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お役所#1

みなさんこんにちは。
(株)REGATEの金城です。

そろそろ夏も終わりそうな雰囲気を醸し出していますね。
ただ、季節は変われど役所の担当者のクソしぐさが変わる事はありませんね。

今日は最近あったほのぼのとしたお話を日記にしてみました。

いつも読んでくださる皆様に於かれましては秋の空気を感じる爽やかな読了感に包まれてください。

あ、今日のお話で重要な農地法をご存じない方のために簡単に説明します。

不動産の売買に於いて登記簿の地目が畑や田になっている土地は、所有権移転のために農地法の許可というものが必須になります。
その許可証を法務局に提出しないと所有権の移転ができないんです。

その農地法ってのが簡単にまとめるとこんな感じ

市街化区域→届出でOK。すぐに所有権移転可能
調整区域とかそれ以外→申請から許可まで審査とかがあって時間がかかるしややこしい

もっと要約すると
市街化区域だと書類さえちゃんと出せばほぼ審査なしで通過
それ以外は提出する書類とか決まりとかが多くてめんどい

って感じです。


とりあえず「市街化区域の農転は簡単」って覚えてください

ではど~ぞ~




月初の反響で区画整理地内の土地を売買する事になった。


対象地は市街化区域内の一種低層エリア。
地目は畑

場所は現在区画整理事業が進んでいる仮換地
若干工事が遅れており土地は綺麗に整地されている。接面する道路の角地の一方側まだ未整備という感じだが、片方は舗装された道路になっている状態だ。

区画整理課に道路工事の完了予定を確認したところ、完了予定は来年くらいの見込みとな。建築基準法では道路工事が完了していない現状では接道として認められないため、この土地で建築確認の許可を取るには道路の完成を待たないといけないという事になるらしい。

この約一年間も建築できないという条件が足を引っ張ってしまうが、ここはとても人気のあるエリアで土地を売りだしたら瞬間蒸発してしまうくらいに需要が高い場所だ。

価格の高騰が止まらず、数年前まで坪単価40万くらいだったのにここ最近では65万~70万で売出しされるのが当たり前になったし、それでもすぐに売れてしまう価格高騰のスピードが半端ないエリア。そして今後もまだまだ高騰するだろうと見込まれている県内屈指の人気スポットだ。



この土地のネックは道路工事が完了するまでの約一年間は建築できないという条件なんだけど、注文住宅で一から設計して打ち合わせとかしたら普通に半年から一年はかかる。それを考えたら別にこの道路の件をネックとして捉えずに普通に売り出してもいいかもしれない。
高値で売り出しすれば少し時間もかかるし、なんやかんやでちょうどいい感じに成約するんではないかと見込んでいる。

そんな感じで売主さんには強気の価格設定で売り出す事を提案。

ただ、売主さんは高く売れるのは嬉しいけど、諸事情あって早期の現金化を優先して欲しいとのこと。

売主さんからの提案はその価格だと少し安いかな?という価格だったが、欲張らずに早く売り抜けたいという事で売主さんの意向を最優先にすることに。

あのエリアでこの価格で売り出したら反響が鳴りやまずほかの案件が仕事にならないだろうな~。買取したいとも思うけども一年寝かす事を考えたらウチで買うには少し荷が重いかな。。。
そんな事を考えながらも、とりあえず売主さんと設定した価格で既存のお客さんに当ててみたところすぐに買いたいという声がかかってきた。
そりゃ決まるわなw

購入者さんには道路の件ですぐには建築許可が下りないという事も説明したが、今からハウスメーカーを探すらしく、そこから注文住宅の設計等をすることを考えたら道路工事の期間は全く問題がないとのこと。

うん、まさに想定通り。
事前に想定したことがピタッとハマると契約も何もかもスムーズに進む。

更に道路の工事の状況を考えたら銀行がなんて言ってくるか心配だったけど、このお客さんは土地は現金で買うから銀行の融資の心配も要らないとのこと。

まさに理想の買主さん。


売主さんも早期の成約で喜んでくれて、早速翌週には売買契約を交わすという方向で話が進んだ。


一応、見た目は完全に宅地だが地目が従前地の畑のまんまなので念のために農業委員会に電話で確認。
市街化区域の区画整理地内なので届け出をしてくれたら二週間程度で農地法5条の届け出を受理して所有権移転が可能になるという回答。

ていうか余所の市町村でも何度か区画整理地の仮換地の農転出したことあるし、道路が未着工でも農転の届出だけはそのまま受理してもらったケースもあるからそんなに心配はしていない。


てことは・・・


よし。


今からやれば今月内の決済行ける。
現金購入だから今月末で決済しちゃおう。
売主さんも喜ぶし、買主さんもいつでもいいと言ってくれているし。
何より当月の査定で当月決済できたら会社としても嬉しい。

そんな感じでとても順調な滑り出し。

一週間後の順風満帆の売買契約はみんながニコニコの笑顔でとてもいい雰囲気で無事に完了した。




売買契約も無事に終わったし、今月中に農地法の許可証を取るためにすぐに申請だ。

早速○○市の農業委員会へ。

前に電話で確認した人の名前は。。。と。。。
あれ?メモし忘れてるw

ま、市街化区域の届出だから別に誰でもいっか。
必要箇所は事前に全て記入しているから提出さえすれば二週間後くらいに許可証が出てくるってわけだ。


「あの~農地法5条の届出ってここで提出すればいいですか?」

農業委員会の窓口で目の前にいた太ったおっちゃんに声をかける。

おっちゃんは明らかにやる気がなく、ぼけ~っとパソコンを触っているふりをして、ただただ定時の時間を待っているだけで一日を過ごしているような印象の人と言ったら不動産関係者にはイメージが湧くだろう。


そう、あの窓口にこっちが立っていても見て見ぬふりをする奴らだ。
そう、声をかけないと動かないタイプのあいつらだ。
そう、何をするにもやる気が無さそうなムカつくタイプのお役所マンだ。


しーーーん・・・

見た目通り予想通りにおっちゃんの反応はない。


「すみません?聞こえてます?」

おっちゃんはわざとらしく周りを見回す。

「え?私?あ~ちょっと待ってね。誰か担当は、、、っと」

おっちゃんは席を立ちほかの人を探している。

は?誰か担当は?

お前今暇だろ?何もしてなかったよな?
お前が預かればいいんじゃね?
誰かに振ろうとしてるけどお前今やることないだろ絶対。

おっちゃんはそのままデスクの後ろにある書籍棚の裏に歩き出す。

「お~い、誰かいる?」

おっちゃんは少しうろうろして誰かを探すが
残念ながらどこを探しても他の職員は見当たらないようだ。


このおっちゃん、きっと若い奴に仕事を振ろうと思っていたんだろうな。

渋々といった感じで戻ってくる。

「あ~お待たせしました。担当が不在で」
「え?担当とかあるんですか?届出の受理だけで?」
「ん?区画整理地内の届出?あ~じゃあここで預かりますね」


いやいや、最初からお前がすぐに預かればよかったんじゃね?そしたらこの誰かを探す3分くらいの無駄な時間が発生しなかったよな?
ちょっとは動いてそのでっぷり太ったお腹の脂肪を燃焼させろよ。

てか届出って聞いたからすぐに受け取るってお前仕事選んでるだろ?調整区域の申請だったら担当不在って言って受け取らなかったかもしれないなこのやろう・・・

こっちの殺意の籠った目線に一切気が付かず、おざなりな感じで必要記入箇所の確認をするおっちゃん。


「え・・・と。ここは。。。うん、オッケー。んで、、、ここは、、、、と」


一個一個のチェックも遅い。
定時までの時間稼ぎのためにすぐに終わる仕事を引き延ばしているのが見え見えだ。。。くそが



だめだ。だんだんとイライラしてきた。
握った手のひらに爪が食い込む。


「じゃ、二週間くらいでは許可証出せると思うんで」

おっちゃんから貰った名刺には細井という名前が印字されている。
太っているくせにその名前を名乗るな。なんか更にムカついてきた。

でも俺は大人だ。
ここでこの太った細井にお前太いじゃねぇかって因縁をつけても何もいいことはない。
二週間で終わるものを長引かせられても困る。

役所の担当を敵に回してこっちの書類を後回しにされてしまっては本末転倒だ。

月内決済の為だ。
我慢我慢。。。

深呼吸・・・


ふぅーーーー・・・・。


うし落ち着いた。。。。かな?


役所を出たら手のひらには爪の跡が赤く滲んでいた。





翌日。
見知らぬ固定電話から着信

「はい、金城です」
「あ~金城さん?○○市の農業委員会の細井です」

あ~あのデブのおっちゃんか。
てか細井って名乗るなムカつくから。

「昨日提出してもらった農転の件ですけどね。ちょっと調査しないといけなくて」
「調査?何のです?」
「あ~今日現地を見てみたんですけどね。あれ、まだ工事が完了していないでしょ?だからちょっと確認したいと思いましてね」
「は?何を確認するんですか?」
「いや~ちょっと私の経験では工事が終わっていないケースってのは初めてでしてね~。事例も見当たらないし」
「いやいや。市街化区域の届出ですよ?しかも区画整理地の。すぐに建築するわけでもなくただの売買の所有権移転ですよ?道路工事も区画整理課に聞いたら年明けには完了って言ってたし。道路の件は区画整理課の林さんって人に確認してみてよ」
「え?そうなの?あ~そっか~、じゃあ私も区画整理課に確認してみますね。林さんね。了解了解」
「ねえ?二週間後には許可が出るってのは大丈夫ですよね?」
「あ~とりあえず確認して折り返します」


ガチャ。
ツーーー・ツーーー・ツーーー・・・・


おいおい。なんだあいつ。
順風満帆な取引にいきなり暗雲が立ちこめた。。。

ていうか”私の経験上”って言ったな?
農地法の届出の受理でお前の経験って必要か?


でもまあ、市街化区域内の区画整理地で農地法の届出がダメってことはないだろ・・・。
調整区域とかの畑を農転したいって言ってるわけじゃないし。。。


その日おっちゃんからの折り返しの連絡は無い。
まただんだんムカついてきたぞあの野郎・・・


翌朝すぐに農業委員会に電話をするも電話に出たのは別の部署の人。
全体会議なので午後に折り返せるはずとのこと。

おっちゃんを待っていても仕方ないから区画整理課に電話をする。

「先日相談したものですけど、区画整理地内の農転の件で細井さんとやり取りしました?」
「え?細井さん?いや~来ていないけど?どういった要件ですか?」
「例の土地の農転で工事が完了していないから届出を受理できないかもって事を言いだして」
「あ~。農地法の事は私の管轄外なのですが、とりあえず細井さんが来たら工事の進捗とかを共有しておきますよ。工事の期間とかも説明しますし」
「よろしくお願いします。」


この区画整理課の林さんはしっかりしているから話が早い。



てかおっちゃん。
こっちから確認するようにって言ってから、まるまる一日あったのに林さんに確認もしていないってどういう事よ?
農業委員会と区画整理課はフロアも一緒だし目と鼻の先だろ?



イライライラ・・・・


・・・・。


午後になっても細井からの連絡は無い。
こっちから電話をしても不在なので戻り次第連絡させるという回答しか得られない。。。

これで痺れを切らして直訪してもいいが、外出でもされて空振りになるとこっちの移動時間が無駄になる。
畜生、、、イライラする。


てかマジで二週間で出るんだよな?
だんだん不安になってきた。





翌朝木曜日。すぐに役所に電話。
ようやく細井を捕まえた。

「いや~金城さん。お待たせしてます。」

お待たせしてますじゃねぇよクソ
まずは謝れ。

「えっと。。。担当は区画整理課の誰でしたっけ?今日確認するんでもう少し待ってもらえます?」


は?おい。お前この二日間何してたん?

だめだ。。。理性が遠のく。。。。


「区画整理課の林さんです」

「あ~彼ね。はいはい」


手に持ったスマホを握りつぶしてしまいそうだ・・・
プルプルと震えるスマホを握っていないほうの手からは血が出ている。


落ち着け俺。

「二週間で出ますよね?」
「あ~それも含めて確認しますから。ちょっと事例が見当たらなくてね~」

確認確認ってお前。。。
てかお前の経験とか事例がないとか関係なくね?
何度も言うが市街化区域の区画整理地だぞ?
農地の転用を阻害する理由はどこにもないだろ?


イライライラ。。。


「いつ折り返せます?売主さんとかにも報告したいんで」
「え~っと。。。。ちょっと待ってね(ガサゴソ・・・)あ~午後には折り返せると思いますんで」


ガチャ。ツーーー・ツーーー・ツーーー・・・



ヤバい。
怒りが抑えられない。
脳みそが沸騰してきた。

今すぐこいつをこれからこいつを殴りに行こうか・・・




長くなったので続きは次回。

では~


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沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!