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管理は辛いよ・・・

こんにちは。
㈱REGATEの金城です。

本日は不動産実務のお話~管理会社編~をお届けします。



最近仲介奮闘記を書きまくっていますが、賃貸管理について少し書きたくなりました。

不動産屋さんの悪口やマイナスな印象がネットに溢れていますが、
管理の実態をお伝えすることで少しは内情をわかっていただければと思います。

私が経験した管理会社の業務内容なので少し偏った考え方もありますがご容赦ください。
不動産業に転職を考えている方の参考にもなればいいな~。という内容です。

いや、最後まで読んだら管理会社に転職する人がいなくなるかもな・・・


不動産賃貸管理業とは?


まず私が生業としている不動産業ですが、業種は数多くのジャンルに分類されます。

・売買仲介
・賃貸仲介
・地上げ/物上げ
・マンション建築&販売
・マンション販売代理
・買取&転売
・都市開発や分譲開発などなど

上げていけばキリがありません。。。

さて、そんな中でも本日のテーマとなっている
「賃貸管理」
を深く掘り下げていこうと思います。

今回なんで管理会社について書こうと考えたかというと
私が実際に体験したことのある業種なので詳しく伝えられそうだという事と、SNSなどで
「対応が遅い」
「やる気がない」
「潰れてしまえ」
「最悪」
などと多くの方からの批判の対象になりがちな業種なので
実際になぜこんなに評判が悪くなってしまうのかを知ってもらいたいと思ったからです。

また、不動産業に転職を考えている人の中では仲介はお客さんを追いかけないといけない。だけど管理は入居者と物件の間に入るだけだから
管理が楽そうだな~という印象をお持ちの方もいると思います。


そんな人たちに少しだけでも内容が伝わるようにまとめていきます。
不動産賃貸管理業に興味が無い方はここでページを閉じていただいても構いません。

管理業務の内容


まず、管理会社って何をしているのか?
読んで字のごとく「不動産の管理」を行っています。
一般的には賃貸物件の入退去の管理をイメージしますが、概ねその想像に間違いはありません。

簡単に管理の内容を挙げます

・入居契約=入居者との賃貸借契約を行います
・退去受付=退去者の退去予定日を受け付けます
・賃料徴収=賃料の不払いがあるときに徴収します
・入居募集=空室が出たら入居者の募集を行います
・入居案内=空室の内覧希望者をご案内します
・退去確認=退去者との原状回復などの確認をします
・原状回復の発注=提携業者に見積もりをとって発注します
・巡回清掃=管理物件の掃除などを行います
・入居者対応=入居者から室内の不具合などの連絡があった際に対応します

ざっとこんな感じですかね。
「な~んだ。簡単じゃん」と思った方。
「だからいつも事務所でPC見ながら暇そうにしてるんだ」と思った方にはビンタしたい気持ちになります
(いやビンタさせてください。すぐに行きます)


前にもHPのコラムで取り上げましたが私の経験上では
「管理会社が一番つらい」んです。。。

でも一見すると単純な業務ばかりに見えますよね。

何が辛いかっていうと“自分のペースで仕事を組めない”ことだと思います。


スケジュールの調整ができるのは「原状回復の発注」と「巡回清掃」くらいです。
それ以外は突発的に起きるのでスケジュールを組むことができないんです。

業務が伝わりやすいように少し私の経験した一日を書いてみますね。

05:00 
明け方に入居者からの「水道から水が出ない」とのクレーム。
06:30 
出社前に現地に行くと子供のいたずらか水道の元栓が閉められていた。。。
07:30 
そのまま出社したら物件の案内のアポがあり、それに合わせて資料の準備と空室物件の空き状況をネットにアップ。
09:30 
案内の希望者と待ち合わせをしたら一時間遅れるとの連絡。。。
10:00 
待っている時間ももったいないので案内物件の近くの空き物件の清掃に向かう
10:15 
「やっぱり約束の時間でお願いします」との連絡。。。
11:00 
物件に戻ってご案内をしていると今朝のお客様から「また水道が出ない」という連絡。
11:15 
水道栓の位置などを説明しても「分からないからあんたが来て対応してくれ」とのこと。
12:30 
ご案内を終えて水道栓の現地に行ったらまた誰かに閉められている。
聞き込みをしたら子供の悪戯が発覚
13:30 
連絡のあったお部屋の住人に説明をして、「今後水が出なくなったらここを見てね」と伝言。
14:00 
各部屋に「元栓が頻繁に閉められているので、お子様に注意してください」という喚起文書を投函しないといけないな~と考えていたら
14:15 
先ほど案内した方が「申し込みをしたい」という連絡。
15:00 
事務所で待ち合わせて入居申し込みの審査用紙の記入と入居までの流れなどを説明。
16:00 
入居の説明を終えて入居審査を保証会社にFAX&水道栓の注意喚起文書作成
16:30 
水道が止まる物件にポスト投函
17:00 
入居審査通過の連絡&お客様に通過の連絡と契約日程の調整
18:30 
退去案件の退去チェック立ち合い
19:00 
家賃滞納者宅へ訪問
20:00 
滞納者と面談&納期を通達
20:30 
帰社&翌日の契約準備と退去立ち合いや案内のスケジュール確認
21:00 
「廊下の電気が割れている」との連絡・・・・
翌日「昨日の申し込みやっぱりキャンセルで・・・」の連絡・・・

少し思い出しながら書いたんですが、、、嫌になってきました。
文字にするとなんだか伝わらないかな。。。常にイレギュラーの連続で振り回されているという感じです。


これを全従業員がフル回転でやっているんです。休みの日も入居者からの電話は鳴り止みません・・・
しかも業務に耐えられなくて仕事を覚えてもすぐに人が辞めてしまいます。
新人くんの烏合の衆ならそりゃ各案件の対応も遅れます。。。。

上手く事務所に居るスタッフと連携取りながらやればいいんでしょうが
基本的にどのスタッフも仕事を山のように抱えています。
どこの管理会社さんでも同じような状況だと思います。
(いや、あの会社だけが異様だったのかな・・・よくわかりません)

人員を増やせない?


忙しくて回らないなら「人員を増やせばいいじゃん」と思いますよね?
簡単に人員を増やせない理由があります。

沖縄の場合ですが一般的に賃貸管理のパーセンテージは家賃の5%

平均的な家賃が55000円だとすると5%なので一部屋あたり2750円の管理費が取れます。
従業員の給与は福利厚生も考えると大体20万円前後。
単純な計算ですが20万円の従業員を一人雇うためには72部屋の管理が必要。
でも72部屋だけでは従業員の給与と相殺されるので会社の利益まで考えると100部屋は必要になってきます。
100部屋で会社はトントンかマイナスくらいです。
ここに賃貸契約の仲介手数料などが上乗せされてようやく会社の利益が出てきます。


月に20万円の給与で先ほどの業務なので離職率が上がります。
離職率が高いと残った従業員に仕事が降りかかります。
新人が入っても業務を教えて覚えたころに辞めます。。。

ずっと人員の自転車操業の状態です。。。。


いかがですか?気分が悪くなっていませんか?大丈夫?なら続きをどうぞ・・・


変なクレームと実務の多忙さ・・・


管理会社のつらさが少しだけ伝わったと思うのでここで私が実際に扱った変なクレーム事例を。。。

・上階の人が秘密結社の人間で私たち夫婦の命を狙っている!どうにかしてくれ!
→警察も呼んで対応して半日以上夫婦をなだめました。最終的には警察を含め私たちも「全員秘密結社の一員だ!」と言われました・・・

・隣の住人がいつも夜遅くに室内を透視してくる(幽体離脱って言ってたかな?)
→「証拠も何もないので対応できない」と言ったらずっと携帯が鳴りやまないので、最終的に現地に立ち会ってお隣さんとお話をすることに・・・お隣さんの方が怖がって引っ越すことになりました・・・

・アパートの一階が汚物まみれの水で溢れている
→上階の誰かが紙おむつをトイレに流したせいで排水管が詰まってしまい一階のトイレが溢れだした。。。。ものすごい惨状でした。特殊清掃業者と一日がかりで清掃することになりました・・・

・入居はしたけど思っていた環境じゃないから家賃を返せ
→もちろん返せません・・・

・部屋から異音がする!眠れない!
→実際に部屋に行っても音は聞こえず、「ほら!今聞こえるでしょ!」とアピールされたが同席したスタッフ全員聞こえませんでした・・・


上記のような特殊なクレームは3ヶ月に一度はあります。それ以外にも小さな補修依頼などが次から次へと襲い掛かってきます。
自分の駐車場に勝手に車が止まってるとか、夜中に自転車が壊されたとか。。。細かいものも入れたらもう禿げてしまいます。ええ、みんな禿げてしまいます。


そのクレームの波をかき分けながら業務を行わないといけない上に賃貸仲介手数料の売り上げ目標まで設定されています。
さらに新規のアパートの管理も取らないといけないんです。
新規のアパート管理を取得するためにDMも送るし、オーナーさんに直訪もします。
新規のアパートを受託したら新たに入居募集をしないといけなくなります。
新しく受託したらその分だけ細かいクレームも増えていきます。

仕事をすればするほどに業務が増えてしまう仕組みです。
社歴が長ければ長いほど長期の入居者さんが積もっていくので携帯が鳴り止まなくなります。。。

沖縄に毎年訪ねてくる台風の後なんてもうお祭り騒ぎです。
一回の台風で二週間ほど復旧業務に取り掛かることになります。。。
窓が割れた。屋上の水道管が破裂した。ベランダの避難板が割れた。水が浸水してきた。階段が汚れている。屋上にあった看板が飛んで車を壊した。。。

しかもその間も先ほどまでの通常時の業務を同時進行です。。。
どうですか?嫌になってきましたか?まだいけますか?ですよね。もういいですよね。よかった・・・


管理は辛いよ・・・


どうでしょうか?
ご自身がお住いの管理会社に対して「対応が遅い」とか「なんで折り返しもしないの?」という不満をお持ちだと思いますが内情を知るとそんなに強く文句を言えなくなりませんか?

また、
「あの人にお願いしていたのにどうなっている?え?やめた?また?」
という事も日常茶飯事です。

そりゃ辞めたくもなります。
だってどんだけやっても歩合もつかないし、仕事をやればやるだけ残務とクレームが増えていくんですもの・・・
私が管理会社を辞めたのは忙しさが理由ではなくステップアップのためでしたが。。。
いや、そのうち嫌になって辞めてたかもな。。。あの会社は(自主規制)


ここまでまとめてみると管理会社の収益構造上、サービスが低下してしまうのは仕方がないことなのかもしれない気がしてきました・・・

でも管理会社って不動産業の根っこの部分にある大切な業務だと思います。
管理会社がなくなると安心して物件を貸せないし、借りることもできません。そうなると不動産投資も潤滑にできなくなります。
管理会社は絶対に必要な存在だと思います。(私は二度と入りたくないですがw)

最後に不動産管理会社さんに不満をお持ちの方へ。
これを読んだら少しだけでいいので優しく接してあげてください。
あと、ほんの少しの「ありがとう」でいいんです。。。


ここまでいろいろ書いといて思う事は
「管理会社はつらいな」と改めて実感した。
につきますね。。。

あ、先ほど触れた秘密結社の夫婦についてスピンオフの記事を書きました!

ご興味のある方は是非お時間を取ってお読みください♪
↓タップ

管理はつらいよ・・・パート2#1

では~

HPでは不動産に関することとか沖縄の不動産あるあるについてのコラムを公開しています!
ご興味がある方はそちらもお読みください♪
沖縄不動産あるある→REGATEコラム
不動産テックのこととかそんな感じ→REGATEコラム

沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!