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多肉の徒長は生き方の問題?

動物の多様性は当たり前だけど、植物の多様性はどう?

思い込みというのは
案外気が付かないもので
例えば「動物」って何?って聞かれた時、
大抵の人が思い浮かべるのは4足歩行の生き物ではないでしょうか。
でも、動物図鑑に収録される「動物」は、4足歩行の生き物だけでなく、
鳥や爬虫類、アザラシやクジラ、ペンギンもいるわけで、
4足歩行と鳥類は全く異なる生き方をしてますよね。
子孫の残し方だって、体内育成型や、卵育成型もいるわけで
答えは全然一つじゃない。

ところが植物に関してはそういう多様性は
あんまり考えが及ばないのではないでしょうか。

徒長は悪いこと?

私の多肉に対るする向き合い方も
まさにそんな感じ。
一般的な草木の常識が、多肉にも当てはまると思い込んでいました。
今思えば、それが数々の多肉を枯らしてきた
一番の原因と気づかずに。

見た目は緑だし花も咲くけど

多肉は草木とは似て非なるものと知る

わかりやすくするために、極端にざっくりとした例を挙げますが、
そもそも園芸用の多肉植物とは日本原産ではなく
海外の日本ではあり得ないほど過酷な環境で進化してきた植物で、
過酷すぎる環境でも生きていくための戦略を模索し、
獲得してきた植物だったんですよね。
つまり、一般的な草木の生き方じゃ生きていけないカラダになっている
鳥みたいに四足歩行とは異なる生き方をしているってこと。

その生きるための戦略がわかってないと
うまく育つはずがないのは当たり前なんですよね。
それって、スズメを水槽で飼うくらい認識がずれている。

問題はそのズレに気づけるかってことだったんです。

多肉は見た目で何年ものか判断できる

全部ではないけれど、たとえば、アエオニウムなんかは
植えてから何年ものかは見た目で判断できたりします。
それが茎の皺。
アエオニウムは真夏にまるで枯れたように休眠し、
秋から冬にかけて大きく成長し、真冬は少し成長が遅くなり、
春にまた伸びて、夏眠るというサイクルが
正常なライフサイクルなんです。
それを踏まえて茎を見ると、シワが詰まっているところは夏。
伸びているところは秋か春の陽気の良かった季節。
緑色っぽいのは最近まで成長していたところと判断できます。

写真のアエオニウムは春に枝の状態で移植され、
比較的暑さの落ち着いた夏を過ごし、
土の栄養と気候が良かった秋に成長して、
冬に成長速度がいったん落ち、
春に向けて脇目をのばし、陽気が良くなったので、
また茎を伸ばし、ただいま休眠中ということで、
枝わけして1年ちょいということがわかります。

このアエオニウムは1
年株

徒長は日照不足や土との兼ね合いが原因とは言い切れない

多肉植物を栽培していて、
一番心が痛むのが株全体が大きくなる前に徒長してしまうことです。
初めの頃、徒長は日照不足が原因で起こる良くないことで
「育て方が下手だから起こる現象」なんだと思っていました。
確かに、太陽光を求めて日照不足になることで徒長もしますが、
実は土に栄養があったり、環境が良くても徒長します。

つまり、徒長は多肉の生理現象で、
徒長するほど元気がいいと言っても過言ではない。

それは、どういうことかというと
徒長こそが多肉の成長戦略のうちの一つで、
徒長する方が多肉的には理にかなっているってことなんです。

たんぽぽは綿毛、多肉は葉や茎を使って子孫を増やす

多肉全てに言えることではないですが、
例えば、徒長しやすい多肉は、
葉が茎から外れることで子孫を増やすことができます。
もちろん種でも増えますが、葉で増える方が効率がいいので
すぐにポロリと葉が落ちます。
効率よく葉を落とそうとすると
風の力だけでは心許ないので、できるだけ動物の力を借りたいところです。

そうなると、動物が歩きやすいところまで茎を伸ばすか、
動物が身を隠せる場所を提供するのが、効率良い方法ってことになります。
この効率の良い方法を実現するためには、
葉の先端を動物が接触する場所までなるべく長く伸ばし、
先端の葉を蹴散らしてもらうようにしなければなりません。
それに徒長で長く伸びた茎を途中で切られたとして、
それはそれで願ったり叶ったり。

多肉は茎だけでも新芽を伸ばすことができるので、
徒長することはメリットしかありません。
なので、肥料を与えれば
株が大きくなるだけでなく徒長も進みます。
つまり、徒長することは多肉的に何の間違いでもなかったんです。

葉の役割は2つある

多肉の育て方は成長させたくない目的がある

植物は成長させてなんぼだと思っている私は
大きくさせない多肉の育て方は好きじゃないんです。
でも、世のタニラーの方は成長しない多肉が好きな方も多いようなので、
一般的な多肉の育て方は
わざと過酷な環境を再現して、
徒長させないような育て方なのだと思います。

そう言った日本の盆栽的な育成方法に比べ、
海外のタニラーは扱いがとにかくドライ。
徒長したら可愛い先端だけ残して切り取り、
根は抜いて後に肥料を足して
そこに切り取った先端を置くだけという管理方法が一般的なようです。

この雑な管理法のメリットは、個体を大きく育てることができ、
ガーデンも見た目もととのえられることにあります。
一見雑でも、多肉の生存戦略的には人間という動物を利用して
巨大化したり、子孫を増やしたりできる
狙い通りの結果と言えます。

そうしない、盆栽的育成方法が正しいと思い込んでいると、
私のように失敗と思い込んで罪悪感を感じたり、
栄養不足で枯らしてしまったりすることになるんですね。



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