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【Weekly SELECK】「DAO=スケール可能な協同組合?」 コープこうべ様・取材後記

みなさま、こんにちは!SELECK編集長の舟迫です。
ジメジメして嫌な季節ですねー 💦 この時期になると毎年、除湿機を買おうか悩むのですが… 結局買わない…(こういう人多そう)

それでは、本日も元気に「Weekly SELECK」をお届けします🙌
今回は6月21日(火)に公開した「助け合いのマッチングはほぼ100%!『生協』の価値を現代に、コープこうべアプリが目指す世界」の記事について、取材後記という形でご紹介させていただきます!

助け合いのマッチングはほぼ100%!「生協」の価値を現代に、コープこうべアプリが目指す世界

コープこうべさんのキャラクター「コーピーちゃん」かわいい

まずは本記事のサマリーをご紹介!

では最初に、今回ご紹介する記事について簡単にご紹介します。

・生活協同組合コープこうべでは、2017年より生協本来の価値を今の時代にフィットさせるためのスマートフォンアプリ「コープこうべアプリ」を展開

・商品の注文機能に加えて、ボランティアへの参加や、地域の人との交流が気軽にできる機能を続々と追加。人間中心設計を採用し、組合員の声を聞きながらユーザー体験を向上させ、利用者を増やし続けている

・気軽に意見を発信できる「投票」では、ひとつのテーマに1万人以上が参加し、1,000件以上のコメントが集まることも。また困りごとを手助けしてほしい組合員と、それを手助けできる組合員をマッチングする「たすけタッチ」の成約率はほぼ100%と、アプリが新しい時代の地域コミュニティ醸成につながっている

https://seleck.cc/1526

▼お時間のある方はぜひ本記事をどうぞ▼

皆さん、「生協」もしくは「COOP」、利用したり、見かけたり、といったことが一度はあるのではないでしょうか。

このコープこうべアプリ、すごいんです。単なる宅配注文のアプリではなくて、日常の中で、地域コミュニティの活動に自然と参加してしまうような仕掛けや機能をたくさんもったアプリなんです。

代表的な機能を少し紹介させていただきますね。

「投票」…商品開発など、気軽に生協の活動に参加できる。ペットボトルのラベルデザインについての話題には1万2千件以上の投票と、1,000件近いコメントが集まった。

「たすけタッチ」…ゴミ捨てのようなちょっとした困りごとを手助けして欲しい組合員と、それを手助けできる組合員をマッチングする機能。15分で100円というシンプルな価格設定で、成約率はほぼ100%。

「コーピーくらぶ」…小学生以下のお子様を持つ組合員が、子育てに関するやりとりができるコミュニティ。24時間で投稿が消える「きいて」のコーナーでは、日々の悩みごとを肩の力を抜いて発信できる。

もちろん、宅配の注文もできますし、店舗ではポイントカードとしても利用できます。さらには最大1週間分の献立を自動で作成する「こんだてアシスト」といった機能も備えています。

▼「コープこうべアプリ」について詳しく知りたい方はこちら▼

めちゃくちゃ便利そうですよね!?ただ、今回の取材ではアプリの機能というよりは、アプリ全体として大切にされているUX設計とコミュニティづくりに注目させいただきました。

取材でお話いただいたインターネット・デジタル推進統括 浜地 研一さんの発言を抜粋しますが、

インタビュイーであるアプリ全体に言えることなのですが、「人気(ひとけ)」が感じられることをとても大切にしています。

例えば「きいて」では今何人が参加しているのかわかるようにしていたり、「たすけタッチ」では「合計何回たすけたよ!」という表示をして、みんなどこかで一緒にいる気配をつくって安心感を持ってもらえたらと思っています。

このように組合員さんと向き合ってアプリを改善し続けてきた結果、今では「コープこうべアプリ」そのものが安心できる地域のコミュニティになりつつあります。

https://seleck.cc/1526

詳細はぜひ本記事を読んでいただきたいのですが、本当にユーザー(組合員の方)と寄り添って、というか一緒になってアプリ開発に取り組まれているんですね。それが結果として、コミュニティとしての熱を高め、たくさんの人が日常の中で生協の活動に参加することにつながっていると感じます。

アプリを運営されている方、コミュニティづくりに取り組む方を含めて、多くの方にとって学びのある内容だと思いますので、ぜひ読んでみていただけますと幸いです。

そもそも「生協」ってどういうビジネスモデルなんだっけ…?

コープこうべさんの取り組みの詳細は本記事を読んでいただくとして、このnoteでは「生協のビジネスモデル」について少しお話したいと思います。

そもそも私も、「生協ってなんだっけ?」と聞かれても、「みんなで運営している宅配サービス…?」的な、あやふやな答えしか持ち合わせていなかったんですよね。そこで取材前に色々と調べてみました。

生協は「生活協同組合」の略で、数ある「協同組合」の一つです。 消費者一人ひとりがお金(出資金)を出し合い組合員となり、協同で運営・利用する組織です。 略称としてよく使われる「コープ」は、「協同組合」を表す「Co-operative(コーペラティブ)」の「Co-op」を日本語読みにしたものです。

https://jccu.coop/about/
引用元:https://www.japan.coop/study/statistic.php

生協に代表される「協同組合」は、利用者である組合員がお金(出資金)を出し合い、協同で利用・運営していく非営利の組織です。利益を上げることを目的とし、出資者が株主となる株式会社とは大きく異なります。

また、組合員全員が出資額に関わりなく一人一票の権利で組合の運営に参加し、方針を決め、それを実践するという経営への直接参加が原則です。こちらも、所有と経営が分離されている株式会社とは違いますね。

ちなみに出資金の金額は組合によって異なりますが、出資金は入会金や会費、寄付金ではないので、脱退するときに全額払い戻されます。また、決算時に利益が出ると、配当金として還元されます。

このように、組合員が出し合ったお金をもとに、自分たちが必要とする商品やサービスを生み出し、それを組合員のために提供することが協同組合の目的です。

「協同組合」と「DAO」って似てませんか???

こうして生協、そして協同組合について調べる中で私が思ったのは、「これって組織としてすごくDAO的じゃない?」ということです。

DAOとは?
Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織
同じ志をもつ人々が地理的に分散しながら、個人が自律的に活動することにより、特定の所有者(株主)や管理者(経営者)が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進していくことができる、web3時代の組織形態のこと。

https://seleck.cc/dao

協同組合とDAOが共通しているのは、どちらもその参加者によって共同で所有され、それぞれに意思決定の権限が与えられている、という点だと思います。

こうして考えると、DAO=web3時代の組織という印象が強いものの、実は人間が古くから行ってきた活動に、テクノロジーが重なったことで生まれたものなんだなと感じます。

この文脈で、おもしろい記事があったのでご紹介します。

アメリカのコロラド州は、暗号資産での納税を開始するほか、ブランド牛を分散型台帳で管理する仕組み、DAOを立ち上げやすくする政策の導入を目指すなど、「アメリカで最もブロックチェーンに優しい州」を目指しているそうです。

この記事は州知事のジャレッド・ポリス氏へのインタビューなのですが、その中にこのような問いがありました。

従来の協同組合ではできなかったことで、暗号資産を基盤とした協同組合の仕組みである分散型自律組織(DAO)でできることや達成できることは何なのでしょうか。

https://wired.jp/article/colorado-jared-polis-blockchain/

それに対し、ジャレッド氏はこう答えています。

確実に取引コストを削減できることです。DAOでは、何千人ものメンバーを管理することが比較的簡単にできます。組織運営もまた分散型でも、中央集権型でもできます。メンバーがいつでも投票でものごとを決めるようにしたいのであれば、分散型の組織でそれができます。通常の協同組合の場合、何かを決定する目的で日に何度もメンバーであると同時に所有者でもある組合員に投票してもらうようでは、現実的ではありません。

実際のところ、コロラド州には信用組合など多くの協同組合がありますが、うまくいっている協同組合は中央集権型の組織です。所有権は分散されていますが、従来の仕組みである取締役会と最高経営責任者(CEO)がいます。

https://wired.jp/article/colorado-jared-polis-blockchain/

実際、協同組合では組織が大きくなると、組合員全員を集めた総会(最高意思決定機関)は開催が困難となるため、代議員による総代会で組織経営に関する重要事項を決定するようになるそうです。この点はどちらかというと、従来の株式会社に近いですよね。

一方でDAOでは、それぞれが独自のガバナンストークンを発行しており、それを購入することで組織に参加し、意思決定のための投票権を保有できる仕組みになっています。

そして意思決定の際には、投票により賛成が過半数を超えると、ブロックチェーン上に設定されたルールに従って自動的に取引が行われるプログラムである「スマートコントラクト」によってそれが実行されます。

要はめちゃくちゃ簡単にいうと、DAOはテクノロジーによってスケール可能になった自律分散型組織なんですよね。ブロックチェーンというテクノロジーを用いたことで、透明性・公平性を保ちながら、参加者を世界中から何人でも集めることができる。

従来の組織では実現不可能だった本当の自律分散を、先端技術によって実現しているのだと言えるのではないでしょうか。

実は、コープこうべさんのケースでも、もともとの狙いとしては「宅配サービスだけではない、生協本来の価値を今の時代にフィットさせるためにスマートフォンアプリという技術を用いているんですね。

まさに、テクノロジーの発展によって組織運営の姿が変わっていく…ということが、体現されていると思います。

妄想ですが、今後、各地域に分散している生協がDAO化することで、コープこうべさんが組合員の方に提供されているような体験をより多くの人が享受できるようになるのでは…!と思ったり(現状、参加できるのは対象エリアにお住まいの方のみ)。

DAOの在り方についてはまだ各所で議論も続いており、明確な答えがあるわけではないと思いますが、個人的にはここまで理解してかなりスッキリしました。

気になる方は、ぜひ協同組合についても調べてみてはいかがでしょうか。長くなるので割愛しましたが、その成り立ちや歴史は非常に興味深かったです。

では、本日は以上になります!最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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