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遠い存在🌌

「遠くの親類より近くの他人」という言葉がある。

良好な関係の他人とはあまり離れていない方がいい。会いたい時に会える距離が理想的…
そう思っていた。
今日、一本のLINEが届くまでは…。

LINEを送ってきた彼女は、現在病気が原因で、仕事も趣味もしたくても出来ない状況だ。
療養のために引越しをしたが、治療も思うように進まず、今の環境が肌に合わないので次に引っ越す場所を探していた。

2週間前、「2つに絞ったよ」とのことだった。

1つは、九州。
もう1つは、その子が住み慣れた関東圏。

九州は博多駅周辺、別府温泉、由布院温泉くらいしか行ったことがないので、全然分からない。
食べ物が美味しくて温泉も豊富で、きっと九州は魅力溢れるところなんだろうな、と思ったけれど、おそらく彼女は食べ物や温泉を理由にはしていない。

口出しするつもりはなかったが意見を求められたので、「知り合いが1人もいない九州に行ってガラッと環境が変わると、それも身体に負担な気がするな。友人も多い住み慣れた関東圏の方が気持ち的にいいような気もするけど…」とだけ言った。
「そっか!それもそうだね!その方向性で考えてみる!」と。

そして、今日その子からLINEがあった。
「友人が沢山いても、私は惨めな気持ちになるかもしれない。病気になってから、皆自分に気を遣っているのが伝わる。それが余計辛い。友人達は、仕事も趣味も全力で頑張る力がある。私はどう頑張ってもあの時と同じ土俵には立てない。彼女達の活躍をこの先も目の当たりにして、本当に何も嫉妬しないか?といえば嘘になる。近いようで遠い存在だよ。」と。

胸が張り裂けそうだった⚡️
そこまで追い詰められていたんだ…。

私の目から見えていた彼女は、病気になってからも一切卑屈になることなく、変わらず笑顔で振る舞っていた。
強いな、凄いな…と心から尊敬していた。
彼女が周りに気を遣わせないように振る舞っているのは分かっているつもりだったので、私はそれまでと変わらずに接していた。

でも、その文を見て彼女が背負ってきたものが一気に見えた気がした。
普段愚痴も一切言わない彼女の口から、惨めとか嫉妬という言葉が出るなんて思いもしなかった。

きっと限界だったのだろう。
周りが気がつかないだけで、強烈な孤独感を抱く場面が幾度もあったのだろう。
近くにいたら惨めになってしまう…か。

「辛いと思うけれど折り合いをつけていくしかないと思う」など一般論を言っても、余計彼女の心を傷つけてしまうような気がした。
そんな言葉は今の彼女は望んでいないと思った。

おそらく彼女は周りにそんな素振りを見せないだけで、今まで何百回、何千回と、その都度自分としっかり向き合って折り合いをつけてきたと思うから…。

何時間も考えた。今までのLINEで一番悩んだかもしれない。
「私は○○ちゃんが近くにいてくれたら凄く嬉しいな。顔が見たいと思った時にすぐ会いたいから。あまり遠くに行ってしまったら寂しいよ」
とだけ打った。

皆もそう思うはず…とは書かなかった。







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