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花盛り人盛り

久しぶりに都内へ赴く。もはや人の流れは以前に戻っていて、どこも人だらけ
少し時間が空いたので都庁の方向にある熊野神社を目指して歩くと通りで人だかり、何かと思えば映画がドラマの撮影だった。エキストラだらけで主役級の人は見当たらない。やたらと年季が入った監督(と思われる人)がカメラから繋がっている光をよけるための覆いの中にの頭を突っ込み何かを大声でつぶやく。きっと周囲のスタッフには理解できる合図だろうがエキストラでも何でもない通行客の私にはその意味はわからないままだ。


 階段を登り歩道橋を渡って、新宿中央公園に出た。都会に開けた原っぱには桜が満開でみんな和気あいあいにお花見をしている。目の前に都庁があって、密を避けるように仕事をしている世界のそれとは切り離されたように人が集まり花見を楽しんでいる光景を見ると何が正しいのかは実際に歩いてみないとわからない世の中になったとつくづく思うのだ。

桜や花壇に咲く色鮮やかな花々を見ながら公園内をぐるりと一周するように歩くと、やっぱり花よりもシートを敷いてお花見している人がいることに目が向く、その中央部で海外圏の女の人がほかの人々に交じってもはや慣れた感じで楽しく花見をしている、SNS上の知り合いで去年日本にロングステイしたときにコロナにぶつかって身動きが取れないくなったという女の子を知っているので、彼女たちもおそらくそういった状況なのかもしれない。彼女たちがが何かの拍子に周囲に目もくれず大笑いした。慣れているというよりもうどうでもいいという感じさえ受ける。周囲の人も気にしていないし。


時計をみるとどうやら神社まで行く時間は残っていないようだ、桜を惜しみつつ駅の方に戻る。

(中央公園には色とりどりの花も植えられています)
 
早速、山手線に乗り換えてアトリエのある駅に着く。久々なので感覚を取り戻そうと近くにある洋服店をうろついてみる。このカラフルで縞々のラガーシャツはきっとオリンピックに合わせて作られたものだろう、と頭の中でつぶやく。一階フロアを見回り、しばらくして外に出るとまだ時間が空いている。駅に併設されたスタバによってエッグマフィンとカフェモカを頼んで外のテーブル席で食べる。駅を出入りする人を見ながら、やはり外国の人は少ないと思う。見る人見る人みな日本人である。心なしかファッションセンスも緩んでローカライズした気がする。そんなことに目が向くなんて自分も一つ頭が抜けたな。なんてあほなことを考えながら黙々と一人食事をする。(ならば友達を作れよという話だ)。食べ終えてからもしばらく駅ビルをうろつきながら、ようやく開始時間ぎりぎりになってアトリエに直行。

 坂を上った先にあるビルの表玄関の二階にある入り口の前には人が並んでいる。気まずい中、扉が開くのを待つ。アルコールと真新しい検温のためのモニターが設置されている。手を消毒し、体温が正常と判断されてやっと中に入る、準備をしながら席で待っているとと今日はいつもより人が多い、自分も久しぶりだからかもしれないがそのほとんどが知らない人であった。まあいいや。


時間になってモデルの人がポーズをとる、前半は鉛筆、後半は水彩でドローイングした。

ポーズ一回20分くらいで4ポーズだから一時間半のドローイング

同様にして、一時間半の水彩ドローイング

水彩は陰の部分は水色、光が当たる部分は黄色でざっと塗り分けるようにして描く、この方法でユーチューブでイラストを載せている人がいて、私もこの描き方を真似ているのだ。もっともその人はかわいらしい男の子やぬいぐるみのクマなどのかわいらしいイラストだったが、塗り方をよくわかっていない人間にとって、それはとてもわかり易い方法だった。その人がアクセントに赤色を使っていたのだが、私はその赤をどうやって使えばいいのかわからず、光と陰とをつなぐ中間の色として使っている。見回りながら指導する先生からは赤が多すぎるかなと言われてしまった。たしかにそうです。

久しぶりだったので途中で最後の方は集中力が切れた。

駅で帰りの電車を待ちながら向かいの壁にある大きなテレビの宣伝用の看板を見ると「戻ってきたんだ」と急に感慨深くなり、大きく息をはく。

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