てるしてる?#2
前回からの続きです。
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てるしてる?#1
再案内。
この日もよく晴れていて権藤さんは早速バルコニーに出て外の景色をずっと見ている。
奥さんにはこっちが把握したできる限りの事故状況を説明。
管理会社に言われた通りに、具体的な場所や状況はご遺族の方の意向もくみ取ってくださいというお願いでどうにか納得してもらえた。
「すみませんね~。家内は霊感とかない癖にこんな事ばかり怖がっていて。私は職業柄、ひとの生死には常に関わっていますし、亡くなる人も毎日のように見ていますから平気なんですけどね~。お♪飛行機だ。」
バルコニーから飛行機を見つけた上機嫌の権藤さんが口を挟む。
確かに医者をしていれば人の生き死には日常茶飯事だろうがその配偶者がそうであるわけはない。
「そんなこと言われても怖いものは怖いですから・・・契約はしたいけど・・・」
奥さんはまだ事故を受け入れきれていない。
権藤さんが気に入っているから押せば決まる気もするが、ここでごり押しして買い付けをもらってもどうせ家に帰って
「やっぱりやめときます・・・」ってなるのがオチだ。
再度室内確認をしながら奥さんの気が済むまで放置する事に。
俺は少し夫婦で話し合いをさせるために距離を置く。
小一時間ほど権藤さんと奥さんでああじゃないこうじゃないと話をしている。
「いいんじゃないか?」
「え~でも。。。」
こんな会話が延々と繰り返される。
優柔不断というかなんというか・・・
あ~時間が過ぎるのが長い。
待たされている虚無な時間。
ただただ外の二人の会話を聞き流すだけの時間。。。
スマホをいじるわけにもいかないし。
案内の時のこの時間、みんなはどうやって過ごしているんだろう。
「よし!決めた!」
お。決めたか?買い付けか?見送りか?
「一旦持ち帰って夫婦で話し合います」
なんじゃそりゃwww
ま、奥さんの様子を見たら今日のこの場で決心する感じでもなさそうだし、仕方ないか。。。
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沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!