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下肢切断術後の基本的な流れ

私が考える下肢切断術後の理想的な流れを紹介します。

切断術は急性期病院で行います。

切断端の創部が治癒したらリハビリテーションセンターや回復期リハビリテーション病棟に転院します。急性期病院で全てを完結させないほうがいい理由は、急性期病院では制度上リハビリにかけられる時間が少ないからです。

転院後、下腿義足なら2〜3ヶ月、大腿義足なら3〜4ヶ月じっくりリハビリを実施します。

この期間に断端は成熟が進み、小さくなっていきます。そのためその時の断端の形状に合わせた義足ソケットが必要となります。

私の病院では最初、プラスチックキャストで作ったソケット(キャストソケット)を義肢装具士に作ってもらって、1ヶ月くらい経ったタイミングでチェックソケット(透明な仮合わせ用のソケット)に移行するようにしています。

こうしてしばらく仮のソケットとそれにパーツを組み合わせた義足歩行訓練を進めていきます。

退院可能な歩行能力が獲得できたら、ようやく持って帰る用のラミネートソケットを義肢装具士に作ってもらいます。これが仮義足になります。ここまでである程度断端の成熟が進んでいるので、この仮義足は数ヶ月履き続けられることが多いです(例外はあります)。

そして退院後は外来通院でフォローします。リハビリした病院でフォローするのが理想ですが、それが難しいならせめて担当した義肢装具士が所属する義肢装具製作所で定期的にフォローしたほうがよいです。なぜなら患者さんの断端は退院後もまだ少しずつ変化し続けるため、仮義足が合わなくなり、本義足が必要になるからです。私の場合、仮義足の段階では1.5〜2ヶ月くらいの間隔で外来フォローしています。

本義足になっても外来フォローは続けますが、本義足の段階になれば3〜4ヶ月ごとの外来フォローで十分になってきます。断端の成熟も落ち着いてきますし、ユーザーもちょっとしたトラブルには自分で対処できるようになるからです。

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