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剣神#4


6人の一行は、宿場町を発ち、野武士たちが拠点にしている、という大雅山を登り始めていた。

馬車は、湯野谷の宿場町へ預けここからは、馬と自力で山越えをするしか道はなかった。

全員、侍の着衣に格好を変え、百合恵も男装の小袖に着替えさせた。

郷太義「ここからは布陣を変えて進む、まず先頭は黄武と佐太郎の2人だ。そして次が、わし豪太義、そして真ん中には百合恵様、悟丸と流木矢は百合恵様を囲むように、後方の位置から守りを固めてくれ、いいな」

一斉に返事をした。

もしも、襲撃があった場合悟丸と流木矢は後方からの援護になる後詰、黄武、佐太郎、豪太義の3人の侍を、軸に戦う事になり、悟丸、流木矢は百合恵を守る布陣。



時は動乱の戦国時代、浪人や落武者は集落に溢れ返っている、野武士たちも飢えをしのぐため、そして生きるため、追い剥ぎを敢行してくる可能性も考慮しなければならない。


一行は試練の峠越えであった。物々しい雰囲気と緊張の中、山の中腹部までようやく辿り着いた…。

尾根から眺める広大な景色は旅の疲れを癒した。

豪太義「ここから下山し、日暮れまでには2日目の宿場まで辿り着くはずだ」

黄武「ここから先も何事もなければ良いのですが…」

佐太郎「大名の侍たちの旅勢だと認識され、奇襲は免れたのかもしれませぬ」

豪太義「悟丸、流木矢、何か問題はなかったか?」

悟丸「いえ、今のところは…ただ我々2人はこのまま後詰めの位置で後方からの護衛します」

悟丸と流木矢は、何者かがこちらを覗っている気配を感じでいたからである。

それは豪太義も一緒だった、だからあえて聞いたのであった。誰かに見られていたとは、百合恵には心配させまいと、言わなかっただけだった。

そのような場面はあったが、一行は夕刻まで無事下山し、2日目の宿場町、宮場へ辿り着いた。

宮場は首都、大京から近い場所に位置しており、地方と都を繋ぐ要の門前町でもあった。

一行は宿入りし、明日は目的地の大京へ到着予定で、6人で過ごす最後の晩という事もあり、豪太義の提案で宴を設けることになった。

悟丸と流木矢も同席し、百合恵の婚約を祝った。

百合恵「皆様、ここまで護衛に尽くされ、感謝いたします、そして婚礼に先立ち、祝福もいただき、お礼申し上げます」

百合恵の礼辞に一堂は頭を下げお辞儀

宴は和やかに行われた。

一行は旅の途中であるため、宴もたけなわに明日に備えたのであった。



        つつぐ















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