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今年読んだ思い入れのない本

蜜蜂と遠雷

 今年読んだ唯一の小説でした。Kindleに入ってて、購入履歴もあるのですが、どういうつもりで買ったのか全然覚えておりません。まあそのときヒットとか、アマゾン師匠が上に持ってきてたから、天使が放り込んでくれたのでしょう(有料)。これと山崎豊子の何かを読んだ記憶があります。唯一ではなかったな。
 ものすごい味が濃かったです。創作だからやりたい放題です。だって主人公が天才なんですよ。『イヤー都合のいい設定だねえ』『アニメみたいだなおい』と思って読み進めてましたが、そもそも創作から漂うカロリーの高い脚色や作家性に、なんだか疲れて小説を読まなくなった気がしたんですよね。『面白すぎるやん…(疲労)』という感じ。
 僕はある時期から、お笑いにしても『すっごい笑わそうとしてくる…』っていう疲れのようなものを感じるんですけど、そのテンションについていく元気が無くなってきているのでした。面白すぎるということは、面白くあろうとする念が作者や製作陣によって込められておるわけで、ちゃんと向き合うとすごい疲れるんです。若い頃、熱量がなくとも、それを浴びる覚悟があったのですが、がっちり中年となってしまった現在『ちょっとテンション高いすね』と距離を取りがちなのでした。
 実際こういうエンタメに触れるまでに行き着くと、熱狂に意外と身を任せられるんですが、触れようとして触れるまでの待機時間が一番疲れるし、はっきり嫌になってきてます。映画だったら、『映画を見るぞ!』と決意した瞬間から、移動やチケット購入といった楽しみであれば気にしないようなことがすべてハードルになってしまうのでした。

 加齢ってことなのかもしれませんが、多分、一部のエンタメに関しては、行き過ぎたユーザーフレンドリーさもあると思ってます。お笑いだったら、お笑いの構造自体を説明しすぎたり、汎化されたフォーマットを丁寧に美しく使っていることが見え過ぎたりすると、上げたくない部分の解像度が上がって視点がブレたあと、「面白い/笑える」ということに集中し直す必要が出る。それがまたハイコストなのよな。
 創作物自体が持つ、面白さの喚起の仕掛けが、時代とともに見えやすくなるということと同時に、受け取り側は経験によって見えやすくなるということが、『小説を読まなくなる』とか『テレビを見なくなる』とか、エンタメを消費しにくくなるということなのだと思いました。
 「俺最近テレビ全然見てへんわー」と俺に向かって主張してきた者を、この理解を持って無罪とします。もう戻ってくるんじゃないよ。

 蜜蜂と遠雷の感想は、ピアノのねいろがきこえてくるようで、おもしろかったです(小学生)(痰切りながら)。

大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる

 とにかく主に株しかやってない人生になりつつあるわりに、日銀が何かとか、量的緩和が何かとか、金利が何かとか、わからんくせに「何となくこんな感じ」で捨て置いていることが多すぎることに気づきました。
 ということで、いかにも怠惰な人間を救い出すために作られたっぽい本を買って、金融についてのお勉強をいたしました。

 この本では緊縮や反緊縮といった、イデオロギーに関わることは排除していると思います。その上で、日本や世界がこれまで行ってきた金融政策とその結果について述べている章があるのですが、「日本の金融緩和が経済の成長に結びついていない」ということと「金を送り出す方向が、少なくとも今までのところは間違っている」という定量的な事実が記載されています。

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 各国中央銀行が、過大なインフレを防いで自国通貨の価値を守りながら、緩やかにインフレを目指すという目標が大前提で、それこそが経済成長であるというのなら、日本がこれまでやっている「企業に向けた低金利政策は効果が出ていない」ということになります。
 じゃあ、(国民性もありつつの)凍った消費マインドを、手持ちの所得だけで解凍して活発にさせるために、一番面倒くさくないことって「消費税減税」「市民へのバラマキ」じゃないんですかね。

  財務省は多分、ハイパーインフレを恐れているから金をばらまくことを嫌がってるってことなんだろうけど、ボロっちくなりつつあるとはいえ、まだまだ先進国のこの日本で、円の価値が暴落することって、日本壊滅級の災害が10発くらい同時に起こらないと考えにくいんですよ。
 実際、東日本大震災が起こったとき、別に円の価値が暴落したとかはないですし。ていうか有事の円買いで買われてるしな。

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 こんなさ、実質中卒が本一冊読んで「金を流す方向を変えてみてはいかがかしら」「庶民が金を出しやすいようにしてはいかがかしら」程度の結論、何の価値もないとは思うが、それどころか、消費マインドを更に凍らせる増税を、コロナでぼちぼち食らってる現状で打ち出すのって、本当に理解できませんでした。

 まじで何ででしょうね?日本経済、自分で首絞めてるよね?

 株やっておりますと、日本が市場として魅力が薄く、アメリカが市場として最強であることがすぐにわかりました。日本は会社が良くとも、ぶっちぎりに経済オンチな人がトップにいて、ポテンシャルがあるのに自死しております。多分、この理解で間違いないです。消費が弱いとイノベーションも起こりにくいし、ちょっと早くなんとかしてもらって、日本株爆上げしてもらって、1000億円くらい手にしたいです(本音)。

ザ・シェフ

 ザ・シェフ読んでました。Kindleの天使(キンジェル)が入れてくれたみたいです。
 ブラックジャックは医療で、ザ・シェフは料理で何かを解決します。流しの料理人が臨時で有名レストランの料理長やったりします。反発すごそう。流しの料理人て何?

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 最後のページは大体この感じです。依頼主やその周囲が前向きになって終わります。このページの前向きな雰囲気が1巻から41巻までハウスミュージックのように続きます。どこから読んでも問題ありません。焦って読むことはありません。読む必要すらありません。読み終わって何も覚えていません。確かハードウェルも「ザ・シェフ」からハウスを学んだと言っていたような気がしますね。
 ネットで公式が、無料で全話読めます。

 みなさんも、年末などお得期間中に、「結構有名な、むやみに値下げしてる本」を雑に買って放り込んでおくのをおすすめします。

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