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シュメールが人類社会の変化のスピードを一気に上げた

 我々の祖先はサルなのだ。サルから猿人となり、原人となり、ヒトへと進化をしていく。旧人であるネアンデルタール系はこのラインから外れたようだ。進化論を唱えたダーウィンや仲間たちはたいへんだったろう。何せヒトは神が造りたもうた存在であり、それに反してヒトの祖先はサルだと主張するのだから。しかし、ダーウィンの著書である種の起原が世に出たのは1859年、日本では幕末の安政の大獄の年なのでそれほど昔ではない。世の中には進化に関する学説も出てきており、進化論を受け入れる態勢になってきていたのだろう。科学が台頭してくる時代でもあった。

 初の人類である猿人が登場するのが約700万年前のアフリカ。彼らは500万年以上生息している。決定的な特徴は二足歩行だ。その後我々と同じホモサピエンスに進化する。脳や声帯が発達し、25万年前には音声によるコミュニケーションがとられていた。文字の発明は約5500年前と言われている。道具や火の使用、社会性など他の生物とは一線を画して発達する。しかし、この進化ってのは時間がかかる。

 そんなのろのろ進化の中で文明社会が生まれる。この時期より人間社会の変化のスピードは一気に上がる。場所はチグリス川とユーフラテス川の間の平地、現在のイラク南部の辺りだ。人類最古の文明メソポタミアの誕生だ。文字の誕生が後世にいろいろ伝える役割を果たしたことが大きい。

 たいてい大河の近くに文明は生まれる。川の氾濫により土地が肥沃になるのは有名だ。紀元前9000年ごろ、この地域に初期の農耕文明が現れ、紀元前5500年ごろには多くの人が定住していたと思われる。やっと千年単位だ。

 紀元前3000年ごろには、シュメール人がこの地域に20ほどの都市国家を作り、その後国王が権力を持つ王国が生まれた。このシュメール人はとても優秀なのだが、どこから来た民族かは不明で、謎の民族なのだ。

 泥を固めた日干し煉瓦を積み上げアスファルトでつなぎ合わせたジックラトという神殿を作ったり、粘土板に楔形文字を使ってギルガメシュ叙事詩という最古の神話を残したり、金属器である青銅器を使ったりしていた。
 現在も時間に使われる六十進法や天文学にも精通していたようだ。
 メソポタミアの文明は正確にはシュメール人だけの文明ではない。この文明で有名なハムラビ法典は都市国家バビロニアの六代王が造ったもの。とにかく大陸の侵略はすさまじい。でもこの文明は継承された。

 ジックラトは有名なバベルの塔のことだとが、楔形文字の神話にはノアの箱舟と同じ話が書かれていたとか、日本に青銅器が使われ出したのは紀元前300年頃の弥生時代になってからとかネタは尽きない。

 世の中の変化の速さが万年単位から千年単位へ変わって、文字でその様子が姿を現してきた来た時代だ。

【REG’sDiary   たぶれ落窪草紙   5月27日(月)】

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