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悩み相談をむやみに受けてはいけない理由

世間では、心理テストとかカウンセリング、セラピーみたいなのが大流行で、一億層カウンセラーか?と思うくらい、いろんな人が道端で、喫茶店で、SNSで、自分の悩みごとを話したり、人の悩みに踏み込むことを言ったり書いたりしています。
でもそれって、結構危なっかしいことじゃないのかな。

悩みごとを話したり聞いたりするリスク

あっさり10分で終わるような話ならいいけれど、込み入った悩みの話を、聞く訓練を積んでいない人間が聞くのは、危ないと思う。それくらい自分も相手も傷つけずに悩みごとを聞くのは難しいと思うんだが。

悩んでいることや心を痛めていることを話す時、普段は心の中にしまってある「傷のある部分」がむき出しになります。そしてその話に共感すればするほど、聞かされたほうも痛みを覚えるはず。

コントを話すみたいに楽しく話せる人は、もう悩みの渦中を抜けているのだろうし、あなたがコントでも聞くような楽しい気持ちで聞けるならば、比較的安全だとは思う。
でもそうでなく、悩みごとがまだ生傷の状態ならば、話すほうも聞くほうも、気まずかったり、辛かったりするのが当然で、そしてそういうときは新たな傷もつきやすいものです。

二次被害はどこにでも起こる

事件や災害の被害者が、周囲からいっそう傷つけられることを二次被害といいますが、二次被害によくある「あなたにも悪いところがある」「気にしすぎだよ」などの発言は、事件被害者に限らず誰でも何度かは言われたことがあるんじゃないかな。
つまり悩み事を話すときには、二次被害がいつでも起こりうるということです。

楽しい話題でも相手の反応で傷つくことはあると思う。でも悩みごとを話す時に傷つく可能性は、楽しい話題のときよりもずっと高いんじゃないだろうか。

私がやらかした二次加害

二次被害という言い方は加害者不在のニュアンスを感じるので、ここは二次加害と言います。

私は友人の悩みごとを聞いているときに泣かせてしまったことがあります。その友人は、心の深い部分のことも話せる貴重な友人でした。そんな、心を許していた友人が相手でしたが、泣かせてしまいました。友人から、親がしんどいという話をされ、その時私は「それは〇〇な心理からきてるんじゃないの」のような勝手なコメントを返しました。相手は泣き出し「私はカウンセリングも分析も頼んでいない、いきなりそんなことを言われるのは辛い」と私に言いました。
そこまで言われて初めてハッとしました。
私は相手の了承も得ないで勝手に心の中に突っ込んでいったわけです。しかも「相手のためにいいことをしている」という気分と、「私はわかってる」という傲慢な気持ちに浸っていました。
そういう人はカウンセラーには不適格と思います。一見どんなに立派な良いことを言ってるようでも、自分がいい気分に浸るために相談者を踏みつけているにすぎません。それはカウンセリングでもなければ雑談でもありません。説教とかクソバイスというのです。

その時、悩みごとを聞くというのはとても難しいことで、自分が酷いことをしたと改めて実感しました。
しんどい体験でしたが、友人が本音を教えてくれたからこれで済みました。そうでなければ私は未だに気づいていなかったかもわかりません。恐ろしい…。それくらい、雑談の延長で何のルールも決めないで悩みを話すのは、危ないことだと思います。

引き受ける前にリスクを覚悟しておこう


悩みごとを言ったり聞いたりすることには、上記のようなリスクがあることを心得ておくべきです。
それを引き受ける覚悟ができないなら、悩みの話は避けた方がいいと思う。
せっかく私に悩みをうちあけてくれたのに断るなんて悪い…そういう声もあります。では、悩みを聴くことは役に立つ良い事なのかを考えてみましょう。

悩みを聴くことは良い事なのか

私が悩み多きころ、心の友と語り合うことで進むべき道を見つけ出せたことは事実です。が、それは相手が心の友だったからだし、互いに読んだ本の意見交換などをして、研鑽し合う仲間だったからで、ただ悩み事を聞いてもらって気晴らしをするようなのとは違いました。

漫然と語られる悩み話は、惚気話や自慢話のようなもの

あちこちで悩みごとを言うようなのは、のろけ話や自慢話と同じです。自慢話をいくら聞いてあげてもその人の成長にはつながらないでしょう。それと同じで、誰彼なしに垂れ流される悩み話は、いくら聞いても相手の成長には役立ちません。

相手が心の友だと思える相手で、自分の反応からヒントを拾い上げている手応えが感じられるならば、覚悟を決めて悩みに向き合えばよいと思いますが、そうでないなら避けましょう。

悩み話を回避する工夫


・〇〇はどうだったの?と違う話題をうながす。
・その話は苦手なので、もっと楽しいことを話さない?と話題を変えてもらえないかお願いする。
・専門の機関に相談することを提案する。
・「ふーん」「あるあるだね」「わかりみ」など、当たり障りのない反応だけしてやり過ごす。
これで、あとで「言い過ぎた…」と落ち込むことを防げるかも分かりません。

以上の方法で相手が話すのをやめてくれればラッキーですが、なかなかやめてくれないかもしれません。
あなたが嫌がってるのに悩みの話をやめてくれず、そんな相手がしんどいのなら、今後の付き合いも含めて考えた方が良いかも分かりませんね。

相手の悩みを聞こうと思うなら


もしも、相手の悩みをしっかりと聞いて、受け止めることを願うならば、互いのために、ちゃんと聞く技術を学ぶとか、安全な場をセッティングことをおすすめします。

聞く技術とは、話し手と聞き手の両方が安全な場をセッティングする必要性や、人間の認識の仕組み、心の仕組み、物事を適正に切り分ける方法、意見と事実を切り分ける方法、物事の受け止め方のコツ、相手からはっきりと頼まれない限り、自分の意見をむやみに言わない練習などです。

意見を言う時には、「あくまで私の意見ですが」、と断ってから言うことも大切です。

どちらにしても、悩み話を受け止めようと決めたなら、何をどこまで話すかをちゃんと決め、言い過ぎない工夫や、言いすぎたと思った時にすぐ止められるような安全対策をしっかり取ってからにいたしましょう。
このように、しっかり時間や場を作り、集中して取り組むことが望ましいので、たとえコーヒー1杯でも、対価をもらって引き受けると無難です。
少なくとも対価とともに依頼を受ければ、相手の覚悟にもこちらの覚悟にも繋がります。
ついうっかり知らない間に悩み相談になっちゃった、みたいなことが防げて、お互い本気で向かい合うことが出来るのではないでしょうか。

悩み事の傾聴は、プライベートでやるには荷が重すぎますよ。

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