです)

また、逆に何でも「自分が悪い」と思っても自分自身が病んでしまうだけでやはり前には進まないと思います。

前回も述べたように、「どっちが良い悪い」ではなく「互いに違う」というだけの話なので、「あなたと私は違う人なんだ」ということが互いに認識できれば関係は前に進みますが、相手がそう思わなくてもまずは自分から始めるだけでも大きな前進です。

そのため、お勧めしたいのがまずは「どっちも悪くない」という姿勢で相手に接することです。

具体的には、以下の2点になります。

1.相手の言動が自分にとって不快なものであっても、「悪意がある」と決めつけない

例えば自宅でテレワーク中にペットの猫に邪魔されても、猫に怒る人はあまりいないと思います。なぜなら猫に悪意はなく、単に「そういう習性の生き物」だからです。
同じように、人間であっても色々な人がいるので、自分にとって不快な行動でも相手にとってはごく普通の行動であったりしますので、「そういう人なんだ」と割り切ることから始めるとよいと思います。
(不快に感じる自分を否定する必要もありません)

2.自分の言動が相手を不快にしても、「自分が悪い」と思わない

相手から否定的なことを言われてしまうとつい自分を責めてしまいがちですが、自分に悪意があるわけではなく、たまたま相手と合わなかったというだけの話です。
そのため、「不快にしてすみません」と言えばよくて、心の中では「この人はこういうのが嫌いなんだ」と相手の好き嫌いとして扱ったほうがよいと思います。

上記2点で重要なことは、相手の言動に即座に反応しないことです。
イメージとしては、相手の言動で「カチン」と来てもすぐに言い返すのではなく、数秒間沈黙してからようやく口を開くぐらいの感覚です。
これにはある程度の練習が必要ですが、誰でもやってできないことではありません。
私自身もお恥ずかしながら若いころはそれこそ「コノヤロー!」と即座に反応してしまいましたが、年を重ねるうちに少しずつ“間”を持てるようになりましたので、短気な性格であっても訓練をすればできるようになります。
(あまりの短気ゆえに、たくさんの痛い思いをしてきました・・・)

反応しないようになるためには

相手の言動に反応しないようになるためには、逆に「どのようなときに反応してしまうのか」を考え、自分が反応してしまうポイントを自覚するのが重要です。

そのためには、自分の中の「あたりまえ」と「ありえない」を自覚することです。

例えば上司や部下に対して「イライラ」したとき、どのような場面で「イライラ」したのか洗い出してみます。

(例)
・上司が頭ごなしに決めつけてくる
・部下が同じことを何度も聞いてくる

このとき、なぜ「イライラ」するのか自分自身に問いかけます。

(例)
・上司ならちゃんと部下の話を聞くべきだ
 (自分の中で「あたりまえ」と思っていることを相手がしない)
・同じことを何度も聞くのはおかしい
 (自分の中で「ありえない」と思っていることを相手がしてしまう)

このように、自分の中の「あたりまえ」と「ありえない」に反する場面が反応してしまうポイントになります。

画像1「あたりまえ」と「ありえない」は普段それ以上考えない(なにせ「あたりまえ」のことなので)ので、自覚することは容易ではありません。


また、自分の中の「あたりまえ」がつい万人にとっての「あたりまえ」と思い込んでしまうこともあります。
例えば「人に迷惑をかけない」「約束は守る」といったことは確かに多くの人にとっては「あたりまえ」に思えることですが、そうでない人も世の中には存在しています。

そのため、自分の中の「あたりまえ」と「ありえない」はあくまで自分のものとして受け止めると、相手に対して反応したくなる場面に遭遇しても一呼吸を置くことができるようになるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでもご参考になれば大変幸いです。

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