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【シチュエーションスリラー】knock〜ノック〜

あらすじ

とある地方都市の山岳地帯の観光地。サラリーマンの男M田が、出張でペンションに泊まった。客はM田ただ一人だったが、部屋へ入ってしばらくすると疲れから眠ってしまう。
だが、突如断末魔の叫び声で目覚めるM田。直後、部屋のドアを激しくノックされ、恐怖に怯えるM田は、正体不明の相手に殺意を感じるも、ノックをばかりを繰りかえす…。

ペンションに泊まった男が、ノックの音に怯える様を描く、シチュエーションスリラー(密室劇)。


knock〜ノック〜


本編



私は仕事で東北地方のあるリゾートマウンテンのペンションに泊まる事になった。そのペンションは山の頂上付近にある。昔は村があった所らしい。現在は観光地になった訳だが、冬はスキー客、春は桜の名所が山を下りれば楽しめる。一年を通して、それぞれの季節を感じ、楽しめる。今は春だが、ちょうど桜が散り始めた頃だった。まだこの辺りは桜は芽が出て開花すらしていなかった。
こごまで車で来たのだが、チェックインした時は午後15時40分頃だった。気温も過ごしやすいくらいのちょうどいい、ふきのとうもちらほら芽を出していた。私はペンションの入口で受付でチェックインする。


M田「ごめんください」


従業員「はい、いらっしゃいませ」


M田「予約したM田です、チェックインお願いします」


従業員「はい、ようこそ、おいで下さいました、お疲れ様です。」


「M田様のお部屋は203のお部屋になります」従業員は鍵を渡した。


一通りの説明を受けた後、食事の時間は18時30分にしてもらった。


私は鍵を受け取り、部屋へ向かった。ドアは空いており、部屋へ入ると小さな袋部屋があり、前、右、左にドアがある作りだ。前のドアを開けるとトイレとバスルームだった。左のドアには鍵がかかって開かない。そして右のドアを開けるとベッドルームという作りだ。つまり鍵は2つ、203の入口のドアとベッドルームの部屋にも鍵が掛けられるのであった。2重にロック出来るのは少し安心感を感じたM田はドアに鍵をかけた。ドアも部屋も山のペンションらしく、木の作りだった。丸太小屋っぽい温かみのある落ち着いた部屋だ。


ベッドに横になるM田だが、リラックスした状態でテレビを観ていると、急に眠くなってしまった。無理もない、今日は朝から車での移動で、遠出して来た事を考えれば当然と言えば当然だ。ウトウトし始めついにベッドの上で寝落ちしてしまうM田だった。


眠っているM田は、突然の物音で目を覚ます。騒々しい物音と物騒な音だ。ガタン、ガタガタ…男の声で


「ぐあっ!!〜」



ものすごい声の断末魔の叫び声のようだった。

M田はただ事ではないと感じた。

うとうとしながらも時計に目をやると、18時少し前だったが、山は薄暗かった。

あの声はおそらくペンションの従業員か、オーナーの声かだろう、見に行こうとしたその時だ。

部屋の入口のドアのノブを回す音が聞こえ
る。

ガチャガチャ、ガチャガチャ…ガンガン、まるで強引に入って来ようとしているような感じだ。嫌な予感は的中したドアを何かハンマーのような物で壊す音だ。

ドン、ド〜ん、ドン、ドカーン


M田はびっくりし、これに恐怖し、固まってしまう。

これはヤバい状況だ、今ドアを打ち破ろうとしている相手から殺されるかもしれない、そう思った。いや、たぶんそうだ。


入口のドアを破壊し、施錠を解く音が聞こえる。

部屋のすぐ目の前だ。


ドアノブを回す音

ガチャガチャ、ガチャガチャ…

うわ〜、神様助けて〜

そんな思いだ。


その時だ。


コンコン、  コンコン!


ドアをノックする音だった。



       つづく






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