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【SFショート】侵略者

ある田舎町に隕石が落下した。道路閉鎖までして危険地帯の包囲網を拡大したのには、隕石にマイクロエイリアンが付着していたからだった…。エイリアン地球侵略が始まっていく中、警備員の高野と部下の西井は逃亡したエイリアンを捕獲することに…。



隕石落下後3時間経過

テレビ画面

インタビューを受ける人々が、隕石が落下した時の状況を話している。


町の住人A初老の男「いや、びっくりしましたよ、最初は爆弾が投下されたと思いました」

町の住人B30代の女「とにかく爆発音と衝撃波が凄かったです、あ〜もうなんか死んじゃうって思いました、でも私生きてますけど…」


男子高校生A「爆弾じゃなくて、隕石だと聞いてちょっと安心したんですけど、建物とかのガラスが衝撃波で破片が飛び散って大変でした、怪我したクラスの友達もいます」

そんなインタビューを受けているテレビを観ている警備会社の警備員2人。

西井(男)「宇宙から隕石が落下してきたなんて、この街も有名になるんじゃないのかな?」

高野(男)「でもおかしいと思わないか?全ての学校や公共施設、商店、一般企業の会社まで帰宅命令って」

西井「警察は勿論、自衛隊、ヘリコプターも出動してますからね」

高野「さっき本部から連絡が入ってな、隕石にある付着している物質のせいだってよ」

西井「付着物?何なんですかそれ」

高野「その付着物は、非常に危険な物質の可能性があるんだとか」

西井「それって本当ですか?」

高野「らしいよ」

電話が鳴る

高野「はい、こちら警備保障ガードマンです」

「はい、ええ、分かりました」

ガチャん(電話を切る)

高野「おい、西井。隕石の現場へ行くぞ、警備だ」

西井「あ、はい」

隕石落下した現場

運よく人口密集地を避け、山の農地へ落ちた。

直径50メーターくらいのクレーターだ。


白い防護服にガスマスク姿の調査員が取り囲んでいる。


高野「小さい隕石だな、10メーターくらいの隕石が大気圏でほぼ焼けきってこれくらいのサイズになった」

西井「もし、地球外生命体が付着していても焼滅してるんじゃないですかね?」

高野「あり得るんだか、じつはもう…」

西井「えっ、それって、しかしそもそもなぜ地球外生命体の可能性って分かったんですかね?」

高野「第一発見者が病院に運ばれたからだ」

西井「それで」

高野「病状が悪化して、凶暴な人間に豹変したんだ」

西井「えっ、本当にですか、それでどうしたんですか?」

高野「病院を逃亡した。警察、軍隊を動員し、今探しているんだ」

西井「まだ隕石に付着したものが我々の体内に入る可能性もあるという事ですか」

高野「もちろん、だからこうして防護服とマスクで覆ってる」

西井「逃亡中のエイリアンを捕獲するのも重要ですね、何をするか分からないだろうし…」

高野「そうなんだ、もしかしたら仲間を増やす可能性もあるしな…」

高野の携帯が鳴る

高野「はい、もしもし、はい、はい…分かりました、すぐ向かいます」
「西井、奴は街へ潜伏したようだ、すぐに街へ行くぞ」

西井「本当ですか、大変だ…我々は何を」

高野「警備だ、街は大変なパニックに陥っている」

西井「警備って、いったいどうやって?」

高野「分からない、前代未聞な事だからな」

「行くぞ」

西井「はい」


街へ行くと小さい田舎町の住人は市外へと逃げていた。

閑散としている、住人はもうほとんどいない。

政府特設本部から戻ってくる高野

高野「政府からの司令がきた、エイリアンを捕獲だ」

西井「はい、しかしどうやって」

高野「麻酔銃で眠らせて、捕獲しろだとよ」

西井「そんなことで捕獲できるんでしょうか」

高野「やるしかないだろう」

「西井、お前は俺の5メーター間隔で援護しろ」

麻酔銃を構える2人。

西井「奴はいったい何体まで寄生したんですかね」

高野「検討もつかんな」

西井「しかもどうやって寄生するんですかね」

高野「分からん、ただ目撃情報によると奴は男らしい」

西井「男?女には寄生しないんですかね?」

高野「それも分からない、奴はどこに隠れている」

「この街の事は俺たちが一番知っている」

西井「街へ行ったという事は街にしかないものとか、街でなければならない訳があるはずですよ」

高野「ん〜なんだろうな、やっぱり人に乗り移るには人口密集地が一番だし、食べ物とかも豊富にあるだろうしな」

西井「だとすれば、奴はここを離れて他の街へ行く可能性もあります、この街の住人はよその街へ移ってますし、探すとなれば食料豊富な場所」

高野「スーパーとかコンビニとかかな」

「スーパーマーケットへ行ってみるか」

西井「いるか、いないかは分かりませんが、行ってみましょう」

車で2人は移動、街一番のマーケット、トコスコ。


高野「来たぞ、トコスコだ」

西井「トコスコか、そう言えば最近は会員更新してません」

高野「……。」

西井を見つめる高野

西井「すみません」

高野「入るぞ」

建物へ潜入する2人。

中は荒された形跡がある

高野「おい、だいぶ荒されたてるな」

西井「はい、しかし非常事態では窃盗に入る輩もいます」

高野「しー、静かに」

西井「何かいますね、食料品の方ですよ」

「行ってみましょう」

高野「5m間隔だ、足音をたてずそっとだ」

2人は忍び足で食料品売り場へ向かった

トコスコ食料品売り場



高野「おい、いたぞあれだ」


西井「やっぱり我々が睨んだ通りでしたね」

高野「おい、見てみろ2人いるぞ」

「しかも男と女だ」

「ただの窃盗犯だったりしてな」

西井「人間みたいに男女、つまり雄と雌の関係は宇宙人も不可欠なんですかね」

高野「奴らがエイリアンかどうか、しばらく見てみよう」

エイリアンの2人は素手で食料を食べている

西井「間違えなさそうですね、窃盗犯なら食料よりお金とか、高価なものを狙いますよ」

高野「ああ、しかも窃盗犯ならちゃんと箸とかで食うはずだ」

「おい、2人とも若いな」

西井「そうですね、エイリアンは若者好みなんですかね」

高野「違うな、恐らく俺の察するところ、若い男女なら繁殖可能だからだと思うぜ」

西井「そうか、侵略者ならどんどん子供を作って自分たちの社会を作っていくはず」

高野「人間みたいだが、それはどの生物も同じこと」

西井「我々人間が今地球の支配者であると悟って憑依したんですかね」

高野「我々人間は他の惑星から来たのかもしれないな、あのエイリアンみたいに」

西井「どうします、捕らえますか」

高野「ああ、2人が性行為をする前にな」

西井「いや、もうしたのかもしれませんよ」

性行為のあとは体力が消耗し、腹が減りますからね

高野「二手に分れ、挟み撃ちで麻酔銃で眠らせるんだ」

忍び足でエイリアンに迫る2人

高野「西井、俺がまず男のエイリアンを撃つ、奴らが反応したら西井はすぐに女の方を撃て、いいな」

西井「分かりました」

「でももし失敗したら」

高野「警棒で交戦し、頭を殴り失神させろ」

「人間の肉体なら失神するはずだ」

西井「了解です」

高野は食料を貪り食う男のエイリアンに向かって麻酔銃で狙いを定める

麻酔銃が男に命中した!

男がこちらを睨みエイリアンはこちらへ突進してきた

高野「まずい!西井!女を撃て!」

西井は女に向けて麻酔銃を撃ち命中させた

男のエイリアンは高野に襲いかかってきた

高野は倒されながらも西井が援護し、警棒で頭をヒットさせ失神させる。

女エイリアンも2人で取り押さた、押し倒し持っていた手錠をかけた

そうしている間麻酔が効いてきたのか大人しくなりやがて眠りについた

2人はエイリアンを捕獲した


2人は政府機関にエイリアン2体を引き渡した。


しかし、この2体のエイリアンの行方は分かっていない

もちろん、全世界にはエイリアンなど地球に降り立った事実は隠したのだ

もっともその方が世界はパニックにならず済むし、平和が保たれるからだ

何も知らない方がいい、無事にエイリアンを捕え、解決したのだから…。

あのエイリアンがどうやって我々人間の中に入り、寄生し憑依したのかは謎のままだ

あれ以来、政府からの連絡も一切ないし、こんな話しをしても恐らく誰も信じないだろう

もしかしたら我々人間は、こうやって他の惑星から地球へ飛来したのかもしれないし、もしそうだとしても何ら不思議な話しではない。

全世界には隕石が田舎町に落下しました、幸いなことに怪我人だけで済みました、という事だけ報道され、隕石落下の映像だけがネットやニュースでスクープされ話題となった程度だった。




























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