コミュニケーション障害＃1

こんにちわ～
株式会社REGATEの金城です。

今日お送りする物語は不動産屋あるあるです。
登場人物がどこにでもいる感じの人々との物語。
何気ないほのぼのとした不動産仲介の日常をお送りします。

もう一度言います、ただの日常です。
日常茶飯事です。

酔い止めと胃薬をご用意してお読みください。


早速どうぞ～

ピコ～ン♪
一件のライン。

お。会社のすぐ近くの土地の査定か。
早速返信

『査定依頼ありがとうございます！
調査を行って査定書の用意が出来ましたらすぐにご連絡差し上げます！
ご連絡するにあたってご都合のいいタイミングとかあればご教示願います！』

既読

・・・。
・・・・・。

・・・あれ？
既読がすぐ付いたけどよろしくお願いします。みたいな返事が来ない。
運転中かな？

とりあえず調査するか。

土地の形状は申し分なく分譲地として造成するのが最適かな。
通路幅も6ｍはあるし、うん。
強いて言えば農地法5条申請くらいか。
あれ？でもこの人が買った時に仮登記で5条の停止条件が打たれてる。
地目は変わってないから、、、てことは農転許可後に建築しないで放置したっていう感じか。ふんふん。

土地は広いけど分筆するには道が狭いしエンド客を見つけるにはちょっと苦戦しそうだ、手っ取り早く分譲屋さんに仲介で卸すのがいいかな。

午後には造成費用やその他もろもろの想定見積もりをシミュレーションした査定書が完成。

ラインは今朝の既読スルーのまま。
仕事中は携帯を触れない人なのかもな。

『小田様。調査が終わり査定書が完成しました。
売却に向けての今後の流れなどをご説明したいので、ご都合のよろしい日程をお知らせいただければと思います。』

送信っと。
お。またすぐに既読。

タイミングよく休憩中とかかな？
じゃあ返事はすぐ来そうだな。

・・・・スルーｗ

何でやねん！ｗｗ

メッセージ読んだら一言何かあるでしょ？日程調整して折り返しますとかさｗ
なんならスタンプでもいいからｗ

ふぅ。。。
いかんいかん。俺がせっかちすぎるだけだ。
我慢我慢。
返信をできない何かしらの理由があるんだよきっと・・・

夕方になっても夜になっても既読スルーのまま。

う～ん。レスポンスがスムーズに来ない人はやりにくいんだよな。
しかも今回は農転の件も深堀りしないとだし、スムーズなレスを返してくれるオーナーさんじゃないとなかなか難しくなりそう。

ま、明日の朝までには返事くるかな。

**************

そろそろ寝ようと思っていたその日の23時。

ピコ～ン♪

『明日、8時に○○市役所前のマクドナルドでお願いします』

は？明日？いきなり？この時間に？
まあスケジュールは取れなくもないけど○○市役所って朝だと道が混むし車で二時間はかかるじゃん。いや、早起きすればいいだけだからいいけどさ。
なんかさ、早速の調査ありがとうございます。とか夜分にすみません。とかさ、あとお願いしますじゃなくていかがですか？ってこっちの都合も聞かないとダメでしょ？こちらに対する思いやりというかなんというか大人としてのさ・・・

まあいい、とにかく返事しよう。

『かしこまりました！では明日の・・・』

あ、まてよ。勝手に朝かと思ったけど夜かもしれない。
午前午後の記載が無いし。

『スケジュールの調整ありがとうございます！恐れ入りますが8時というのは午前と午後どちらでしょうか？どちらでも調整しますのでご教示願います！』

既読。

・・・。

・・・・・。

・・・・・・。

・・・・おい嘘だろ？
まさかの既読スルー？

この時間にスルーされたら困るんですけどｗ

明日の朝なのか夜なのかが分からんとこっちの予定も立てられないじゃん！

頼む！返事して！！ｗ

それから1時間。
待てど暮らせど返事はない。

畜生。深夜0時過ぎちゃったよ。

あ、まてよ。朝8時にマックやってるわけないじゃん。午後8時だよバカ野郎この時間にやり取りするんだから空気読んで少しくらい頭使えよって思っているのか？
だからうんざりしてスルーしてるのか。
失敬失敬。


【○○市役所前　マック】
検索っと。

営業時間は朝6時から・・・ダメじゃんｗｗｗ
これで朝なのか夜なのか分からんくなったｗ

ていうかなんなのこの人？
こっちの都合とか完全無視のタイプ？ｗ

ピコ～ン♪
お！返事来た！

『朝です』

朝ね了解りょうかい！
でも何か一言添えてほしかったなｗｗ

でも返事くれただけマシか♪

『かしこまりました。では明日の朝8時に○○市役所前のマックでお待ちしております』

てか返事を待っている間に一時間も睡眠時間削ったじゃない！ばか！

とにかく明日は早起き確定。
すぐに寝て出発だ。

*******************

いつもの渋滞を想定して早めに出たが○○市役所前のマックにはギリギリ10分前に到着。早く出てよかった。
店内は平日の朝だけあって他にお客さんは居ない。

約束の8時になる。

5分経過。

・・・。

10分経過。

・・・。

それらしき人影はない。

おい、まさかの待ちぼうけｗｗ
こんなに遠くに朝一で駆け付けたのにｗ

『小田様。私は到着しています。入り口から向かって奥の席にてお待ちしております』

既読

・・・スルーｗｗｗ

うん、ここですみませんとか遅れますとか返事する人ではないと想定していたよ。
想定内だよ。

20分経過。

うん。想定内。。。か？

・・・。

30分経過。

・・・想定外。
はぁ。もう帰ろうかな。こんな人相手にしていたらまともな売買にならない気がするｗｗｗ

ウィーン。
マックの自動ドアが開いて50代くらいの男がきょろきょろする。

こちらを見て迷わずにやってくるあたり恐らく小田さんのようだ。

小田さんは軽く会釈をしてボックス席の前に座る。

え？
お待たせしましたは？
いやいやそれよりも遅れてすみませんは？

謝罪も何もないのｗｗｗ

仕方ない。こっちから元気に挨拶しよう。

「朝早くからすみません！スケジュール調整までしてもらって。
あ、私株式会社REGATEの金城で・・・」
「時間が無いので始めてください」

は？
人の挨拶の腰を折って催促？
ていうか時間ないならちゃんと時間通りに来いよ！

名刺を渡すとウチの事務所の住所を確認する。

「八重瀬町。遠いね」

いや、遠いよ？だからこそ朝早くに来てもらって遅れて申し訳ないとか、遠くまでありがとうございますとかないの？

この人のコミュ障はラインの時で分かっていたけど・・・
まぁもういいや、なんかテンション下がるわ・・・

「すみません。では早速・・・・」

ブツブツブツ・・・・。

査定内容に満足いかないのが表情に出てる。

「こんなに安くないでしょ」
「もっと高く売れると思う」

説明の間にも小さい声で不満を垂れ流す。

ブツブツブツブツ・・・

えぇい！切り上げよう！ｗｗｗ

「・・・・以上です。お時間も無い中ありがとうございました！」

小田さんは査定書を持って軽く会釈をしただけで出ていく。

この案件無いなｗ
価格に納得いっていないあの態度と連絡のやりにくさ。
これ以上追いかけるのはやめよう。

通常は査定面談後は話を盛り上げたり相手の本音を引き出したりと場を温めて売主さんにいい印象を与えるがそんな気分も萎えたｗｗｗ

案の定、クロージングもしなかったから想定通り連絡は途絶えることとなる。

***************

あれから二カ月。

いつの間にかこの案件の事も忘れたある日。
ピコ～ン♪

『あの土地売りますのでよろしくお願いします。小田』

え？
何で？
金額も納得いっていない感じだったし、ほとんどコミュニケーションも取らなかったじゃんｗ
こっちから追客もしなかったのにｗｗｗ

でもまあ任せると言うならやるしかないか。

『ありがとうございます！では専任媒介契約を結ばさせてもらって、今後の流れを再度説明したいのですがお時間はいつ取れますか？』

既読

・・・スルーｗ

まあ、毎回の事だからもう突っ込まないけどさ。
この調子じゃ色々思いやられる。。。

その日の夜

『明日の8時に前回のマックでお願いします』

また8時ｗｗｗ
あのね、こんな時は遅くにすみませんとか、毎度遠くまですみませんとかさ、返事遅れてすみませんとかさ。。。
なんというかこの人には人の労をねぎらうという感覚が全て欠落している感じがするｗ

『では明日の朝8時によろしくお願いします！』

既読

・・・。

スルーだよね。
うん。もう慣れた。
明日も早いから寝ます・・・

翌朝、車に乗り込み○○市に向かって一時間ほど走っていた。
時間は7時5分前。

ピコ～ン♪

『今日は仕事なので夜の8時です。間違えないでください』

は？お前まじかｗｗｗｗ

それなら昨日の夜で言えよ！
あとこんなミスが起きるから最初から午前午後をつけるとか20時って言うとか大人ならいくらでもやり方あるだろ！

あとな、間違えないでくださいじゃなくて、もう出発してしまいましたか？とか、すみませんとかさ。。。

早起きして道のりも半分まで来たのに。。。

ふぅ、、、一時間ズレるとかなら現地で待つとかするけど12時間スライドは流石にな・・・

朝っぱらから嫌なテンションになったまま会社に引き返す。

夜8時。
○○市役所前のマックでは前回同様に30分待たされて謝罪もされないままに専任媒介を結んだ。

なんだかやる気も起きないがやるからにはまとめてやる。
本人は納得してない感じはあるけど査定価格で媒介取れたし。。。

***************

翌日は朝から早速売り出し準備に取り掛かる。
土地の仮図面と高低測量の依頼。
草木の撤去の見積もり。
それと同時に農転の許可後に申請通りに履行しなかった土地を再度名義変更する際に何が必要かを農業委員会に確認。

農業委員会の担当はとても腰の低い優しそうな成年。
こちらからの質問を丁寧に書き出して上司に確認してから折り返すとのこと。

農転の確認と図面が出来るまで時間がかかるな。

まだ不明点があるだけにポータルの媒体に広告を乗せるには早い気がする。

とりあえずSNSで【八重瀬町〇坪の土地。近日売り出しします】の告知くらいはしておこうかな。

SNSに投稿したらすぐに電話が鳴った。

「あのSNSの土地買いたいんだけど」

相手は隣接する市にある老舗の業者さんだ。
営業担当者の声の感じだと年齢は同じくらいか？喋り方がタメ口なのが気に食わないｗ

「ありがとうございます！まだ仮図面とか現地の草刈りとかできていなくて・・・」
「大丈夫。このエリアで分譲地を探していたので。押さえといてくれる？」
「はい。でも一度現地をみられました？もしよければ現地で今揃っている資料とかをお渡ししながら説明しますけど」
「あ～そうだね。わかった。12時は大丈夫？じゃあ今日の12時に現地ね。」
「はい。よろしくお願いします」

12時と言えば1時間後じゃん。
結構フットワークの軽い人だな。
タメ口が気になるけど・・・
でも分譲できる業者さんなら話は早い。いいぞ。

待ち合わせ場所には時間通りに到着。

「おまたせ～。」

黒塗りの高級セダンから降りてきてニコニコとやってくる買い手さん。
声の印象通りに年代は同世代。
名刺交換をすると役職は副社長となっている。
事前にネットで調べた代表の苗字と一致する。
親父が立ち上げた老舗の二代目という事か。
車を運転してきた部下は明らかに年上のベテランさん。
副社長にペコペコしている。

「ここいいね～。ウチの計画にぴったりの場所だ。図面とかが出来たらすぐに契約するから。金額はSNSに出てた金額でいい？買い付けここで書いてもいいかな？」
「・・・はい。ありがとうございます。」

・・・売り出し前に決まりそうなのはいい。
しかも分譲業者さんがターゲットだったから全て想定内。
価格の指値もない。
ややこしい売主だから買い手がプロであるだけでとてもやり易くなる。
ここまではいい。うん。非常にスムーズだ。

でもこいつのこの態度、なんていうか初対面でいきなりタメ口。
いや、なんか俺の上司みたいな口調ｗ

二代目で社内でちやほやされているか分からんけど、二代目なら他の誰よりも腰を低くした方が好印象だよ。
お前の役職も何もかもただ親父がくれただけだからな。
地位だけもらって偉そうにするとかおまえは今流行りのビッグ〇ーターかよｗｗｗ

副社長という立場の人の態度ひとつで会社のイメージが下がるのにそれを注意してくれる人もいないんだろうか。。。
おい、横でペコペコしているおっさん。年上として責任もって注意しなよ。

そんなこんなでややこしそうな案件の物語は今から始まります。。。

でも前置きが長くなったので続きは次回。

では～

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