他人の優しさ

　そんなある日、事件がおきました。八歳の兄は自転車で
妹を迎えに行っていました。その自転車の車輪に妹の足が
入って抜けなくなったのです。慌てたお兄ちゃんは近くに
いた人に助けを求めました。女性の方が病院に連れてくだ
さったのです。お兄ちゃんから話を聞き、助けて頂いた女性の
方にお礼をいいに行きました。その方が「娘さんは泣きもせず
じっと我慢していましたよ、本当に強い子供さんですね」と
「お兄ちゃんは必死で助けを求めて来たので」可哀そうに思い
病院に連れてくださったのです。私は丁寧にお礼を申し上げ
何回も頭をさげました。
　見も知らない子供たちを助けてくださった気持ちが有難く涙が
止まりませんでした。お兄ちゃんや娘によく頑張ったねといい
抱きしめました。子供たちは親が側にいなかったので心細くて
不安だったと思います。子供たちの心を思えば胸が張り裂けそうでした。
つづく