【読書感想文】二宮寿朗『鉄人の思考法 1980年生まれ、戦い続けるアスリート』集英社

SMAPの『夜空ノムコウ』ほどエモい歌はないと最近思っている。
「あの頃」をいつと考えるのかによって、「あの頃の未来」も「僕ら」も思い浮かべるものが変わってくる。
5年前なのか、10年前なのか、20年前なのか、30年前なのか…。

同い年の彼らの当時を聞くと、どうしても「あの頃」の自分と比較をしてしまう。
そう、彼らが4年生だった時、自分も同じ4年生を過ごしていたのだ。「その頃」ではなく、同じ時代を生きた彼らと共通の話題となりうる「あの頃」なのだ。
だからこそ、その時その時の選択について考えさせられる。
館山昌平が、野球が下手で三振ばかりしていた小学校4年生の頃、自分も野球が下手でどうしようもなかったが、あきらめなかった館山に対して自分は続けなかった。

ちょうどこの本を購入してから読み始めるまでの道中、Twitterで予備校講師の小池先生が「本当にこの業界で生きていきたいなら、鋼のメンタル…というより、豆腐みたいにグズグズに崩れちゃっても崩れたまんま歩いていけるくらいの図太さ(?)は必要だよ」と書いているのを見たところだった。
木村昇吾はすごい。FA宣言で声がかからずに、そこから更に入団テスト、育成契約、それでもやり続けるのは大変だろう。
自分なら崩れることを恐れて、まず決断自体ができないだろう。
みんな傍から見れば失敗だ、ダメだと思われることを経験していきている。しかし、そこから戦い続けた。
自分は15年前の中国ではグズグズに崩れて、崩れたまんまで、崩れていた。
その後もまだこの業界にいるということは、戦い続けているということなのだろうか。

グズグズに崩れても歩けるようになったのは、おそらく初めて持ったと言っていいだろうそこそこの自信が芽生えたのは、わずか5年前のことだ。

「満足したら、やめるときじゃないか」と和田毅は言う。
自分は4年前に一度満足してしまった。その時に、今の仕事はあと一年で終わりにしようと思った。結果的にすぐにやめることになったが、今の自分のモチベーションを見ても、それでよかったのかもしれない。
いわゆる日本語学校に関わり続けるのは、もう限界だったのだと思う。今の自分には、モチベーションとしてもう無理だと思っている。

中村憲剛の言うように、「何でもモチベーションになる」「ようは自分次第」というのは、その通りだろう。
しかし今、モチベーションに変えられない自分がいる。かつての自分はどこへ行ったのか。

この数年は頭が拒否反応を示すので、新しいものを吸収しようとすることも難しい。
それがモチベーションの低下に拍車をかけている。
だから、新しいことを始めてもそれがいつまで続けられるのかと不安がある。

しかし、いつからだろうか、玉田が頑張っているからまだ頑張ろうと思うようになっている。

そして、松坂の復活はやはり大きかった。
松坂世代は田臥雄太もいるし、広末涼子もいる。中学、高校の頃からただ有名というだけではなく、その世界のトップであった彼らは、当時はあまりリアルな存在ではなかった。
しかし、今は大いに気になる存在だ。
優香も、井上和香も、小池栄子も、杉内俊哉も、末次慎吾も、村主章枝も、巻誠一郎も、五十嵐圭も、岡田准一も、大野智も、星野源も、保田圭も、高橋一生も、妻夫木聡も、又吉直樹も…(書ききれない。書いて消した名前多数)
今の自分にはみんなエモい。

この本をモチベーションに変えて、もう少し頑張ってみる。

2020.1.12

そして翌日。Twitterで都倉健が「未来は描いた通りにはいかないけど、描いていない人生も自分次第で最高にできる」と。その通りだと思う。

「あの頃の未来」に「僕ら」は立っていないけど、今の周りを見渡せばキラキラと輝く奇跡のような幸せがごろごろと転がっている。

そういう小さな幸せの気持ちを積み重ねながら、今の身の回りを肯定していくことができれば、最高の毎日を作っていける。

2020.1.13追記

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