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【読書感想】モデルなはなぜ3日でワクチンを作れたのか

オススメ度:
タイトルに興味が湧いた人は買ってすぐ読むべき! 
高くないし読みやすくて時間もかからない。
賞味期限が来る前に読んでおいた方がいい。

 著者は製薬畑出身ではなく経営の方の専門家なので、モデルナが創業10年程度のスタートアップながらなぜファイザーなどのグローバルビッグファーマに比肩する存在感を示せているのか、経営手法の視点から解説する。

 mRNA(メッセンジャーRNA)が著者の言うように「プラットフォーム」と言うほど万能なのか、、例えば抗体そのものもが悪さをするような疾病であればこのアプローチは難しい、、疑問はあるが、mRNAが細胞にタンパク質を作らせることで多くの疾病に対応可能なことが、非専門家にも分かりやすく書かれている。また、所謂データ・ドリブンでの新時代の創薬の姿がわかりやすく解説されている点が最大の特徴で、このホットなタイミングで出版されているのは非常に価値が高い。

 本書の構成として1章はモデルナのDX創薬プロセスで、これが本体とも言うべき読み応えのある内容だが、第2章ではヘルスケア業界が直面する変革の外観、そして3章以降ではアップル、アマゾン(これは著者の得意領域)、アリババや、米国PBM(ファーマシーベネフィットマネジメント)兼ドラッグストア大手のCVSヘルスの動きが概観されており、ヘルスケアを取り巻く近年のトレンドを広くしることもできる構成になっている。

IT企業のスタディは企業のIRサイトなど一般的な情報源で構成されていており、内容についても(データ・ドリブンやパーソナライズ、プラットフォームといった要素からIT GAIANTが破壊的イノベーションを起こすという方向性は)目新しいものではないが、本書の目的は「浅く広く」「今を知る」ことが第一だろうから、さほど気にはならない。本書で興味を持ったら、さらに深い議論は別の書籍をあたるべきだろう。



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